マネーストック(またはマネーサプライ)とは

マネーストック(2008年6月に日本銀行調査統計局は、通貨保有主体や各指標の通貨発行主体および金融商品の範囲の見直しを行うとともに、「マネーサプライ統計」の名称を「マネーストック統計」に変更)は、ある特定の時点で経済内に存在する「お金」の総量を指す用語です。お金の定義は、通常、現金、預金、さらには一部の短期的な証券などを含みます。マネーストックを測定する方法は複数あり、どの資産を「お金」とみなすかによって、M1、M2、M3などといった指標が生まれます。

  • M1: このマネーストックの定義は現金と当座預金です。これらは直接取引に利用できるため、「最も流動的な」形態のお金とされます。
  • M2: これにはM1に加えて、定期預金や貯蓄預金など、すぐに現金化できないが短期間で取引に利用できる預金を含みます。
  • M3: これにはM2に加えて、より長期間の預金や一部の金融市場の資産など、流動性が比較的低い形態のお金を含みます。

なぜマネーストックが重要なのでしょうか。それはマネーストックが、経済の健康状態と将来の経済動向の重要な指標となるからです。一般的に、マネーストックの増加は経済活動の増加を示す可能性があります。一方、マネーストックが急速に増加しすぎると、インフレのリスクが高まる可能性があります。

具体的な例として、2020年の新型コロナウイルスの大流行に対応するため、多くの中央銀行が金融政策を緩和し、経済を刺激するためにマネーストックを増やしました。具体的には、低金利政策を採用したり、量的緩和(中央銀行が大量の金融資産を買い入れること)を行ったりしました。これらの政策により、銀行の預金が増え、結果としてマネーストックが増加しました。

中央銀行は、マネーストックを通じてインフレと経済成長を管理します。金融政策が緩和的であればマネーストックは増加し、金融政策が引き締められればマネーストックは減少します。したがって、マネーストックは、中央銀行が経済をどのように管理しているかを理解する上で、重要な指標となります。