4つのブランド戦略とは?

現代ビジネスはこれまでになくブランド戦略が重視されるようになっていると言われています。かつてブランドといえば大企業、一流企業が持っているものとのイメージが強いものでした。テレビCMをはじめとした大資本を投入したマーケティング戦略によって知名度を高めることでブランドイメージを高める。こうした手法が一般的だったのですが、ビジネスの多様化やインターネットの普及などによってそうしたブランド戦略に根本的なレベルで大きな変化が生じているのです。

ターゲティングをしっかり行い、ピンポイントでマーケティングを行っていくことで特定の分野の方々に広く認知してもらえるブランドを築くことも可能です。もはやブランドと言えば有名ファッションブランドのように「誰でも知っている」必要はなく、特定の人たちが名前を聞いた時に「あの製品を出しているところだな」と連想できるようになればよいわけです。

そうなると中小クラスの企業でもブランドイメージを高めるチャンスに恵まれる一方、大企業には従来のブランド戦略の見直しが求められるようになります。ひとつの会社が複数のブランドを展開することも珍しくなくなっており、わかりやすい例では美容業界においてひとつの会社が若い世代向け、エイジングケア向けなど路線を分けた複数のブランドを展開していることも珍しくありません。

こうした現代ビジネスにおけるブランド戦略のひとつの形としてフィリップ・コトラーが提唱したモデルとして知られているのが「4つのブランド戦略」なのです。

これは「ライン拡張」「ブランド拡張」「マルチブランド」「新ブランド」の4つのコンセプトから成り立っています。

4つのブランド戦略の構成要素

「ライン拡張」では、すでに知名度を得ているブランドを活用しつつ製品の種類を増やすことを言います。それから「ブランド拡張」は同じくすでに知名度を得ているブランドを活用しつつ、そのブランドのイメージをさらに広げるような新製品・改良製品を売り出すことです。

「マルチブランド」とは同一の分野・カテゴリーの中で別の新たなブランドを展開することです。先述した美容関連の会社が複数のブランドを展開しているのと似ています。そして「新ブランド」はその名前のとおり新しい分野・カテゴリーに新しいブランドを展開することです。

4つのブランド戦略の活用事例

活用事例としてはマルチブランドの積極展開がわかりやすい例として挙げられるでしょう。同じカテゴリーに複数のブランドを持つことで売り場のスペースを増やすことができます。一つの会社の製品としてくくられるよりも、複数のブランドとして扱われる方が新製品が発売されたときの話題性や店舗でのスペースを確保しやすいわけです。またブランド拡張ではすでに確立したブランドで新技術を投入した製品を売り出しやすいメリットがあります。新しいブランドを立ち上げて発売するよりもマーケティングのコストなども少なく済ませることができるでしょう。

まとめ

それぞれのブランド戦略には難点もあります。新ブランドを立ち上げるにはコストがかかりすぎる、ブランド拡張をしすぎるとかえってブランドのイメージが曖昧になってしまうなど。ですから、この4つの戦略をうまく組み合わせて展開していくことができるかがブランド戦略では求められているのです。