1.4P分析とは?

4P分析とは、4Pと呼ばれる4つの要素を組み合わせた分析の手法です。その4つの要素を英語にすると全てPで始まることから4Pと呼ばれますが、具体的には物流、プロモーション、価格、製品の4つのことです。

何らかの新製品を売り込みたい、すでに発売済みの製品が今ひとつ浸透していない、このような場合に4P分析がよく用いられます。

物流(Place)の分析方法

まずは物流についてですが、分析するのは製品をどのような形で消費者に届けるかです。小売店に卸す、インターネットを利用した直販の形を採用するなど、販売の形をまず決めたいところです。小売店に卸す場合はどんな店に置いてもらうのか、問屋は通すのかなども決めなければいけません。

また、輸送の手段として何を用いるか、どの業者にお願いするか、倉庫にどれくらいの在庫を確保するかなども重要なポイントです。

プロモーション(Promotion)の分析方法

製品が優れていても存在が知られていなければ、売上を期待できません。こちらでは製品に応じた広告の種類、予算などから最適なプロモーション戦略を分析します。製品には必ずターゲットが存在しますが、そのターゲットに情報を届けるために最適な広告を見極めることが重要です。

美容系で若い女性がターゲットであればSNSでの宣伝が適している、逆に年配の方がターゲットであればテレビのコマーシャルが適しているなど、最適な宣伝手段は製品によって変わってきます。

また、インターネット通販がメインの製品であればインターネットでの宣伝を重視するなど、物流の要素との兼ね合いも重要です。芸能人、インフルエンサーに宣伝を依頼するのであれば、製品に合った人選も分析しておきたいポイントです。

価格(Price)の分析方法

続いては価格の分析です。当然ながら製品によって最適な価格は異なってきます。製造コストや物流、プロモーションとの兼ね合いもありますが、安くすればよいというものではありません。

薄利多売の製品であれば安いことがアピールにつながるものの、ブランドイメージを重視する製品だと一定の価格の高さがブランド価値を生むこともあります。製造コストや広告費などとの兼ね合いもあるため、価格設定は判断が難しいポイントです。

また、マーケティングでは価格弾力性という言葉があり、製品によって価格による売れ行きへの影響力は異なります。基本的に生活必需品は価格弾力性が小さいため影響は少ないものの、ブランド物のバッグなどの贅沢品は価格弾力性も大きく、需要に影響が出やすいので、この辺りも押さえておきたいところです。

製品(Product)の分析方法

デザインや製品の名前、保証内容など、その製品にまつわる様々な要素を分析します。この製品はどのようなところが売りなのか、購入してもらうことで消費者にはどんなメリットがあるのかなどを検討することが重要です。

2.基本の4P分析例

ここまで4P分析の4つのPについて説明しましたが、実際の4P分析ではこれらのバランスを調整していくのが基本です。この価格設定では想定していた広告を打つのが難しい、製品の価値と比べると少し価格が高いのではないかなど、どこかしらにバランスが悪い点が見つかります。

もちろん、予算の都合などの制約から完全にバランスを整えるのは難しいものの、できる限りバランスが悪い点を排除していくことが、その製品の適切な価値につながってくるのです。製品、価格、プロモーション、物流の順番で決めるのが基本で、おかしなところが出てきたら適宜修正します。

同時に、自社製品だけでなく同業他社の製品を分析し、世の中に受け入れられるよう、比較検討することも重要です。

3.4P分析の成功事例

4P分析の成功事例として、某メーカーの某清涼飲料水の知名度が高まった例を取り上げます。この清涼飲料水は機能性飲料に分類されますが、他社の機能性飲料と比べてやや知名度で劣っていました。

そこで、デザインをより健康を意識させるものに変え、あえてスポーツにあまり適していない冬場にコマーシャルを流して知名度を高めるなどの方法を採用して、一気に同業他社の製品に追いついたのです。

同業他社の製品との差別化を意識しつつも、価格は同じくらいに設定するなど見習うべきところはしっかり見習っており、よい4P分析の例として挙げられます。

4.4P分析を応用する

成功例も多いように4P分析は有用ではあるものの、企業側の都合で考えられたものだという批判を受ける場合もあります。4Pが提唱されたのは1960年ですが、1993年には4Cという新たなマーケティングの手法が生まれました。4Cはより消費者の目線に立った考え方であり、4Cの1つであるConvenienceは利便性の頭文字です。

4PのPlace(物流)では販売場所を企業の利益のために決めますが、消費者にとってより便利な販売場所はないかと考えるのも手です。企業が利益のために4P分析を活用するのはよいことですが、より消費者目線に立つことも重要ではないでしょうか。


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