経験価値マーケティングとは?

「モノ消費」よりも「コト消費」が重視される時代が来ていると言われています。これまでの市場ではもっぱら「大量生産・大量消費」を前提の上に「いかによいものを作り、多くの人にその魅力をアピールできるか」がマーケティングの至上命題でした。いわば「モノ」を媒介にしたマーケティングでした。しかしこれからは「コト消費」を土台に据えたうえで「体験」を媒介にしたマーケティングが求められていると言われているのです。

この新しい時代のマーケティングコンセプトのことを、経験価値マーケティングと呼んでいます。

では、「体験・経験」を媒介にしたマーケティングとはどのようなものなのでしょうか。通常モノやサービスを売るときにはその性能やメリットを全面に押し出して宣伝します。このデジカメがいかに鮮明な画像を撮影できるか、このファンデーションはいかにカバー力に優れているかなど。性能がよいものほど売れる可能性を秘めているのはもちろんのこと、プラス知名度を高めるためのブランディングやマーケティングが求められます。

しかし、これらのマーケティングはあくまで不特定多数を対象にした総合的な内容となっています。それ対して経験価値マーケティングは、体験を通すことでより細かなターゲティングを行うことで、より個人レベルの印象に残るマーケティングを行うことを目指しています。

例えば化粧品だったら単にカバー力や保湿力といった性能面ばかりをクローズアップするのではなく、それを使うことでどんな気分になれるのか、どんな体験を味わうことができるのかを重視します。エイジングケア化粧品なら、使って若々しい印象になることでどんな気分を味わうことができるのかを、多くの人にイメージさせるような形です。デジカメの場合なら撮影を通してどんな体験、思い出を作ることができるか。旅行での撮影や友人・家族との記念撮影を特別なものにする魅力を秘めている、といった面が強調されます。

そんな経験価値マーケティングでは5つのタイプの経験が重視されます。「Sense」「Feel」「Think」「Act」「Relate」です。実際に行動を通して経験し、頭と体の両方が感じて、考えて、それをいろいろなことに結びつけるわけです。

こうした機会をいかにうまく作ることができるか、顧客がその商品・サービスを通して特別な体験をしているような感覚にさせることができるか。これが経験価値マーケティングの最大のポイントと言えるでしょう。

経験価値マーケティングの活用事例

実際に商品を試してもらうイベントやコーナーを設けるケースが増えています。化粧品売場で実際に製品を使ってメイクをしてもらうなどは、もっとも頻繁に見られるケースといえるでしょう。その経験を通して「普段と違う自分」に気づくことでそれが特別な経験となり、強力な購買意欲を引き出すことができるわけです。

まとめ

インターネットビジネスの普及によって、人と人が関わることなく売買や取引が成り立つ時代になっています。だからこそこうした体験を通したマーケティングが特別な価値を持つ状況になっていると言えるでしょう。マーケティングする側としては、こうした機会を作ることで増えるコストをいかにメリットで回収することができるかがポイントとなってくるのでしょう。