AGIとは

AGIのイメージ画像

 

AGIとは「Artificial General Intelligence」の略で、「汎用人工知能」や「強いAI」とも呼ばれています。

人間レベル、もしくはそれを超える知能を持つ人工知能システムを指します。

 

現在のAIが特定の分野に特化した能力を持つのに対し、AGIは人間と同様に幅広い分野で学習し、推論し、問題解決を行うことができる汎用的な知能システムです。

現在私たちが利用している画像認識AI、音声認識AI、翻訳AIなどは、それぞれ特定の機能に特化した「弱いAI」に分類されます。一方、AGIは人間が行うあらゆる知的作業を理解し、実行できる能力を持つとされており、これが実現すれば、ビジネスや社会に革命的な変化をもたらすと予測されています。

 

AGIが持つ能力

AGIに期待される主要な能力は以下の通りです。

  • 汎用的な能力:特定の分野に限定されず、文理問わず幅広い領域において人間レベルの問題解決能力を発揮できる
  • 学習能力:新しい情報や経験から自律的に学習し、知識を蓄積できる
  • 推論能力:複雑な問題に対して論理的な推論を行い、解決策を見つけられる
  • 感情理解:人間の感情や意図を理解し、適切に対応できる

 

AGIを構成する3つの要素

AGIの実現には、以下の3つの技術要素が重要とされています。

 

機械学習

機械学習は、データから自動的にパターンを学習し、予測や判断を行う技術です。AGIでは、機械学習の中でも高度な「ディープラーニング」や「強化学習」が行われます。

 

認知アーキテクチャ

認知アーキテクチャとは、人間の認知プロセスをモデル化したものです。記憶、注意、推論、学習など、人間の認知機能を統合的に再現することで、AGIの基盤となる知的システムを構築します。

 

認知ロボティクス

認知ロボティクスは、物理世界との相互作用を通じて学習・成長するロボット技術です。AGIが真に人間レベルの知能を獲得するためには、カメラやセンサーなどを搭載したロボットの身体を持って環境と相互作用し、経験から学ぶ能力が不可欠とされています。

 

AGIと従来のAIとの違い

AGIと従来のAIの違いを整理すると、以下の通りです。

 

項目

従来のAI

AGI

適用範囲

特定タスクに特化

あらゆる分野に対応

学習方法

人間から与えられた大量のデータから学習

与えられたデータだけでなく、自らが取得した情報や経験から学習

自己進化

自己進化はしない(指定された範囲内でのタスクを実行)

限定的ではあるものの、経験や新たな情報から自身の能力を向上させる。

 

強いAIと弱いAI

現在ビジネスで活用されているAI技術の多くは「弱いAI」に分類されます。(高度で幅広いタスクをこなすChatGPTでさえも現段階では自然言語処理に特化したAIであり、弱いAIに分類されます。)弱いAIは特定のタスクに特化した能力を持ち、その分野では人間を上回る性能を発揮することがあります。例えば、将棋AIは将棋において人間のプロ棋士を凌駕し、翻訳AIは特定の言語ペアにおいて高精度な翻訳を提供します。

 

しかし、これらのAIは設定された範囲外の問題には対応できません。将棋AIは囲碁を指すことができず、翻訳AIは画像認識を行うことができません。それぞれが「専門家」として機能する一方で、汎用性に欠けるのが弱いAIの特徴です。

 

一方、強いAI(AGIやASI)は人間と同様、またはそれ以上の汎用的な知能を持ちます。新しい分野の学習、異なる問題への応用、創造的な思考、感情の理解など、人間が行うあらゆる知的活動に対応可能です。

 

ビジネスの観点から見ると、弱いAIは業務の効率化や特定タスクの自動化に貢献していますが、強いAIは戦略立案、創造的な問題解決、複雑な意思決定プロセスなど、より高次の業務にも対応できると期待されています。これにより、ビジネスモデルそのものを変革する可能性を秘めています。

 

