• 代理店を利用したことがなく、どのようなサービスを受けられるのか知りたい方
  • 代理店に委託していて、何かしら疑問を持っている方
  • 代理店からの報告をもっと理解したい方
  • リスティング広告運用を始めたい方
  • リスティング広告の運用効率を上げていきたい方

に向けて、事前知識を包括的にインプットできる記事となっております。

リスティング広告について、基礎を知りたい方は「リスティング広告とは?」の記事をご覧ください。

なお、今回の記事はデジマールが実際に使用している「ヒアリングシート」の内容を基に説明を進めてまいります。以下のリンクよりダウンロードしてご覧ください。

リスティング広告のヒアリングシート例
※本記事は、Googleパートナー・Yahoo!認定パートナーである、デジマール株式会社が執筆・監修しているものです。

「ターゲット層や会社の強み」の把握

自社のリスティング広告運用をするとき、代理店がクライアントのリスティング広告運用をするとき、どちらの場合も核となる要素は共通しています。それは、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」のことわざにもあるように、お客様のビジネスのターゲットとその内容を深く理解することです。

今回は架空の企業「example塾」の例を用いながら、ヒアリングの内容を解説していきます。

想定しているターゲット

ターゲット層を説明する際に用いられる指標は多数存在します。まずは「性別」「年代」「地域」といった定量的な指標でターゲット層を把握します。そのうえで、「ターゲットはどのような志向性や生活様式を持った人々なのか」、あるいは「これまで契約に至った顧客にはどのような人が多かったのか」といった定性的な「ペルソナ」を理解します。

ペルソナは、顧客の立場に立ってマーケティングをする際、思考の軸となる重要な考え方です。

場合によっては、「優先順位は第1ペルソナより低いがターゲットとしているペルソナ」「これからリーチしていきたいペルソナ」の文脈で「第2ペルソナ」をお聞きすることもあります。

想定ターゲットのヒアリング例

想定ターゲット 性別 女性
性別 30代~40代前半が中心
地域 都内
ペルソナ 第1ペルソナ 学校の授業だけでは受験が心配な、教育熱心な保護者
第2ペルソナ 都内TOP高校の受験を検討している上位層の保護者

「想定しているターゲット」の広告運用での活用

「想定しているターゲット」の情報は、リスティング広告運用の数多くの機会で利用します。まず、広告のターゲットを設定するときに用います。Google広告やYahoo!広告は、顧客の性別、年齢、地域だけでなく、ユーザーの興味関心でターゲティングすることができます。

次に入札するキーワード選定に用います。後述する「注力キーワード」項目でも入札するキーワードに関する情報をお聞きすることはできますが、事前にターゲット情報を知っていることで、ターゲットと登録するキーワードのずれや、新たなキーワードの提案をすることが可能です。また、ターゲットをイメージできていると広告もより洗練されたものになります。

参考:Google広告ヘルプ|広告のターゲット設定

参考:Yahoo!広告ヘルプ|YDNのターゲティングはどんな種類がありますか?

ユーザーインサイト・伝えたいメッセージ

ユーザーインサイトには様々な解釈がありますが、「ユーザーがどのような動機で商品やサービスを選ぶのか」「ユーザーが商品やサービスに何を求めているのか」という観点を指します。必ずしもUSP(お客様が打ち出したい強み)と一致するわけではありません。

ユーザーインサイトがはっきりしない場合、広告を通じて伝えたいメッセージを考えることも効果的です。このとき、USPを羅列するのではなく、あくまで想定したターゲットがお客様の商品やサービスを利用してどのような印象、感想、気づきを持ってほしいかに注目します。

ユーザーインサイト・伝えたいメッセージのヒアリング例

ユーザーインサイト・伝えたいメッセージ

大学受験を見据えて、子供を進学実績の高い高校に合格させたい。塾にこだわりはないが、学校の授業だけでは子供が志望校に受かる気がしない。

このようなユーザーに対して、「闇雲に塾に行くのではなく、学校の試験対策をすることが高校受験の必勝法である。当塾はそのサポートをする。」というメッセージを伝えたい。

USP(お客様の強み)

USPは、Unique Selling Propositionの略であり、直訳すれば「独自の売り文句」となります。自社の独自の強みや、商品、サービスの強みがUSPにあたります。

