LINE広告を活用している、もしくは活用を検討している広告運用者の中には「広告配信を最適化するために自動入札をを活用したいが、どのように設定すればかわからない。」といったようなお悩みの持っている方がいらっしゃるのではないはないでしょうか。結論として、適切な入札戦略の選定が成果最大化のカギです。この記事では、豊富な広告運用実績を持つデジマール社員が、LINE広告の自動入札の基本的な仕組みやオークションの流れ、入札戦略の選び方、活用する際のポイントをわかりやすく解説します。この記事を読むことで、LINE広告運用の効率化と効果向上の実現方法が明確になります。
LINE広告の自動入札とは
LINE広告の自動入札は、事前に設定したイベント単価や予算内で最適な入札額を自動的に調整し、広告パフォーマンスを最適化する機能です。これにより、手動での細かな調整が不要となり、効率的な広告運用が可能となります。
自動入札と手動入札との違い
LINE広告の入札方法には自動入札とは別に、手動入札という入札方法があります。両者の違いを以下の表にて説明します。
入札方法 |
概要 |
向いている方 |
自動入札 |
AI技術を活用して、設定した目標や予算内で最適な入札額を自動的に調整する。 |
・運用効率を高めたい方 ・扱うキャンペーン数が多い方 |
手動入札 |
運用担当者が入札額を手動で設定・調整する。キャンペーン数が多いと、労力と専門知識が必要になる。 |
・細かく入札額を調整したい方 ・特定の広告枠を確実に獲得したい方 ・扱うキャンペーン数が少ない方 |
広告運用を効率化したい方には「自動入札」がおすすめ
自動入札は、AIが最適な入札額をリアルタイムで調整するため、特に広告運用の経験が浅い担当者や、運用効率を高めたい場合に適しています。また、LINE広告全体の8割以上が自動入札で運用されているように、一般的には入札方法は自動入札の活用が推奨されています。一方、特定のターゲットや戦略に基づいて細かく入札額を調整したい場合や、特定の広告枠を確実に獲得したい場合など、手動入札が有効である場合もあります。運用の目的やリソースに応じて、適切な入札方法を選択することが重要です。
(参考:※2)
LINE広告のオークションの流れ
自動入札の具体的な説明をしていく前に、前提知識として、配信される広告をリアルタイムで決定するLINE広告のオークションの流れをご説明します。
それぞれのフェーズについて、詳しく解説いたします。
①集客
ユーザーが広告枠のあるページに訪れると、広告の表示を要請する「アドリクエスト」が発 生し、広告のセレクションが行われます。
例)ユーザーがLINE広告のトークリストに訪問
②セレクション
ユーザーに合うと判断された各広告グループ内の広告それぞれに対し、eCPMが計算されます。その値が広告グループ内で最も高い広告が選定され、オークションに進みます。
eCPMとは、広告表示1,000回あたりの費用のことです。課金形態がクリック課金である場合は、クリック率などの予測値を元に計算されます。これにより異なる課金形態の広告同士でも、オークションを行うことができるようになっています。
例)広告グループA、B、CそれぞれからeCPMが最も高い広告が選ばれる。
広告グループA |
広告グループB |
広告グループC |
|||
広告 |
eCPM |
広告 |
eCPM |
広告 |
eCPM |
広告a-1 |
800円 |
広告b-1 |
600円 |
広告c-1 |
400円 |
広告a-2 |
700円 |
広告b-2 |
700円 |
広告c-2 |
300円 |
上記のような場合は、広告グループAからは広告a-1が、広告グループBからは広告b-2が、広告グループCからは広告c-1が選定される。
③オークション
各広告グループから選ばれた広告同士でオークションが実施され、オークションに参加した広告の中で最も高いeCPMを提示した広告が選ばれます。
例)広告a-1のeCPM:800、広告b-2のeCPM:700、広告c-1のeCPM:400であるため、eCPMが最も高い広告a-1が選ばれる。
④インプレッション
オークションで選ばれた広告がユーザーの画面に掲載され、これが1インプレッションとしてカウントされます。
例)広告a-1がトークリストの広告枠に掲載される。
(参考:※1)
自動入札の仕組み(最適化の対象など)
自動入札を利用する際、広告主は、最適化の対象とするイベント(クリックやコンバージョンなど)と入札戦略を指定する必要があります。LINE広告の自動入札ではキャンペーンの目的に応じて、最適化の対象に指定できるイベントがいくつか、決められています(1つの場合もある)。その中から「最適化の対象」として指定したイベントと、入札戦略を基に入札額が最適化されます。
下記の表では、自動入札において各キャンペーン目的に定められている最適化対象・課金タイプ・入札戦略で設定できる最低価格を示しています。
