LINE広告を活用する企業の多くが「一度サイトを訪れたユーザーを再び引き戻したい」と考えているのではないでしょうか。そこで有効なのが「リターゲティング広告」です。リターゲティング広告を適切に活用することで、コンバージョン率を向上させ、広告費の無駄を減らすことが可能です。しかし、配信方法や設定を誤ると「しつこい広告」としてユーザーに敬遠されるリスクもあります。

 

本記事では、LINE広告におけるリターゲティング配信の仕組みやメリット・デメリット、具体的な配信方法を詳しく解説します。さらに、広告効果を最大化するためのポイントも紹介します。執筆は、豊富なLINE広告運用の実績を持つデジマールの社員が担当します。

 

この記事を読むことで、LINE広告のリターゲティングの基礎から実践的な配信方法までを理解し、自社の広告戦略に活かせるようになるはずです。

 

リターゲティング配信とは

リターゲティング配信とは、過去に自社サイトやアプリに訪問・接触したユーザーに対して再度広告を配信する手法です。ユーザーは既に自社商品やサービスに興味を示しているため、最初の接触時よりも高いコンバージョン率が期待できます。


この手法は、限られた広告予算を効率的に活用し、無駄な露出を抑えながらもユーザーの再訪問や購入促進を狙うため、広告運用担当者にとっては非常に重要な施策となります。

 

LINE広告でのリターゲティング配信では、トークリスト、LINE VOOM、LINE NEWSなど様々な配信面に広告を掲載することができます。

また、費用相場としては、クリック課金の場合は1クリックあたり24円〜200円程度、インプレッション課金の場合は、1,000インプレッションあたり400円〜650円程度です。

 

*LINE広告のターゲティングの詳細については、「LINE広告のターゲティングを解説!セグメントやオーディエンスの種類も紹介」をご覧ください。

 

リターゲティング配信のメリット

リターゲティング配信は、以下のような多くのメリットをもたらします。ここでは、特に注目すべき3つのメリットについて解説します。

 

コンバージョン率や費用対効果が高い

リターゲティング配信では、既に自社サイトを訪問したユーザーに広告を配信するため、商品やサービスについて認知しており、なおかつ購買意欲を持っている可能性の高いユーザーにアプローチすることができます。


そのため、初回訪問時に比べてコンバージョン率が大幅に向上するケースが多く、広告費用対効果(ROI)の改善にも直結します。

広告への接触回数を増やすことができる

リターゲティング配信は、一度自社サイトを訪れたユーザーに対して複数回広告を表示することで、ブランド認知の強化や購買意欲の促進に寄与します。
頻繁な接触により、ユーザーの記憶に残りやすくなるため、最終的な購入決定を後押しする効果があります。


また、ユーザーの興味関心に合わせたクリエイティブやメッセージをタイミング良く配信することで、効果的なリマインドが可能です

 

比較・検討のために離脱したユーザーを呼び戻すことができる

ユーザーは商品やサービスを比較・検討するために一度サイトを離れることがあります。
リターゲティング広告は、そうした離脱ユーザーに対して再度アプローチすることで、忘れかけられていた自社製品を再認識させ、購買行動を促す効果があります。


特に、長い検討期間を要する高単価な商品やサービスの場合、離脱後の再接触は非常に重要な施策となります。

 

リターゲティング配信のデメリット

リターゲティング配信には多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、代表的な4つのデメリットについて解説します。

 

マイナスイメージを持たれる可能性がある

同じ広告が何度も表示されると、一部のユーザーは煩わしさや押し付けがましさを感じる可能性があります。
特に、頻繁にリターゲティング広告が表示されることで、ユーザーが「広告がうるさい」と感じ、ブランドイメージに悪影響を与えるリスクがあります。
そのため、配信頻度の調整やクリエイティブの工夫が求められます。

 

新規顧客や潜在顧客の獲得には向いていない

リターゲティング配信は、あくまで過去に自社サイトを訪れたユーザーが対象となるため、新規顧客やまだ自社に接触したことのない潜在顧客の獲得には向いていません。
新規顧客の獲得を狙う場合は、ターゲティング広告やより広範囲にリーチできる他の広告手法と組み合わせる必要があります。

 

検討時間が短い商材には向いていない

緊急性が高いサービス(水道修理や害虫駆除など)や、日用品・低価格商材の場合、ユーザーは比較的迅速に購入や利用に至るため、再接触したとしても既に自社や他社で購入が済んでいる可能性が高いです。
そのため、リターゲティング配信の効果が発揮されにくい場合があります。

 

