ダイレクトマーケティングとは
ダイレクトマーケティングとは「企業が顧客にコミュニケーションを直接(ダイレクト)に取り関係性を構築していくマーケティング手法」のことです。
通常、マーケティングでは企業側が顧客に対して一方向の宣伝を行いますが、ダイレクトマーケティングでは双方向のコミュニケーションを取ります。つまり、以下の図のように広告メディアを通して1対1で双方向のコミュニケーションを取り、効果測定をしながら、顧客との関係性を築いていくマーケティング手法です。
これを具体的に言い換えると、およそ「外部の流通チャンネルを介することなく、ターゲットである消費者と直接的に1対1の関係でコミュニケーションを図る双方向マーケティング」と言うことができます。ECサイトで見ることのできる「あなたにおすすめの商品」などが、ダイレクトマーケティングの代表的な事例です。
他にも、
- ダイレクトメール
- テレマーケティング
- SNSを用いたマーケティング
- メルマガ
- ホームページでのチャット機能
などがあります。
ダイレクトマーケティングの特徴
ダイレクトマーケティングの主な特徴としては、主に以下の4つを上げることができます。
- 顧客との双方向コミュニケーションという性質に基づき、蓄積された顧客データをベースとしてプロモーション展開を行うことで、すべてを数値化して測定することが可能です。
- マーケティングでは顧客データベースをいかに活用することが重要となりますが、ダイレクトマーケティングでは、企業が顧客と直接繋がることで、顧客情報をデータ化し蓄積することが可能です。
- より販売性の高いダイレクトマーケティングでは顧客から得られた注文・問い合わせなどの反応を反映させ、「顧客生涯価値」(LTV)を高めることが可能です。
- データ化された顧客情報に基づいて適切に訴求することが可能となり、広告費用を数値化し可視化することが可能です。
ダイレクトマーケティングの目的
一般的なマスマーケティングはその対象を一般大衆とし、自社の商品やサービスを大衆に周知させることを目的として行われますが、ダイレクトマーケティングは個々の顧客とのコミュニケーションに重点を置いて長期的な関係を構築し、その顧客生涯価値(LTV)を高めることを目的とします。
顧客生涯価値(LTV)についての解説はこちらの記事で解説しています。ご確認ください。
ダイレクトマーケティングのメリット
ダイレクトマーケティングを用いる最大のメリットはPDCAを回しやすいということです。広告のレスポンス率や顧客のリピート率などのデータが数字として把握できるので、合理的に数字に基づいた効果の検証・改善施策の検討を行うことが可能です。
顧客やその購買行動を可視化するので、売上の予測が容易であり、論理的かつ計画的に売上を伸ばす施策を行うことが容易となるのもダイレクトマーケティングの大きなメリットのひとつです。
獲得した顧客情報をデータベースに積み重ねることでダイレクトメール(DM)やメールでのリピート購入を促すことが容易となり、特に「定期購入」や「月額課金」といった「ストック型ビジネスモデル」においては売上の継続化・安定化を図ることができます。
ダイレクトマーケティングの注意点
ダイレクトマーケティングを行う場合、投資回収まで時間がかかることを認識しておく必要があります。また、店舗を必要としない反面、顧客獲得のための広告費がかかります。
扱う商品の特性によっては、新規顧客獲得の時点では広告費が初回売上を上回ってしまい、一時的に赤字になる場合があるのも注意が必要です。ダイレクトマーケティングはリピート販売によって収益を上げるビジネスモデルであることを認識しておく必要があります。
ダイレクトマーケティングの歴史
マーケティングという概念が一般的に用いられるようになったのは20世紀に入ってからのことですが、ダイレクトマーケティングという概念は1961年にレスター・ワンダーマン(Letser Wunderman)によって提唱したことから始まりました。
ワンダーマンは通信販売業界で培われたマーケティング技術を一般的なマーケティングや広告の文脈に合わせて定義し、「双方向」「1対1」といった概念を流用し広告を始めCRM、フルフィルメントを含めたマーケティング手法として提唱しています。
1980年代に入り、IT技術の進歩が顧客管理システムに大きく影響を与え、顧客生涯価値という、短期的な顧客の刈り取りではない、既存顧客と信頼関係を構築し長期的な収益の持続化をはかる方法論が構築され、1990年代に入ると顧客の個人データや購入履歴に基づいて個別にアプローチを行う1to1マーケティングが提唱されました。
ダイレクトマーケティングの成功事例
ダイレクトマーケティングの成功事例としては、Japan Taxiがタクシーの配車依頼や支払い用に導入したアプリである「全国タクシー」という事例を上げることができます。
こちらのJapan Taxiの「全国タクシー」というアプリはクレジットカードの情報を紐づけることによって運転中に車内で決済が完了する事を可能にしています。
アプリ上で乗車時間を設定し、予約したタクシーが地図上でどこにいるのかを見ることができます。さらに乗車後に乗務員の評価をアプリ上ですることもできるという点から顧客側からのコミュニケーションを生み出しています。
このように、「全国タクシー」では企業と顧客の双方向のコミュニケーションを生み出し、顧客との関係性を創造しています。
まとめ
このように、ダイレクトマーケティングとは企業が顧客にコミュニケーションを直接取り、双方向のコミュニケーションを生み出すことで顧客の関係性を構築していくマーケティング手法になっています。
ダイレクトマーケティングを成功させるために、1対1で双方向のコミュニケーションによって効果測定をできるという点を活かし、日々の改善に取り組んでいきましょう。