ペルソナとは?
ペルソナとはアルファベットで表記すると「persona」となり、スペイン語の「人」という意味になります。
歴史をたどると、この「persona」(ペルソナ)はラテン語に行きつき、演劇で役者が使っていた仮面のことを表していました。この仮面という意味合いを取り、ユングという心理学者が「人間の外的側面」を意味する表現として「ペルソナ」という言葉を使うようになりました。
そして、この「ペルソナ」という言葉がマーケティングを語る際に使用される場合、象徴的な顧客イメージを表すのに使われます。性別や年齢層から職業、社内でのポジション、年収や住んでいる地域、ライフスタイルや嗜好に至るまで実際に存在するかのような人物像を設定し、ビジネス戦略を練るための材料にするわけです。戦略を練るための対象を絞る目的で設定する項目として「ターゲット」と呼ばれるものがあります。
「ターゲット」と「ペルソナ」は混同されがちなのですが、まったく異なるものです。「ターゲット」というのは、ある程度の幅を持たせて設定するユーザーです。個人レベルに対象を絞っているのではなく、ある「層」を対象にして絞り込むにとどまります。例えば、「40代の管理職男性」や「30代独身女性」といったようにです。一方、「ペルソナ」はさらに細かく人物像を設定します。
ペルソナを作ってみよう
作るだけはNG
端的にまとめれば、ペルソナは顧客のが理想化されたものと言えるでしょう。
商品Aを作った際、「こんな人に人気が出て欲しい」「こういった層に人気が出るだろうな」といった企業側の願望のようなものです。
簡単な例を引き合いに出しましょう。パンパースやムーニーマンなどのオムツ製品のペルソナはなんでしょうか。この場合、ペルソナは乳児がいる20代前期後半から30代中期がボリューム層になってくるでしょう。商品のペルソナが判明した後、私たちは何を行動に移すべきでしょうか。
答えは一つではありませんが、一番はマーケティングでしょう。ターゲット層に自社の製品・サービスをどのように周知させていくかという問題です。リスティング広告を出稿する際のKW選定にも役立つかもしれません。だた作るだけではなく、その活用方法を必ず考えましょう。ペルソナを活かすも殺すも担当者次第なのです。
作り方
ペルソナを作る際、「10代の若者」といった大雑把で曖昧なペルソナ選定ではなく、一つ一つストーリーを綿密に絡めて詳細なペルソナを作ることを心がけましょう。
既存の情報を洗い出す
まずは自社で持っている既存顧客のデータ等をユーザー属性(年齢や性別、居住地)購入している商品・サービス等に基づきグループ分けしていきましょう。
顧客の口コミを聞こう
自社の商品評価はどうしても主観的評価になってしまいがちです。これでは自社の商品・サービスが実際の市場でどれだけの価値を見出されているのかが不透明になってしまいます。既存顧客の中から顧客を抽出し生の声を聞いてみましょう。社内では見つけられなかた長所・短所が見つかるはずです。
実際のデータを見てみよう
ECサイトやコーポレートサイトへのトラフィックを可視化することでどのような人物がペルソナになり得るのかがかなり分かりやすくなります。流入KWをサーチコンソールで調べてみると、予想しえなかったユーザー層が浮き彫りになってくるかもしれません。
ストーリーを作成してみよう
大まかなユーザー層が分かれば次は詳細な情報を付与していきます。ストーリーの具体的な内容とすれば、まず仮定の人物をつくります。実物Aに対して家族構成や趣味、居住地などさまざまな情報を詰め込んでいきます。いわゆる肉付けです。
例)
社名:株式会社デジマール
資本金:1000万円
代表取締役:細田和宏
職種:広告代理店
事業:デジタルマーケティング事業
創立年:2016年
上場:非上場
ステータス:チャットツールに関心
背景:社員のタスク管理や業務連絡に滞りがある。
現状:ツールAを使用
不満:メンション機能やタスクアサイン機能がないためあまり効果がみられない。ROIがイマイチ、、
実際にペルソナを使ってみよう
前述しましたようにペルソナはただ作って終わりではありません。ペルソナ分析を踏まえた新しい何かを作り出す必要性があります。
カスタマージャーニーマップ
ペルソナ分析を進めることでカスタマージャーニーマップを作成することができます。カスタマージャーニーマップは、各購入フェーズでの心理状況を可視化したものでものです。この可視化があるおかげで、「こういったフェーズのユーザーの心理はこうなのだから、こういう施策を打とう」と画策することができるのです。
以下はチャットツールのペルソナ分析から作成したカスタマジャーニマップです。
認知ステージ | 検討ステージ | 決定ステージ | |
ペルソナの状況 | ・グループウェアに不満
・メンション機能要 ・店舗連携不足 |
・現ツールに不満
・タスク進捗が不透明 ・施策共有の煩雑さ |
・情報タイムラグ深刻化 |
ペルソナの行動 | ・チャットツールサーチ
・他社サーチ |
・チャットツール比較 | ・検討会社にコンタクト |
必要な情報 | ・一般的な予算
・業務連絡見直し要点 ・チャットツールの恩恵 |
・導入事例
・ROI |
・検討社の競合優位性
・同業種の事例 |
ペルソナ分析はあくまでも過程です。これをソースとしたより詳細で効能的なデータソースを作成しましょう。
ペルソナの実際の活用事例
ペルソナの設計に力を入れることによって成功を収めた企業に富士通があります。
富士通は、「小学生」・「教師」・「保護者」という3者のペルソナを細かく設定して、自社キッズサイトの構築に活用しました。そして、設定したペルソナが自社サイトにアクセスしたときに、どう感じるだろうか?、何かを調べる目的でサイトを使ってくれるだろうか?、またアクセスしてみたいと思ってもらえるだろうか?といった分析を行うことによって、幼い子供から、教育者さらには保護者の目線でサイトがどのように評価されるのかを細かく分析しました。
その結果、ハンドブックのダウンロードが累計で7,000件以上になるという成功を収めました。ペルソナを細かく設定するのは大変な作業です。それを複数行うことは確かに骨の折れる作業であったことでしょう。
しかしながら、この部分に時間と労力をつぎ込むことがサイトのアクセス数アップやユーザーの満足度を上げることに繋がっていったのです。
まとめ
ペルソナの設計は、何となく現実に存在しそうな人物像を設定していけば良いというわけではありません。自社のサービスや製品によって何がしたいのか、どんな特徴を持っているのかを考えたうえで、設計していく必要があります。