キャンペーン目的 |
入札方法 |
最適化の対象 |
課金 タイプ |
最低設定価格 |
備考 |
ウェブサイトへのアクセス |
自動 |
クリック数 |
CPC |
36円/クリック |
(1) |
ウェブサイトコンバージョン |
自動 |
コンバージョン数 |
CPM |
1,200円/コンバージョン |
|
自動 |
カスタムコンバージョン数 |
CPM |
1,200円/コンバージョン |
||
自動 |
標準イベント数 |
CPM |
1,200円/コンバージョン |
||
自動 |
クリック数 |
CPC |
36円/クリック |
(1) |
|
アプリのインストール |
自動 |
インストール数 |
CPM |
100円/インストール |
|
自動 |
CPC |
100円/インストール |
(1) |
||
自動 |
SKAdNetworkインストール数 |
CPM |
100円/インストール |
||
自動 |
CPC |
100円/インストール |
(1) |
||
自動 |
クリック数 |
CPC |
36円/クリック |
(1) |
|
アプリのエンゲージメント |
自動 |
オープンイベント数 |
CPC |
200円/オープン |
(1) |
自動 |
CPM |
200円/オープン |
|||
自動 |
購入イベント数 |
CPC |
200円/購入イベント |
(1) |
|
自動 |
CPM |
200円/購入イベント |
|||
動画の再生 |
自動 |
100%再生数 |
CPM |
2円/動画の100%再生 |
(2) |
自動 |
3秒再生数 |
CPM |
1円/動画の3秒再生 |
(2) |
|
友だち追加 |
自動 |
友だち追加数 |
友だち追加単価 |
75円/友だち追加 |
|
商品フィードから販売 |
自動 |
コンバージョン数 |
CPM |
1円/コンバージョン |
|
自動 |
クリック数 |
CPC |
1円/クリック |
(1) |
|
リーチ |
自動 |
リーチ数 |
CPM |
200円/1,000インプレッション |
(3) |
(1)CPC課金の場合、動画配信を行うことはできない。
(2)入札戦略は「イベント単価の上限を設定」「イベント単価の目標を設定」のいずれかとなる。
(3)入札戦略は「イベント単価の上限を設定」「単価の上限なしで1日の予算の消化を最大化」のいずれかとなる。
(参考:※3)
自動入札の設定項目
LINE広告の配信は「キャンペーン作成→広告グループ作成→広告作成」の流れで進めますが、入札方法などは、広告グループ作成の際に設定します。自動入札を設定する際には、以下の項目を設定します。
(各項目はキャンペーン作成の際に設定する「キャンペーンの目的」によって選択できる項目が変わります。)
・入札単価の設定方法
設定したキャンペーン目的に合わせて、入札方法を選択します。最適化したいイベントをもとに設定します。
・課金方式
選択した入札単価の設定方法に合わせた課金方法が表示されます。
・入札戦略
LINE広告では、以下の4つの入札戦略が提供されています。(詳しくは後述)
- イベント単価の上限を設定
- イベント単価の目標を設定
- 入札額の上限を設定
- 単価の上限なしで1日の予算の消化を最大化
・入札価格 or 上限単価 or 目標単価
設定した入札単価の設定方法や入札戦略に応じて、入札価格 、上限単価、目標単価のいずれかを設定します。
自動入札の4つの入札戦略と選定方法
LINE広告の自動入札では、以下の4つの入札戦略が提供されています。
イベント単価の上限を設定
目標とするイベント単価の上限を設定し、その範囲内で目標イベントの最大化を図ります。コスト管理がしやすく、予算を超える心配が少ないのが特徴です。予算を守りながら効果を最大化したい場合に適しています。
ここでの「イベント単価」とは、ユーザーが広告を通じて特定のアクション(例:リンククリック、商品購入、アプリインストール、友だち登録など)を行った際に発生する費用のことを指します。
イベント単価の目標を設定
目標とするイベント単価を設定し、その前後10%の範囲を維持しつつ、目標イベントの最大化を目指します。コストを意識しつつ、できるだけ多くの目標イベントを得たい場合に適しています。
入札額の上限を設定
入札額の上限を設定し、その範囲内で入札を行います。上限を超えるオークションには参加しないため、予算管理がしやすい反面、機会損失のリスクもあります。イベント単価を抑えることを重視する場合に適している。
単価の上限なしで1日の予算の消化を最大化
1日の予算消化を最優先とし、単価の上限を設けずに目標イベントの最大化を図ります。オークションでは、勝てる単価で入札されます。より多くの成果を求める場合に適しています。広告の露出を一気に増やしたい、または短期間で大きな効果を狙いたいときなどに適しています。
入札戦略の選定方法
