経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは?
取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。具体的な特徴は次のとおりです:
- 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能です。ただし、共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。
- 取引先が倒産後、すぐに借入れができます。
- 掛金を損金、または必要経費に算入できます。
- 解約手当金が受けとれます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。
ビジネスでの具体的な使用例としては、取引先が倒産した際に、無担保、無保証で、掛金の10倍まで借入可能です(ただし、回収困難となった売掛金債権などと比較して少ない金額)。これは、無利子ですが、借入額の10分の1が掛金から控除されます。また、取引先が倒産後、審査期間などがなくすぐに借入ができます。そして、取引先が倒産していなくても、解約手当金の95%を上限として無担保、無保証で借入ができます。利率は現在0.9%です。取引先の倒産に関係なく、解約して解約手当金を受け取れます。そして、掛金は法人税法上、損金にできます(個人事業主の場合は必要経費にでできます)。これが節税効果があるとされる理由です。
経営セーフティ共済は法人も個人事業主も加入できます。しかし、加入要件があります。具体的には継続して1年以上事業を行っている法人、個人事業主で、一定の要件に該当することが必要です。また、納付すべき所得税または法人税を滞納している場合、住所または主たる事業の変更を繰り返し行ったため、継続的な取引の状況の把握が困難な場合、掛金滞納などの理由で中小機構から解約され、1年を経過していない場合などでは加入できません。また、回収困難な売掛金債権などに対する貸付制度であるため、それが生じない業種、例えば金融業者や不動産業者などでは貸付の対象にならない場合があります。
掛金は月額5,000円から20万円の範囲で、5,000円単位で自由に決められます。ただし、積み立てられるのは、掛金総額が800万円までです。また、前納もできます。前納すると掛金月額の1,000分の0.9の前納になります。
経営セーフティ共済は、取引先の突然の倒産など、予測不能なリスクからビジネスを守るための重要なツールとなります。そのため、中小企業や個人事業主が経営の安定と持続的な成長を目指す上で、その利用を検討する価値があります。