SWOT分析 (SWOT Analysis)とは?
SWOT分析とはフレームワークの一種で、自社の外部環境と内部環境を的確に分析し、ポジティブな要素とネガティブな要素とに分割してアプローチをかけていくことで経営戦略等の最適化(optimization)を図るフレームワークです。
SWOT分析はStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)それぞれの頭文字をとった造語になります。
フレームワークとは
フレームワーク(framework)は物事を倫理的に思考するための枠組みという意味で使われています。状況や情報を的確に分析し、会社ごとに浮き彫りになった課題や方針へアプローチしていく手助けとなるものがフレームワークです。
外部環境分析
外部環境分析とは消費者の需要・ニーズを掴む分析をすることです。世間のトレンドは常に変化を繰り返し非常に不安定な状態にあります。世間の気運がどこに向かっているのかを的確に分析することで、世間・消費者が求める会社像を見出すことができるのです。
例を挙げて見ましょう。2019年にアメリカの州で初めて毛皮製品製造・販売を禁止したのがカリフォルニア州です。カリフォルニア州の例に習いその他の州も同法案を可決審議しているようです。国単位で見ればドイツ・ノルウェー・ベルギー等欧州で同じ運動が見られるようです。そんな欧州情勢の中で、レザー商品を声を大にして販売するとあまり聞こえは良くありません。それどころか同ブランド製品の不買運動が製造禁止国で起こる危険性も孕んでいます。つまり外部環境分析は自流と時流を適度に使い分けていく指標となるのです。
SWOT分析でいうOpportunity(機会)、Threat(脅威)がこれにあたります。
内部環境分析
外部環境分析で世間の求める会社像を分析した結果、自社にはどういった強み(Strength)や弱み(Weakness)があり、またどういった対策を取れうるのかを見つめ直すのが内部環境分析です。自社の製品・サービスが競合優位性を有しているのかを確認し、またニーズが見出された分野への進出が未開であればそこも考え直さなければなりません。内部環境分析とは自分を振り返る行為なのです。
SWOT分析でいうStrength(強み)、Weakness(弱み)がこれにあたります。
SWOT分析の具体例
SWOTそれぞれの具体例を提示していきたいと思います。
Strength(強み)
・取引会社との関係性が良好である
・多数の海外支社の存在により、節税ができている
Weakness(弱み)
・DX化が進んでいない
・社長のワンマン
・ROIが優れない
Opportunity(機会)
・現地法人の拡大
・事業拡大
Threat(脅威)
・競合劣位性
・為替レートの変化
SWOT分析をどう活用していくか
この分析法では、まず最初に目標を設定します。
その後、外部環境における脅威や機会を検討するとともに、実現するための内部環境について模索します。具体的な要素としては、「強み」には立地条件や地域との関係性、スタッフのスキルやレベルなどがあります。「弱み」はスタッフの年齢や人手不足、スキルや経験値などがあります。また「機会」的な要素には社会的なニーズが挙げられ、「脅威」は法規制や競争激化などの要素があります。
SWOT分析分析をして各要素を抽出したら、それらを戦略として落とし込むクロスSWOT分析を行います。どの要素を掛け合わせるかにより、どんな戦略が適しているかを把握しやすくなりますし、適切または不適切な戦略が分かりやすくなります。
クロスSWOT分析(クロス分析)
クロスSWOT分析(クロス分析)とは内部環境分析と外部環境分析を掛け合わせ解決策を見出していく手法です。
Strength(強み)とOpportunity(機会)
自社のシーズ(持っている資産や製品・サービス)が最大限に活かせる分野を分析します。自社の強みが生きる機会があれば事業の拡大に大きな前進となります。
Strength(強み)とThreat(脅威)
自社のシーズ(持っている資産や製品・サービス)によってどこまで競合優位性を確立できるのかを分析していきます。適切な差別化戦略を行うことで競争が激しい業界でも生き抜いていくことが可能です。
Weakness(弱み)とOpportunity(機会)
自社の欠点を克服することでどのような機会が到来するのかを分析します。弱点分野に注力することで新たな事業開拓に繋がる可能性も否めません。
Weakness(弱み)とThreat(脅威)
自社の欠点に対して脅威(例えば競合他社)がどのような悪循環をもたらすかを分析します。無理に弱みを克服しようとするのではなく、時には退くことも一つの選択肢です。
SWOT分析の活用事例
実際の活用事例として、トヨタ自動車を例に挙げましょう。
Strength要素には、世界的なブランド力や安定した営業利益、さらには高品質の商品やサービスなどが挙げられます。
Weakness要素は、軽自動車の分野にあまり力を入れていないという点が考えられるでしょう。
外部要素となるOpportunityでは、マーケットは東南アジアを中心にまだまだ伸びしろが多いという点があります。
一方、Threat要素としては、日本国内では人口減少に伴うニーズの低下を始め、国内市場の収縮、またCASEに伴いカーシェアリングなど、個人による購入の低下などが懸念されます。
これらの要素をクロス分析すると、今後の戦略が浮き上がります。例えばStrengthとThreatからは、自動運転技術をより積極的に進化させ、将来的な市場のニーズに対応するという戦略が考えられます。またWeaknessとThreatからは、他のメーカーとアライアンス提携をした開発や販売が良さそうです。
まとめ
SWOT分析は、企業の内部環境と外部環境におけるプラス要素とマイナス要素を抽出し、それらをクロス分析しながら今後の企業戦略を関上げるというフレームワークです。
現状を見極めるとともに、社内と社外の要素を同時に分析することで、見落としていたチャンスを押さえた事業展開をしやすくなります。