ASIとは

AGIと似た意味の言葉として、ASIがあります。ASI(Artificial Super Intelligence)は、AGIの次の段階として位置づけられる「超人工知能」です。人間の知能を大幅に上回る能力を持つAIシステムを指し、あらゆる分野において人間を凌駕する性能を発揮します。

 

ASIは、AGIが実現された後、さらなる自己改善や学習を重ねることで到達すると考えられています。その能力は人間の理解を超える可能性があり、科学技術の発展、医療の進歩、社会問題の解決など、人類社会に根本的な変革をもたらすと予想されています。

 

シンギュラリティとは

AGIやASIの実現で起こるとされているのが、シンギュラリティ(技術的特異点)です。シンギュラリティとは、AI技術の発展により、AIが人間の知能を超える瞬間を指します。

 

シンギュラリティでは、AI自身がより高度なAIを開発する「知能爆発」が起こるとされています。この結果、技術進歩の速度が急激に加速し、人間に予測困難な変化が生じる可能性があります。

 

AGIの実現はいつなのか

AGI実現の時期について、現時点では明確になっていませんが、5年以内に実現すると発言する有力者が多くいます。

 

例えば、米テスラのイーロン・マスク氏は2026年までに実現する可能性が高いと述べています。

ソフトバンクグループの孫正義氏は、2024年に行われた特別講演で、AGIは2、3年後に実現し、ASIの世界が10年以内に来ると発言しました。

 

(参考:※1、※2)

 

AGIの活用例

汎用的な知能を持つAGIは、業界や職種を問わず幅広い分野で革新的な変化をもたらすと予想されています。ここでは3つの分野ごとの期待される活用例を紹介します。

 

教育分野

教育分野では、AGIが個別最適化された学習体験を提供できると期待されています。

各学習者の理解度や学習スタイルに応じて、最適な教材や指導方法を自動選択し、効果的な学習支援を行います。

また、24時間対応の個人教師として機能し、質問対応や学習進捗管理も可能になるでしょう。

 

医療分野での活用

医療分野では、AGIが膨大な医学知識と患者データを統合分析し、より精密な診断や治療法の提案を行えると期待されています。

画像診断、遺伝子解析、薬物相互作用の予測など、専門性の高い医療業務を人間医師と協力して実行することで、医療の質と効率性の大幅な向上が見込まれます。

 

マーケティング分野

マーケティング分野では、AGIが消費者行動の深層心理まで分析し、極めて精度の高いターゲティングやパーソナライゼーションを実現できる可能性があります。

リアルタイムでの市場動向分析、競合他社の戦略予測、最適な価格設定なども自動化され、マーケティングROIの大幅な改善が期待されます。

 

AGIがビジネスに与える影響

AGIの実現は、ビジネス界に前例のない変革をもたらし、企業間の競争力格差を拡大させる可能性があります。

AGIを効果的に活用できる企業は、研究開発や意思決定の速度・精度が飛躍的に向上する一方、活用に遅れる企業は短期間で決定的な格差に直面するリスクを抱えます。

 

マーケティングの分野では、AGIによる顧客行動の精密な分析と予測、リアルタイムでの市場動向把握、高度にパーソナライズされた顧客体験の提供が可能となり、マーケティング戦略の自動最適化によって競争優位性が大幅に向上します。

その一方、AGIを活用できない企業は、効果的なマーケティングを実施できず、事業を成長させることができなくなってしまう可能性があります。

 

AIを活用したマーケティングはデジマールにお任せください

現在はAGI時代の到来を見据えて、AI技術を効果的に活用したマーケティング戦略の構築が重要です。

デジマールでは、最新のAI技術とデジタルマーケティングの専門知識を組み合わせ、お客様の競争力向上をサポートいたします。

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※1:Yahoo!ニュース 「人間超えるAI、実現はいつ? グーグル・ディープマインドCEO「汎用人工知能は5~10年以内に実現」」

※2:SoftBank 「AIは数年で超知性へと進化し、パーソナルメンターに。孫正義 特別講演レポート」