デシル分析とは?

デシル分析は、実際の購買データを用いて分析を行う手法です。顧客の分類をすることによって、いわゆる優良な顧客を発見してマーケティングにかかる努力を集中したり、特別なサービスを提供したりするのが目的です。まず、ECサイトなどにおける購買データをすべて出して、それを顧客ごとに分けていきます。その上で、購入金額に応じて10のクラスに分けていきます。これは、「1,000円、2,000円、3,000円」といった金額による分類ではなく、一度購入金額順に全顧客を並べて、それ上から10等分していくという手法です。その上で、全体の購買金額に対して、それぞれのクラスの購買額がどのくらいの割合を占めているかを算出します。

こうして、顧客を10のランクに分けて、売り上げ貢献度を図ることができるようになります。また、それぞれのクラスによって購入比率が分かるのもマーケティング戦略を検討するのに役立ちます。同時に、売り上げ高の構成割合を確認することができて、マーケティングの弱点や優れている点を確認できるようになります。これにより、売り上げが弱いグループに対して、その層にメリットとなる販売価格の製品を出したり、キャンペーンを売ったりするなどの施策をとれます。また、売上高が高いグループに対して、特典を提供するなどして、強固なリピーターを作ることもできます。

フレームワーク

フレームワーク(framework)は物事を倫理的に思考するための枠組みという意味で使われています。状況や情報を的確に分析し、会社ごとに浮き彫りになった課題や方針へアプローチしていく手助けとなるものがフレームワークです。

デシル分析はなぜ必要なのか

デシル分析を簡潔に言えば、一つの母集団から各フェーズごとにユーザー・顧客を抽出する手段です。デシル分析の必要性はこの点にあります。例をあげて考えてみましょう。

XさんとYさんはそれぞれサブスクリプション形式のアプリを運営しています。顧客Aはサブスクリプションを長期的に利用しており優良顧客となっています。対して、顧客Bはサブスクリプションを先月始めたばかりの状態、顧客Cはサブスクリプションに興味を持っている状態です。

XさんとYさんはそれぞれ新規顧客の開拓と既存顧客のリピート率を増やすための施策を打ち出しました。Xさんは新規顧客・既存顧客両方に向けた一つの施策を提案し、Yさんはデシル分析で各フェーズ毎にユーザーを抽出しフェーズに合わせた施策をそれぞれ打ち出しました。さてどちらの施策が効果をより発揮するでしょうか。

確かにXさんの方法が悪いわけではありません、新規顧客と既存顧客両方のニーズを掴んでいるものであればそれは成功するでしょう。しかしながら、十人十色という詞があるように個人にはそれぞれの個性があります。誰一人として他人と完全に同じ趣向を持っている人はいません。

例えばトマトがあるとします。トマトはよく嫌いな食べ物としてあげられることの多い野菜ですが、ケチャップだと食べられる人も多いです。トマトジュースであれば大丈夫な人もいます。ケチャプが食べられないけどとトマトジュースであれば大丈夫な人もいますし、逆も然りです。つまり個人の趣向は細分化できるということが言えるわけです。施策を行ってもその母集団に中にはズレが生じ結果として効果的な人とそうでない人がいるわけです。

Yさんのデシル分析は大きな母集団からフェーズを基準に子集団を抽出し、抽出した集団に合わせた施策を提供します。つまり同じ趣向を持っている顧客を集めているわけですからXさんの方法で生じたズレを最大限押さえることができ、施策の効果を最大限に発揮できるというわけです。

デシル分析の活用事例

自社で総合的な物販をしているECサイトがデシル分析を利用した事例です。デシル分析によって顧客を分類すると、購入金額が30,000円以下のグループから、20万円程度のグループまで大きな購入金額の違いがあるグループ分けができました。全体のうちの購入金額比率を見ると、上位の3位だけで65%を占めていることが分かりました。一方で、特定の期間の中で累積購入金額を比較してみると、4位グループが非常に高い比率になっていることが分かりました。ここから、上位3位グループは一度当たりの購入金額は高いもののリピートは少なく、中間層のリピート率が高いことも分かりました。そこで、高額購買者へのリピートを促す施策を採るべき必要を確認できたのがメリットでした。

まとめ

デシル分析は、購入金額によって分類をしていくという手法です。そのため、売り上げに貢献してくれるグループがどのくらいの金額を払っているかを確認できます。販売価格の設定や、購買客へのサポートをどうするかを考える手助けとなるのです。