LINE広告を運用する際に「もっと効率よく管理したい」「データを活用して最適な配信をしたい」と感じている広告運用者の方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、LINE広告APIの活用です。LINE広告APIを利用することで、広告作成やデータの収集の自動化などを実現でき、運用の手間を大幅に削減できます。

 

この記事では、APIの基本から、LINE広告APIを活用することで可能になること、導入手順、さらには具体的な活用例まで詳しく解説します。執筆は、豊富な広告運用実績を持つデジマールの社員が担当します。

 

この記事を読めば、LINE広告APIの活用方法を具体的に理解でき、広告運用の効率化と成果向上につながる知識が得られるはずです。

 

APIとは

API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェア同士が情報や機能をやり取りするための「窓口」や「橋渡し」のようなものです。

APIを使用すれば、異なるソフトウェアやプログラムを連携することができます。

 

APIの仕組み

APIの働きの概要図

APIの基本的な仕組みを順を追って説明します。

(例)の部分は、天気予報アプリで利用されるAPIの仕組みを説明しています。

 

1.一方のソフトウェアから、APIに何かしらのリクエストが送られます。

(例)ユーザーが天気予報アプリを開くと、アプリが、気象情報を提供する団体(気象庁など)のAPIに、「最新の気象情報がほしい」というリクエストを送ります。

 

2.もう一方のソフトウェアがAPI経由でリクエストを受け取り、リクエストに答えるための処理を行います。

(例)APIを経由して、気象情報を提供しているサーバーにリクエストが送られ、サーバーは最新の気象データを返します。

 

3.処理の結果がAPI経由で、リクエストしたソフトウェアに返されます。(レスポンス)

(例)最新の気象情報が、ユーザーのアプリ上に表示されます。

 

LINE広告APIとは

LINE広告APIは、LINE広告のシステムと外部のシステムを連携させるためのインターフェースです。これにより、広告の作成・管理、パフォーマンスレポートの取得、オーディエンスデータの活用など、広告運用を効率的に行うことができます。

 

LINE広告APIには、以下の2つの種類があります。

Ad Tech API(ダッシュボードAPI)

Ad Tech API(ダッシュボードAPI)は、広告の作成や管理、パフォーマンスレポートの取得などを行うためのAPIです。これにより、広告運用者は自社や契約しているシステム・ツールから直接広告の管理や効果測定を行うことが可能となります。

 

Data Provider API(オーディエンスAPI)

Data Provider API(通称オーディエンスAPI)は、オーディエンスの作成や管理を行うためのAPIです。これを活用することで、ターゲットとなるユーザー群を効果的に設定・管理し、より精度の高いターゲティングを実現できます。

(参考:※1)

 

LINE広告APIを利用することで、できるようになること

LINE広告APIを活用することで、LINE広告の運用を大幅に効率化し、高度な戦略の実行が可能になります。

 

ここでは、LINE広告APIを利用することでできるようになることを4つ紹介します。

 

パフォーマンスレポートの取得

APIを利用することで、広告のインプレッション数、クリック数、コンバージョン数などのパフォーマンスデータを自動的に取得できます。これにより、手動でのデータ収集の手間を省き、リアルタイムでの効果測定が可能となります。

 

広告の作成と管理

APIを通じて、広告キャンペーンの作成、広告グループやクリエイティブの設定・管理を自社のシステムから直接行うことができます。これにより、広告運用の効率化と一貫性の確保が可能となります。

 

オーディエンスデータの活用

オーディエンスAPIを活用することで、自社のデータなどから特定のユーザーセグメントを作成し、ターゲティング広告を効果的に配信できます。例えば、過去に特定の行動を取ったユーザーや、特定の属性を持つユーザーをターゲットにした広告配信が可能です。

 

自動入稿の実現

APIを利用することで、広告の入稿プロセスを自動化できます。これにより、大量の広告クリエイティブやキャンペーンを効率的に管理・運用することが可能となり、人的リソースの削減と運用効率の向上が期待できます。

 