Cookieの規制

リターゲティング配信は、ユーザーの行動履歴を追跡するためにCookieを利用します。
しかし、近年のプライバシー保護の強化やブラウザによるCookie規制の影響で、十分なユーザーデータを収集できなくなるリスクがあります。
このため、今後はCookieを使用しない環境に適した新たなターゲティング手法の導入が求められる可能性があります。

 

LINE広告でのリターゲティング広告の配信方法

LINE広告におけるリターゲティング配信は、以下の3ステップで実施します。各ステップの詳細な手順を理解することで、効率的な広告運用が実現できます。

 

ステップ1:LINE Tagの設置

まず、リターゲティング配信の基盤となるLINE Tagを自社サイトに設置します。

LINE Tagとは、自社サイト内でのユーザーの行動データを計測し、広告効果を測定するためのタグのことです。LINE Tagには、ベースコード/コンバージョンコード/カスタムイベントコードという3種類のタグがあります。

 

リターゲティング配信をするには、必ずWebサイトに、ベースコードを設置する必要があります。その他のタグは用途に応じて、利用してください。

*LINE Tagの種類については、「【画像付き】LINE広告の配信方法|始め方・出し方を徹底ガイド」をご覧ください。

 

以下に、LINE Tagの設置手順を説明します。

 

1.広告管理画面にログインし、リターゲティング配信を行いたい広告アカウントを選択

 

2.左上の[≡(MENU)]>[トラッキング(LINE Tag)]をクリック

LINE Tagボタンの場所

 

3.表示されるベースコードをコピーし、自社サイトに設置

 

ステップ2:オーディエンスの作成

次に、LINE Tagで収集したデータをもとに、リターゲティング用のオーディエンスを作成します。
オーディエンスとは、特定の条件を満たしたユーザーリストのことで、たとえば「サイト訪問者全体」や「特定のページを訪問したユーザー」などの条件でリストを作成できます。

オーディエンスは以下の手順で作成します。

ここでは、特定のページを訪問したユーザーのオーディエンスを作成します。

 

1.広告管理画面にログインし、リターゲティング配信を行いたい広告アカウントを選択

 

2.左上の[≡(MENU)]>[オーディエンス]をクリック

オーディエンスボタンの場所

 

3.[+オーディエンス作成]>[ウェブトラフィックオーディエンス]をクリック

オーディエンス作成ボタンの場所

 

4.オーディエンス名・条件・有効期間を入力し、保存する

ウェブトラフィックオーディエンス作成画面

 

[注意点]

オーディエンスは利用可能になるまで最大24時間かかります。

・オーディエンス作成後、180日前までであれば、データを遡って蓄積することができます。(LINE Tag設置日以降のデータのみとなります。)

 

ステップ3:キャンペーン・広告グループ・広告の作成

最後に、LINE広告マネージャー上でキャンペーン、広告グループ、広告を作成します。
ここでは、作成したオーディエンスをターゲットに設定し、予算や入札戦略、配信期間などの各種パラメータを調整します。
また、広告クリエイティブもターゲットユーザーに合わせた内容にカスタマイズし、効果的なメッセージを伝えるよう工夫してください。

 

ここでは、広告グループの作成時に、オーディエンスを設定する方法を説明します。

キャンペーンや広告の作成、広告グループのその他の設定については、「【画像付き】LINE広告の配信方法|始め方・出し方を徹底ガイド」をご覧ください。

 

1.広告グループの作成画面で、ターゲティング > オーディエンスの項目にて [編集] をクリック(オーディエンスを作成していない場合は、[オーディエンス作成]をクリック)

 

オーディエンスの適用画面

 

2.配信(または除外)対象にしたいオーディエンスの [配信](または[除外]) を選択し、[完了] をクリック

配信オーディエンスの設定画面

(参考:※1)

 

LINE広告リターゲティング配信の4つのポイント

ここでは、リターゲティング配信の効果を最大化するために役立つ、4つのポイントを紹介します。

 

ポイント①ユーザーの離脱場所に応じて広告クリエイティブを分ける

ユーザーがどのページでサイトから離脱したかによって、彼らの意図や興味は異なります。

たとえば、商品詳細ページで離脱したユーザーは、具体的な商品の情報に関心がある可能性が高く、再度その商品の特徴や利点を強調するクリエイティブが有効です。一方、トップページやカテゴリー一覧で離脱したユーザーは、ブランド全体やサービス内容を改めて認識させる広告が効果的となります。

 

このように、離脱場所に合わせたクリエイティブを分けることで、ユーザーごとに最適なメッセージを届けられ、コンバージョン率の向上が期待できます。

 

