ISバランスアプローチとは
ISバランスアプローチとは、主に経済全体の需給バランスを分析するためのマクロ経済学の一部として使用されるアプローチで、収入と支出のバランスを表します。「IS」は「Investment-Saving」の略で、投資と貯蓄のバランスを意味します。このアプローチは、全ての市場(財・労働・金融市場)が均衡状態にあるとき、全体としての需給が一致する(すなわちISバランス)状態を探求します。
具体的には、IS曲線は投資と貯蓄が等しいすべての点(即ち、総支出が総生産に等しい点)をプロットしたものです。IS曲線は次の式で表されます:
Y = C(Y – T) + I(r) + G
ここで、 Y: 全体の所得(または出力) C: 消費 T: 税金 I: 投資 r: 実質利子率 G: 政府の支出
この式は、経済の出力(Y)が、消費(C)、投資(I)、および政府支出(G)の合計に等しいことを示しています。投資は実質利子率に依存していると想定され、利子率が高いと投資が減少し、逆に低いと投資が増えるとされます。
ISバランスアプローチの存在理由は、マクロ経済政策の策定や、経済全体の動向を理解するための枠組みを提供することです。特に、中央銀行や政府が金融政策や財政政策を立案する際に重要な役割を果たします。
マーケティングの文脈で考えると、ISバランスアプローチは経済全体の動向や、金利の変動が市場にどのような影響を及ぼすかを理解する上で役立ちます。たとえば、ISバランスアプローチを用いて金利が上昇すると予想される場合、企業は高金利環境でのビジネス戦略を立案することが求められます。
近年の具体例としては、新型コロナウイルスのパンデミック時に多くの国が採用した大規模な財政刺激策を考えるとわかりやすいでしょう。政府支出(G)が増えると、IS曲線は右にシフトし、経済出力(Y)が増加すると予想されます。これは、ISバランスアプローチを通じて経済の反応を理解することができます。