絶対所得仮説(Absolute Income Hypothesis)とは
絶対所得仮説は、ケインズが提唱した消費行動に関する理論で、消費行動は現在の収入に直接連動するという考え方です。この仮説によれば、個人の消費はその期間の収入に比例し、収入が増えれば消費も増え、収入が減れば消費も減るとされています。
絶対所得仮説が存在する理由は、経済の短期的な動向を説明し、消費者の行動を予測するためです。例えば、収入が増加すれば消費が増加し、景気が良くなることを示しています。
しかし、絶対所得仮説は長期的な視点を欠いています。それは、人々が収入の変動を見越して消費を調整する(つまり、収入が増えてもすぐに消費を増やさない、または収入が減ってもすぐに消費を減らさない)という現象を説明できないからです。
具体的な近年の例としては、COVID-19パンデミック時の政府からの経済刺激策が挙げられます。多くの国で、政府は経済を支えるために直接的な現金支給を行いました。これにより、一部の収入が減少した家庭でも消費を維持することができました。これは絶対所得仮説が示す、収入と消費の直接的な関連性を示しています。
マーケティングの視点から見ると、絶対所得仮説は消費者の購買行動を理解し、商品やサービスの需要を予測する際の一つの手がかりを提供します。もし消費者の収入が増加すると予測されるなら、マーケターはより高価な製品やプレミアムサービスを推進するかもしれません。逆に、収入が減少すると予測されるなら、より価格の低い商品や価値を強調したマーケティング戦略を検討するかもしれません。