バリューチェーンとは?

バリューチェーンは、経営学者のマイケル・ポーター氏が提唱したもので、「競争優位の戦略」のことを指します。

企業が原材料を調達してから開発製造を行い、最終的に商品やサービスが消費者に届くまでの企業活動を、一連の価値が連鎖すると考えるフレームワークとして確立されています。

バリューチェーンを分析することは、コストのかかり方を分析することにもつながります。その結果、利益を高めるための戦略方法が見えやすくなるというメリットが期待できます。

また、どんな価値がどこで生み出されるかという点を分析することで、競争力を高める着眼点を得ることにもつながります。さらに、どの企業の商品・サービスにもバリューチェーンは存在するため、他社と比較することによって、自社製品の強みや弱みを把握できるというメリットも期待できます。

簡潔に言えばバリューチェーンは、サービスの付加価値が事業活動のどこで生み出されているのかを分析する手法と言えるでしょう。

フレームワーク

フレームワーク(framework)は物事を倫理的に思考するための枠組みという意味で使われています。状況や情報を的確に分析し、会社ごとに浮き彫りになった課題や方針へアプローチしていく手助けとなるものがフレームワークです。

サプライチェーンとの違い

サプライチェーンは物流に着目したフレームワークとなっています。

例えば製造会社が供給業者から原材料を発注して完成版(製品)に至るまでにどういう企業がどのように関わっていくかを分析する代物となっています。原材料の供給から顧客に製品が届くまでの一連の流れとして物流をマネジメントすることをサプライチェーンマネジメントと呼ぶことができます。

実際にサプライチェーンを考えてみましょう。例えば私たちの身直にあるiphoneを例にとって考えましょう。
iPhoneを製造並びに販売しているのはApple社です。しかしiPhoneの製造過程(つまり2次原材料を1次原材料に加工し、加工材料から生産活動を行い組み立てていく過程)がApple社単独で自己完結しているかと言われればそうではありません。

下記数字はどの材料がiPhoneを何パーセント構築してるかを示したものです。
31,1g アルミニウム
19,9g 炭素
18,7g 酸素
18,6g 鉄
8,1g シリコン
7,8g コッパー
6,6g コバルト
5,5g 水素
4,9g クロム
4,9g その他
2,7g ニッケル

iPhoneを1台制作する上でこのように多様な材料が必要になってくるわけで、これをApple社一人で調達するのは限度があります。ここで重要になってくるのがサプライヤーの存在です。ニッケル単体を見て、「あ、これiPhoneの元だ」と考える人は多くないでしょう。材料と製品は思いがけない接点がある物です。

つまり物を供給してくれすサプライヤーをはじめとして、制作の過程に携わる一連の流れを把握することが効率的な物流につながっていくのです。

バリューチェーンの活用事例

バリューチェーンは、コスト分析の際によく用いられます。

例えばペットボトルの飲料水では、ボトル1本の販売価格が100円程度でなければいけず、その中でも利益が出る必要があります。コスト分析では、販売価格のうち原料費が約20円程度、PET容器が17円程度、人件費や物流費が40円、リサイクル費用が1円、そして小売り利益が18円程度となります。

バリューチェーンのコスト分析を行い、どこでどのぐらいのコストがかかるのかを把握すれば、利益がどのぐらい出るかが分かりますし、コスト削減を含めた調整が可能となります。

競争力を高める目的でバリューチェーンを活用する事例もあります。

例えばスターバックスでは、他ブランドよりも高品質の原料を仕入れることによって他店との差別化を図っています。しかし、それだけでは十分な競争力とはいけません。店舗の雰囲気やイメージ、居心地なども高めたほうが、競争力強化につながります。

そうした競争力を強化するためにかかるコストを商品に少し上乗せすることで、「スターバックスは居心地が最高で最高のコーヒーを楽しめる店」というイメージを定着させられるのです。

まとめ

バリューチェーンとは、自社製品の製造過程を詳しく分析することによって、コストを分析したり、競争力を高めるための戦略方法を見いだそうという考え方です。

分析するだけで対策方法が分かるわけではありませんが、自社製品の強みと弱みを知ることで、競合他社との競争方法を見極めるヒントを得られるでしょう。