インプレッションシェア
リスティング広告の特徴の一つに、「流動性」があります。テレビや街頭の広告は、一定期間同じ広告が掲載されますが、リスティング広告の場合、検索するごとに掲載される広告が変化したり、掲載順位が変化したりします。これは、媒体が広告掲載オークションにより毎回広告の掲載順位を決めているために起こります。
すなわち、リスティング広告は順位に流動性があり、適切な単価と広告の品質があれば高い掲載順位も見込めるということです。そして、どれだけ高順位で広告掲載ができているかを示す指標を、「インプレッションシェア」といいます。
「インプレッションシェア」は、競合とのオークションにどれだけ競り勝ったかを示す指標と言い換えることができます。競合を意識しながら広告の成果が確認できる数少ない指標の一つでもあります。
インプレッションシェアの計算式
Google広告のヘルプでは、「インプレッションシェア(IS)は、広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合」と定義されています。これを式で表すと、
インプレッションシェア = 表示回数 / 広告が表示可能だった合計回数
となります。広告が表示可能だった合計回数は、ターゲット設定、承認状況、品質など、多くの要因を考慮して見積もられた数値です。
インプレッションシェアは、どのようなインプレッションを計測するかによって指標が細分化されます。Google広告のヘルプを基にそれぞれ確認していきます。
参考:Google広告ヘルプ|インプレッションシェアについて
1.1. 検索広告のページ上部のインプレッションシェア
Google広告のヘルプにおいて、「ページ上部のインプレッションシェア」は、「オーガニック検索結果ページの上部の任意の場所に広告が表示された割合(インプレッションの割合)」と定義されています。これを式で表すと以下のようになります。
ページ上部インプレッションの割合
=検索結果ページの上部で発生したインプレッションの数÷すべてのインプレッション数
なお、ページ上部とは、検索結果における以下の部分です。
参考:Google広告のヘルプ|「検索結果ページの上部インプレッション」と「最上部インプレッション」指標
1.2. 検索広告のページ最上部インプレッションシェア
Google広告のヘルプにおいて、「ページ最上部インプレッションシェア」は、「オーガニック検索結果ページの上部で最初に表示された広告のインプレッションの割合」と定義されています。これを式に表すと以下のようになります。
ページ最上部インプレッションの割合
=検索結果ページの最上部で発生したインプレッションの数÷すべてのインプレッション数
なお、ページ最上部とは、検索結果における以下の部分です。
参考:Google広告のヘルプ|「検索結果ページの上部インプレッション」と「最上部インプレッション」指標
1.3. 検索広告の完全一致のインプレッションシェア
Google広告のヘルプでは、「完全一致のインプレッションシェア」は、「キーワードと完全に一致する検索語句で広告が実際に表示された回数を、完全一致で表示される可能性があった回数(推定値)で割った割合」と定義されています。
部分一致で登録しているキーワードのインプレッションシェアが低いときに、すべての検索キーワードで低いのか、部分一致で広告表示されたときに低いのかを明らかにするために用います。
例えば「車」というキーワードを部分一致で登録していた場合、「車」や関連語の「トラック」「タクシー」でも広告表示される可能性があります。完全一致のインプレッションシェアを確認したときに「車」というキーワードでインプレッションシェアが高いのであれば、完全一致での登録に変更することを検討します。
参考:Google広告のヘルプ|完全一致のインプレッションシェアについて
インプレッションシェアを改善する方法
掲載順位は主に入札単価と広告の品質で決定されています。掲載順位の決定要素に対して適切な施策を打つことによって、インプレッションシェアの改善が見込めます。それぞれ見てみましょう。
入札単価の調整
インプレッションシェアが低いときの解決策の一つは、入札単価を高めることです。
インプレッションシェアの求め方は、
インプレッションシェア = 表示回数 / 広告が表示可能だった合計回数
です。入札単価が低いと分子の表示回数が小さくなり、結果としてインプレッションシェアも小さくなります。広告の品質は改善に時間がかかるため、予算に余裕があり、表示回数を増やしたい場合には、入札単価を高めます。
配信設定の変更
入札単価を高めることは、クリック単価の上昇につながりますが、当然、費用対効果は低くなります。闇雲に入札単価を高める前に、配信設定を確認しましょう。
配信設定とは、ターゲットや、地域、デバイス、曜日や時間などの配信に関する設定です。ターゲットや地域、デバイス、日時ごとの傾向を見たときに、成果が出ていない、あるいはより大きな成果を出したいセグメントの入札単価を高めることを検討します。
例えば東京都と神奈川県のインプレッションシェアが低く、この地域でリスティング広告の成果を高めたいのであれば、これらの地域だけ入札単価を+20%にするといった施策が考えられます。
なお、自動入札を採用している場合、手動で動かせる指標とそうでない指標があるため注意が必要です。
キーワードの再選定
インプレッションシェアを高める上での難易度を測る指標に、「キーワードの競合性」があります。これは、入札している広告主が多いほど高くなります。広告枠の数は変わらないので、広告主が多いほど、広告の上位掲載は難しくなります。
この「キーワードの競合性」はGoogleの提供するツール、「キーワードプランナー」で確認ができます。
競合性の高いキーワードばかり入札していると、クリック単価がかさむだけでなく、インプレッションシェアも低下します。インプレッションシェアを向上させるには、例えば、検索ボリュームは小さいが、コンバージョンにつながりやすいミドルキーワードやテールキーワードを登録してみることが大事です。また、部分一致で入札したキーワードの検索語句の中から成果の高いものを登録することも効果的です。