LINE広告APIのメリット・デメリット

APIを活用することで得られるメリットと、導入前に考慮すべきデメリットを以下にまとめます。

下記を踏まえ、自社の状況やリソースを考慮して、API導入のメリットとデメリットを慎重に比較検討することが重要です。

 

メリット

  • 大幅な時間短縮
    手動で行っていた作業を自動化することで、運用にかかる時間を大幅に削減することが可能です。

 

  • データに基づいた高度な運用
    APIから取得した詳細なデータを活用することで、より効果的な広告戦略を立案・実行することができます。

 

  • 手動作業による人的ミスの削減
    手動作業の負担を軽減することで、ヒューマンエラーのリスクを最小限に抑えることができます。

 

  • 柔軟な広告運用の実現
    APIを活用することで、独自の運用ルールや自動化システムを構築し、より柔軟な広告運用を実現できます。

 

デメリット

  • 技術的な知識が必要
    APIを効果的に活用するためには、プログラミング言語(例:Python、GAS)やAPIに関する知識が求められます。

 

  • コストが発生する可能性
    API連携のための開発費用や、外部ツールの利用費用が発生する可能性がございます。

 

  • API仕様の変更リスク
    LINE広告などのAPI仕様が変更された場合、システムの修正が必要となる可能性があります。

 

  • セキュリティリスク
    適切なセキュリティ対策を講じない場合、データ漏洩などのリスクが生じる可能性があります。

 

LINE広告APIの連携方法

LINE広告APIを自社のシステムと連携するためには、以下の手順を踏む必要があります。

1.LINE広告APIの利用申請をする

まず、LINE広告APIを利用するためには、所定の申請手続きを行う必要があります。

1-1. 広告マネージャーにログイン

1-2. [HELP]>[お問い合わせ]をクリック

 

お問い合わせボタンの場所

 

1-3. お問い合わせ番号を取得し、[申請する]をクリック

お問い合わせ番号は[取得する]をクリックすると、表示されるので、表示された番号をコピーまたはメモしてください。

 

お問い合わせ番号の取得画面

 

1-4. 必要事項を入力

申請内容は「LINE広告API」を選択し、申請API種別は「Ad Tech API」または「Data Provider API」のどちらかを選択してください。

また、LINE広告APIの申請は、グループ単位で行うため、グループIDを入力する必要があります。(グループの作成方法を知りたい方は、「【画像付き】LINE広告の配信方法|始め方・出し方を徹底ガイド」をご覧ください。)

 

広告アカウント単位などでAPI申請を行うことはできません。

 

申請画面

申請後、審査が行われ、承認されるとAPIの利用が可能となります。

審査は10営業日ほど要することがあります。

 

2.LINE広告APIキーの取得

APIの利用が承認されると、LINE広告マネージャーの[グループの設定]から、アクセスキーとシークレットキーを取得できます。確認は以下の手順で行います。

2-1. 広告マネージャー上で、該当するグループを選択します。

2-2. [≡(MENU)]>[グループの設定]をクリック

 

APIアクセスキーの確認やAPIシークレットキーの生成を行うことができます。

 

3.LINE広告APIの開発環境の準備

APIキーを取得したら、開発環境を整備します。具体的には、APIリクエストを送信するためのプログラムを作成し、認証情報やエンドポイントの設定を行います。

  • 認証情報:APIにアクセスする際にユーザーやアプリケーションの身元を確認し、適切な権限を持つ者のみが利用できるようにするための情報。
  • エンドポイント:APIが提供する特定の機能やデータにアクセスするためのURLのこと。エンドポイントごとに異なる機能やデータにアクセスできます。

プログラミングの際は、GAS(Google Apps Script)、Pythonなどのプログラミング言語の知識が必要です。

LINE広告APIの公式ドキュメント(仕様書)には、詳細なガイドラインやサンプルコードが掲載されていますので、参考にしてください。

Ad tech APIの仕様書

Data Provider APIの仕様書

 

(参考:※2)

 