ポイント②オーディエンスの有効期間を適切に設定する

LINE広告のリターゲティング配信では、リターゲティング広告を配信するオーディエンスを設定する際に、オーディエンスとなるユーザーリストの「有効期間」を設定します。有効期間とは、ユーザーリストに蓄積されるサイト訪問履歴情報の有効期間のことです。例えば、有効期間を30日に設定すると、30日間の間にサイトに1回でも訪問したユーザーがユーザーリストに蓄積され、新しく訪問したユーザーは、その後30日間ユーザーリストに蓄積されます。

 

有効期間設定画面

 

訪問してからの経過時間によって、ユーザーの関心度は異なります。例えば、訪問から1ヶ月以上経過したユーザーよりも直近1週間以内にサイトを訪れたユーザーの方が、購入意欲が高いと考えられます。

 

そのため、ユーザーがサイトを訪問してからどれくらいの期間内であれば、再度の広告配信が効果的かを考え、適切に設定することが重要です。

もしくは、幅広いユーザーに広告を配信したい場合は、有効期間別にアプローチの内容を変えることで、効果的なコミュニケーションが可能となるでしょう。

 

ポイント③コンバージョン済みのユーザーを除外する

すでに購入や資料請求などのコンバージョンに至ったユーザーに再度広告を配信すると、無駄な広告費がかかるだけでなく、ユーザーに不快感を与える可能性があります。
コンバージョン済みのユーザーのオーディエンスを作成し、広告グループ作成時に、そのオーディエンスに対して除外設定を行いましょう。

 

ポイント④LPを工夫する

広告クリエイティブと同様に、LP(ランディングページ)もユーザーの離脱場所に合わせて掲載する情報を分ける必要があります。

 

また、リターゲティング配信によって、ユーザーを何度も同じLPに呼び戻しても、ユーザーの商品への印象は変わらない可能性があります。そのため、定期的にLPをアップデートしたり、複数のLPを使い分けるなどの工夫が必要です。

 

LINE Dynamic Adsとは

LINE Dynamic Adsは、ユーザーの行動履歴や興味・関心をもとに、自動的に最適なクリエイティブを生成して配信する広告フォーマットです。

 

ユーザーが以前閲覧した商品や関連商品を自動的にピックアップし、パーソナライズされた広告を表示することで、コンバージョン率の向上を図ることができます。この機能により、商品在庫や価格、プロモーション情報などの最新情報を反映しながら、ユーザーに合わせた最適な広告配信が実現可能となります。

また、通常のリターゲティング配信とは異なり、自社サイトに訪れたことがないユーザーにも広告を配信することができます。

配信には、商品フィードの登録などが必要です。

 

詳しくは、「LINE広告|LINE Dynamic Adsを利用する方法」をご覧ください。

 

リターゲティング配信の難しい点

リターゲティング配信は、ただ自社サイトに訪れたユーザーに広告を配信するだけでは成功しません。ターゲット別の広告クリエイティブの作成や広告の配信タイミングなどが重要になります。しかし、これを自社で最適化しようとすると、多くの時間と労力を要します。また、誤った設定をすると、ユーザーにネガティブな印象を与えてしまう可能性もあります。

 

さらに、近年のプライバシー保護強化に伴い、Cookie規制が進んでおり、従来のリターゲティング手法が十分に機能しなくなる可能性があります。そのため、LINE広告の「コンバージョンAPI(CAPI)」を活用したデータ連携や、ファーストパーティデータを用いたターゲティング戦略が不可欠です。これらの最新手法を適切に取り入れなければ、リターゲティング広告の効果が低下してしまうリスクもあります。

 

上記のようなことを回避する方法の1つが、専門の広告代理店に依頼することです。豊富な経験や最新情報を活用し、貴社に適したリターゲティング配信を実現してくれるはずです。

 

LINE広告のリターゲティング配信はデジマールにお任せください!

デジマールでは、豊富な広告運用経験を活かし、LINE広告のリターゲティング戦略をサポートします。ターゲットの選定から広告クリエイティブの最適化、効果測定まで、一貫した運用を提供します。リターゲティング広告を最大限に活用し、確実な成果を出したい企業様は、ぜひご相談ください!

 

ジマールの強みの1つは、広告運用コンサルチームとデザイナーチームの連携です。デデジマールには、広告運用コンサルタントに加え、デザイナーも所属しています。

 

両者の強固な連携により、スピード感を持って高品質のクリエイティブを制作いたします。また、デザイナーも打ち合わせに参加できるため、クリエイティブの微調整を効率的に実施することができます。

 

デジマールのその他の強みやサービスの詳細については、以下からご覧ください。

 

 

 

 

※1:リターゲティング配信|LINEヤフー for Business