入札戦略を選定するには、広告配信を行うにあたって、何を優先するのかを明確にする必要があります。4つの入札戦略が、どのようなことを優先する広告主に適しているかを以下の表で説明します。
入札戦略 |
適している広告主 |
イベント単価の上限を設定 |
「目標イベント単価を超えないこと」を優先しながらも、できるだけ多くの目標イベントを獲得したい広告主 |
イベント単価の目標を設定 |
目標イベント単価の少し(10%程度)の超過を許容し、「できるだけ多くの目標イベントを獲得すること」を優先する広告主 |
入札額の上限を設定 |
「イベント単価を抑えること」を優先する広告主 |
単価の上限なしで1日の予算の消化を最大化 |
「短期間で、多くの目標イベントを獲得すること」を優先する広告主 |
何を優先するべきかを見極めることが難しい場合もあると思います。そのような場合は、目標CPAや日予算などに合わせて賢く入札単価を調整してくれる「イベント単価の上限を設定」や「イベント単価の目標を設定」が推奨されています。
自動入札時に設定できる「自動ターゲティング」の利用条件
自動ターゲティングとは、機械学習を活用して、設定したターゲティング条件内で設定したイベントが見込まれるユーザーを自動で探し出し、広告を配信する機能です。
自動ターゲティングは、自動入札の設定時にのみ利用することができます。その他に、利用できる条件として、キャンペーン目的、最適化の対象、課金タイプが決められているため、以下の表で、自動ターゲティングが利用できるキャンペーン目的、入札方法、課金タイプの組み合わせを示します。
キャンペーン目的 |
入札方法 |
最適化の対象 |
課金タイプ |
ウェブサイトへのクリック |
自動 |
クリック数 |
CPC |
ウェブサイトコンバージョン |
自動 |
コンバージョン数 |
CPM |
クリック数 |
CPC |
||
アプリのインストール |
自動 |
インストール数 |
CPM |
CPC |
|||
クリック数 |
CPC |
||
アプリのエンゲージメント |
自動 |
オープンイベント数 |
CPC |
CPM |
|||
購入イベント数 |
CPC |
||
CPM |
|||
友だち追加 |
自動 |
友だち追加数 |
友だち追加単価 |
動画の再生 |
自動 |
動画の3秒再生数 |
CPM |
動画の100%再生数 |
CPM |
(参考:※4)
*LINE広告のターゲティングの詳細については、「【一覧掲載】LINE広告の「ターゲティング」全4種類を解説!」をご覧ください。
LINE広告で自動入札を活用する際の3つのポイント
LINE広告の自動入札を上手く活用するためのポイントを4つご紹介します。
ポイント① 月間40件以上のCVを獲得する
自動入札の最適化は広告グループ単位で行われ、学習完了に必要なイベントは、広告グループ単位で約40件とされています。
そのため、ターゲティングを狭く設定しすぎないようにしましょう。ターゲティングを狭く設定しすぎると、広告の表示回数やクリック数が限られ、十分なデータが収集できません。
(管理画面の「配信ステータス」が「利用可能:学習完了」となっていれば自動入札が動作しています。)
ポイント② 学習期間中は設定内容を変更しない
学習期間中は(管理画面の「配信ステータス」が「利用可能:学習中」の間)、設定を変更しないようにしましょう。 途中で設定を変更すると、AIによる学習機能が上手く働かず、効果的な最適化が行われなくなる可能性があります。学習期間中は変更を控えることが望ましいです。
ポイント③ 季節性やキャンペーンの影響を考慮する
自動入札は過去のデータを基に最適化を行うため、季節性や特別なキャンペーン期間中のデータが影響を与える可能性があります。例えば、普段は実施していないテレビCMでのPR直後に、自動入札の学習期間に入ると、通常時とは異なる状況下のデータを学習するため、入札調整が不安定になる場合があります。したがって、通常時の学習データを蓄積できるように、配信スケジュールを調整する必要があります。
自動入札は決して簡単ではない
自動入札は自動で入札単価を設定してくれるという魅力があるものの、上手く活用するためには入札戦略などの項目を適切に設定する必要があります。そのため、LINE広告の自動入札を活用しようとしても、設定項目や戦略の選び方に悩むこともあると思います。また、成果が出ない場合、原因を特定し改善するには時間と手間がかかることがあります。こうした課題を解決する1つの方法が、専門家による運用サポートです。広告代理店を活用することで、最適な設定や運用が可能になり、効率的な成果の獲得が期待できます。
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※1:LINE株式会社 LINE広告運用ガイド(ウェブサイトコンバージョン編)
※2:LINEキャンパス LINE広告の基礎知識③(入札編)