活用例:LINE広告API×スプレッドシート連携

LINE広告APIには、多種多様な活用の仕方がありますが、ここでは1つの例として、LINE広告APIとスプレッドシートの連携を紹介します。

LINE広告APIとGoogleスプレッドシートと連携することで、広告データの自動取得やレポート作成の効率化を実現できます。

 

具体的には、GAS(Google Apps Script)を使用してLINE広告APIとスプレッドシートを連携すると、毎日自動でLINE広告のパフォーマンスレポートを取得し、スプレッドシートに転記させるといったことができます。

 

また、Pythonを使用すると、LINE広告APIから取得したデータを、独自の分析指標をもとにスプレッドシートに反映させるというような、GASを用いた時よりも高度な分析が可能になります。

 

このようにLINE広告APIを活用することで、手動でのデータ入力や分析の手間を省き、リアルタイムでのデータ分析が容易になります。

 

LINE Conversion API(CAPI)とは

LINE Conversion APIは、広告主のサーバー上で発生したユーザーのアクションデータ(例:購入や登録など)をLINEのサーバーに直接送信するためのAPIです。これにより、ウェブサイトやアプリ上でのユーザー行動を正確に計測し、広告効果の分析やターゲティング精度の向上に役立てることができます。

 

従来の計測手法であるブラウザベースのトラッキングと比較して、LINE Conversion APIではサーバー間でのデータ送信を行うため、計測の精度やデータの完全性が向上します。また、ブラウザの設定やユーザーの環境に依存しないため、より安定したデータ収集が可能となります。

 

詳細については、 「LINE広告コンバージョンタグ設定ガイド|カスタムCVやCookieレス対策も解説」をご覧下さい。

 

LINE広告APIに関するよくある質問

LINE広告APIに関するよくある質問を以下にまとめました。

 

Q1. LINE広告APIの利用には費用がかかりますか?

A1. LINE広告APIの利用自体には特別な費用は発生しません。ただし、APIを活用したシステム開発や運用に伴うコストは別途発生する可能性があります。

 

Q2. LINE広告APIを利用するには、どのようなプログラミングスキルが必要ですか?

A2.  使用するプログラミング言語(Python、GASなど)の基本的な知識と、APIの連携経験があるとスムーズです。

 

Q3. LINE広告APIの利用にあたっての制限はありますか?

A3. APIの利用には、一定の利用制限やガイドラインが設けられています。詳細は「LINE広告開発ガイドライン」をご確認ください。

 

LINE広告APIの活用には専門知識が必要

LINE広告APIを活用することで、運用の効率化や自動化が可能になりますが、導入にはAPIに関する知識やプログラミングによる開発環境の整備が必要です。また、設定ミスがあると正しく動作しなかったり、広告パフォーマンスに影響を与える可能性もあります。そのため、自社で開発リソースを確保できない場合は、プロに依頼することでスムーズな導入が可能になります。

 

LINE広告の運用・API連携はデジマールにお任せください


デジマールでは、LINE広告の運用支援に加え、API連携を活用した自動化・最適化のサポートも行っています。広告運用の手間を減らしつつ、パフォーマンスを最大化する戦略をご提案いたします。LINE広告APIの活用を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

デジマールの強みの1つは、徹底した事業理解です。

ヒアリングや独自調査により、お客様の事業を徹底的に理解し、ターゲティングからクリエイティブ制作まで一貫して対応いたします。一貫したサポートにより、効果的なLINE広告運用を実現します。

 

他のデジマールの強みなど、サービスの詳細については、以下からご覧ください。

 

 

 

※1:LINEヤフー for business LINE広告APIを利用する

※2:TROCCO®︎ ヘルプセンター LINE広告の接続情報

著者情報

萩原 輝
Hikaru Hagiwara

萩原 輝

2024年6月からデジマール株式会社のSEOを担当。デジマールの広告運用講座「デジマカレッジ」を受講中。デジタルマーケティング以外にも、AIや経済、語学など様々なことに興味があり、現在は書籍やWebメディアなどでの学びに注力。大学では、高齢者による観光の重要性について研究。趣味はお笑い鑑賞。