今回は簡単に「お客様の強み」という言葉を用います。いきなり「御社の強みは何ですか」と聞かれても答えにくいため、「どのようなフレーズを言ったとき、成約まで至りましたか」「どのような理由で成約したお客さんが多いですか」といった具体的な質問で伺うときも多くあります。

USP(お客様の強み)のヒアリング例

USP

(お客様の強み)

定期試験対策の授業を学校ごとに内容を分けて行うことで、内申点の向上にコミットできる。
保護者の方の要望に合わせて、定期的に3者面談を実施し、学習状況を確認できる。
第一志望の合格率80%という、高い合格実績
学生メンターを生徒一人ひとりに付け、学習や学校生活で困難を感じた際に、丁寧なサポートができる。
どの校舎も駅から徒歩圏内の好立地
高校生向けの授業も準備しており、高校受験から継続して利用できる。

「USP(お客様の強み)」の広告運用での活用

「USP(お客様の強み)」の情報は、主に広告文を作成するときに使用します。強みをアピールすることで、ターゲットに有益な情報を届けることができます。また、ランディングページでアピールしている内容と広告の内容に齟齬が出ないよう事前にそれらの内容をすり合わせるという目的もあります。

注力キーワード

注力キーワードは、どのような検索キーワードに対して広告配信するかの判断に用います。商品・サービスの指名キーワードはもちろんのこと、ターゲットが会社の商品・サービスについて検索する際に用いるキーワードも含みます。また、注力キーワードの中でも過去コンバージョン実績のあるキーワードは、その成果について詳しく伺います。

注力キーワードのヒアリング例

注力キーワード

高校受験 塾
都内 塾
高校受験 合格率
都内 定期試験対策
○○高校 塾
□□駅 塾

CV実績のあるキーワードのヒアリング例

CV実績のある

キーワード

  キーワード メモ(費用対効果など)
高校受験 塾 最もクリック率が高いキーワード
都内 塾 塾がある都内のターゲットが検索するためCVRが2%と高い
高校受験 合格率 クリック率は高いものの、CVRが0.2%とあまり高くない
   
   

「注力キーワード」の広告運用での活用

「注力キーワード」の情報は、キーワードの登録の際に用います。また、ディスプレイ広告運用の際にも活用できます。Google広告の「コンテンツターゲット」、Yahoo!広告の「サーチターゲティング」の機能を用いれば、特定のキーワードを検索したユーザーに対して広告を配信することができます。

競合サイト

競合の情報は、お客様のビジネス理解をより強固にします。「業界における順位が何番なのか」、「商品・サービスの内容が競合とどのように異なるのか」、「競合とどれくらいターゲットが被っているのか」といった情報は、ターゲティング、キーワード選定、広告文の内容、といった広告運用のあらゆる側面に影響を与えます。

競合サイトのヒアリング例

競合サイト サイト・会社 サイトURL
△△塾 https://sankaku.co.jp
〇〇進学会 https://maru.co.jp
進学塾◇◇ https://shikaku.co.jp

「競合サイト」の広告運用での活用

「競合サイト」の情報は、競合の研究のためにも利用できますが、ベンチマークとしている企業があれば、施策の参考にするという利用方法も考えられます。広告文、出稿キーワード、ランディングページなど、ベンチマーク企業の研究をすることで、同じターゲットに対してどのような施策が有効なのかデータを集めることが可能です。

「目標」の把握

「ターゲット層や会社の強み」では、お客様のビジネスを「誰に」「何を」という観点を把握しました。「目標」の項目では、「どれくらい」という観点を代理店とクライアント間で共有します。

リスティング広告に期待していること/目標値

「期待していること」は、リスティング広告で目指す成果を指します。Web経由の購入の増加、Web経由のリード数の増加、Web経由の電話問い合わせの増加など、お客様のビジネス目標に合わせた期待を伺います。

広告運用で期待していることのヒアリング例

目標 広告運用で期待していること・CV(リード獲得/売り上げ増加)

問い合わせ数の増加

入塾面談希望者増加

成果地点/CV計測地点

成果地点/CV計測地点は、ランディングページ、エントリーフォームのURLを指し、主に代理店がコンバージョン設定をする際に用います。また、目標とするCTRや、CVR、CPAについても伺い、キーワードプランナーや、これまでの運用実績から、それらの数値が妥当かを検討した上で最終決定します。これらの数値は別途提案書として共有されることも多いでしょう。

成果地点のヒアリング例

目標 計測対象(キーワード) CTR CVR CV CPA
高校受験 塾 1% 1% 50 ¥3,000
都内 塾 1% 2% 20 ¥6,000
高校受験 合格率 5% 0.5% 10 ¥3000
都内 定期試験対策 2% 1% 20 ¥6,000
合計 2.5% 1% 100 ¥3,000

計測対象

(ランディングページURL・フォームURL)

CTR CVR CV CPA
https://example.co.jp 2.5%      
https://example.co.jp/form   1% 100 ¥3,000
         
合計 2.5% 1% 100 ¥3,000

自由記述欄

自由記述欄は、お客様からのご要望を書いていただくことはもちろん、初回の打ち合わせの際に、議事録としても活用します。初回の打ち合わせでは、ヒアリングシートの内容についてお聞きするのはもちろんのこと、現在の社内での運用状況や、代理店を利用するに至った背景もお聞きします。これらを聞くことで、お客様が、現在何に課題感を持っていて、それは代理店で解決できるのかが明確になります。

自由記述の例

自由記述欄(ご要望や発注背景等)

ウェブマーケティング以外の顧客へのアプローチ手段も提案していただける代理店を探しています。 リスティング等はどこの代理店でもできるが、思いもかけないようなアプローチの提案がぜひ欲しいと思っています。

 

ご契約内容

運用のための情報はこれまでの内容で網羅されていますが、パートナーとしてご契約いただく以上、契約内容も事前に明確化させておく必要があります。

基本情報

「お客様名」「契約日」「契約形態」「業種・業態」「掲載開始予定日」「リスティング対象サイト」といった基本的な情報をお聞きします。

基本情報のヒアリング例

ご契約内容 お客様名 株式会社example塾
契約日 2021年1月15日
契約の背景 乗り換え
業種・業態 学習塾
掲載開始予定日 2021年2月1日
対象のWebサイト サイト名 サイトURL
example塾公式HP https://example.co.jp

利用サービスとご予算

媒体とネットワークごとにご予算をお聞きします。お客様の目標値に対してご予算が少ない場合、広告表示機会の減少に伴って機会損失が発生する可能性が高まります。予算の基本的な考え方は、

予算=目標CPA×目標CV数

です。目標CPAのお話をしたうえで、予算額の増額、減額について再度検討する場合もあります。また、Yahoo!広告、Google広告以外の媒体を利用する場合は、予算を伺った上で別途相談の時間を設けます。

利用サービスとご予算のヒアリング例

ご契約内容 媒体名 Google Yahoo! Facebook
ネットワーク 検索 ディスプレイ 検索 ディスプレイ
月額予算 ¥150,000 ¥150,000 ¥150,000 ¥150,000 ¥300,000
月初予算
月額合計 ¥900,000

アカウントの発行

ヒヤリングが終わり次第、代理店側でアカウントを発行します。Google広告の場合は、MCC(クライアントセンター)アカウントを発行し、お客様のGoogleアカウントをユーザー招待します。Yahoo!広告であれば、ビジネスマネージャーのIDとパスワードを共有する形式でユーザー招待します。

※2020年冬より、Yahoo!広告においても、「アクティブアカウント移管」が可能となりました。

参考:Yahoo!広告ヘルプ|アカウントを移管する

まとめ

ここまで、代理店におけるリスティング広告運用開始までの流れをお伝えしました。代理店の成果を左右する大きな要素として、お客様のビジネスへの理解があります。ヒアリングの段階で相互理解を追求する姿勢が成果に直結します。

ヒアリングシートは、お客様との打ち合わせだけでなく、新たにWeb広告運用を始める場合にも活用できます。ぜひ参照ください。

リスティング広告のヒアリングシート例

デジマールでは、リスティング広告運用の無料相談を実施しております。

「リスティング広告を始めてみたい」

「入念な準備のうえでリスティング広告運用を始めたい」

といったリスティング広告のご相談については、「リスティング広告運用代行」をご覧ください。