LINE広告の導入を予定、または検討している広告運用担当者の方の中には、「動画広告の入稿規定がわからない」「動画広告の事例や動画制作のポイントを知りたい」などのお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。本記事を読んでいただければ、それらの悩みを解決できます。この記事では、LINE広告の中でも特に注目される「動画広告」に焦点を当て、メリットや入稿規定、配信面、さらには新機能まで徹底的に解説します。 執筆は、デジタル広告運用の専門知識を持つデジマールの社員が担当します。
この記事を最後までお読みいただければ、LINE動画広告の導入において、抑えるべき点を網羅的に把握でき、安心して一歩を踏み出せるようになるはずです。
LINE動画広告のメリット
LINE動画広告は、静止画広告や他の広告媒体と比較して、以下のような独自のメリットがあります。
メリット1:多くのメッセージを伝えられる
動画広告は静止画の広告よりも多くの情報を伝えることができます。また、LINE広告の動画フォーマットは、LINEの配信面の中でも大きめの枠に表示される可能性が高いため、クリエイティブを通じてより多くのメッセージを伝えやすいというメリットがあります。
メリット2:高いユーザーエンゲージメントが期待できる
動画広告が静止画の広告よりも優れている点には、メリット1以外にも動画の進行にともなって段階的にユーザーの気持ちを盛り上げることができる点や動きや音声などデザインや表現の幅が広がる点などがあります。それらによって、静止画の広告よりもユーザーの注意を引きやすく、メッセージを効果的に伝えることができます。結果的に、静止画広告と比較して高いエンゲージメント率が期待できます。
メリット3: 広範なユーザーリーチ
これは、他の広告媒体と比較した際のメリットです。LINEは日本国内で約9,700万人(2024年3月時点)の月間アクティブユーザーを持ち、日常的に利用されています。そのため、LINE動画広告は多様なユーザー層にリーチでき、他のプラットフォームと比較しても広範なターゲットにアプローチが可能です。
各動画フォーマットのサイズ・入稿規定
LINE動画広告を効果的に配信するためには、各フォーマットのサイズや入稿規定を正確に把握することが重要です。以下に各フォーマットの詳細をまとめます。
Card
(引用:※2)
Card(動画)の入稿規定は以下の通りです。
項目 |
詳細 |
画面比率(幅:高さ) |
16:9 |
サイズ(幅) |
240px~1920px |
サイズ(高さ) |
135px~1080px |
ファイル形式 |
mp4, MOV |
音声 |
AAC, 128kbps以上を推奨, モノラルまたはステレオ |
フレームレート |
最大30fps |
解像度 |
最大1080p (広告配信時は最大720p) |
ビットレート |
最大8Mbps |
動画の長さ |
最大600秒 (最低5秒以上) |
ファイルサイズ |
最大1GB以内 |
タイトル |
最大20字(半角全角問わず) |
ディスクリプション |
最大75字(半角全角問わず) |
Square
(引用:※1)
Square(動画)の入稿規定は以下の通りです。
項目 |
詳細 |
アスペクト比 |
1:1 |
サイズ(幅) |
600px~1280px |
サイズ(高さ) |
600px~1280px |
ファイル形式 |
mp4, MOV |
音声 |
AAC, 128kbps以上を推奨, モノラルまたはステレオ |
フレームレート |
最大30fps |
解像度 |
最大1080p (広告配信時は最大720p) |
ビットレート |
最大8Mbps |
動画の長さ |
最大600秒 (最低5秒以上) |
ファイルサイズ |
最大1GB以内 |
タイトル |
最大20字(半角全角問わず) |
ディスクリプション |
最大75字(半角全角問わず) |
Vertical
(引用:※1)
Verticalは、タップ前とタップ後で表示比率が変わります。そのため、動画作成時には、3:4のエリア内に重要な要素をいれるなどの工夫が必要です。
Verticalの入稿規定は以下の通りです。
項目 |
詳細 |
画面比率 |
9:16 |
サイズ(幅) |
135px 以上, 1080px 以下 |
サイズ(高さ) |
240px 以上, 1920px 以下 |
ファイル形式 |
mp4, MOV |
音声 |
AAC, 128kbps以上を推奨, モノラルまたはステレオ |
フレームレート |
最大30fps |
解像度 |
最大1080p (広告配信時は最大720p) |
ビットレート |
最大8Mbps |
動画の長さ |
最大600秒 (最低5秒以上) |
ファイルサイズ |
最大1GB以内 |
タイトル |
最大20字(半角全角問わず) |
ディスクリプション |
最大75字(半角全角問わず) |
動画(小)
(引用:※2)
動画(小)の入稿規定は以下の通りです。
項目 |
詳細 |
|
画面比率 |
16:9または1:1 |
|
サイズ(幅) |
16:9の場合 |
240px~1920px |
1:1の場合 |
600px~1280px |
|
サイズ(高さ) |
16:9の場合 |
135px~1080px |
1:1の場合 |
600px~1280px |
|
ファイル形式 |
mp4, MOV |
|
音声 |
AAC, 128kbps以上を推奨, モノラルまたはステレオ |
|
フレームレート |
最大30fps |
|
解像度 |
最大1080p (広告配信時は最大720p) |
|
ビットレート |
最大8Mbps |
|
動画の長さ |
最大600秒 (最低5秒以上) |
|
ファイルサイズ |
最大1GB以内 |
|
タイトル |
最大20字(半角全角問わず) |
|
長いタイトル |
最大35字(半角全角問わず) |
(参考:※3)
LINE動画広告の配信面一覧
LINE動画広告は、ユーザーの多様な接点において配信可能です。
下記の表では、フォーマット別の広告配信可能な配信面を示しています。
配信面 |
Card |
Square |
Vertical |
動画(小) |
トークリスト |
〇 |
〇 |
× |
〇 |
LINE NEWS |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
LINE VOOM |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
ウォレット |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
LINEマンガ |
〇 |
〇 |
× |
× |
LINEポイントクラブ |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
LINEブランドカタログ |
〇 |
〇 |
× |
× |
LINEチラシ |
〇 |
〇 |
× |
× |
LINEクーポン |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
LINEマイカード |
〇 |
〇 |
× |
× |
ホーム |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
LINE Monary |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
LINEオープンチャット |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
LINE公式アカウント |
× |
× |
× |
× |
アルバム |
× |
× |
× |
〇 |
LINEエンタメアカウント |
× |
× |
× |
× |
LINEファミリーアプリ |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
LINE広告ネットワーク |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
各配信面の特徴など詳細については、「LINE広告 配信面」をご覧下さい。
LINE動画広告の配信設定
LINE動画広告の配信設定は以下の手順で行います。
- SREP1:LINEビジネスIDの発行
- STEP2:広告アカウントの開設
- STEP3:クレジットカードの登録
- STEP4:LINE Tagの設置
- STEP5:キャンペーンの作成
- STEP6:広告グループの作成
- STEP7:広告の作成
*配信方法の詳細については「【画像付き】LINE広告の配信方法|始め方・出し方を徹底ガイド」をご覧下さい。
ここでは、動画広告配信の際に利用する可能性がある、キャンペーン目的の1つである「動画の再生」とターゲティング方法の1つである「動画視聴オーディエンス」について解説します。加えて、配信した動画はユーザーの画面でどのように再生されるのかについても説明いたします。
キャンペーン目的「動画の再生」
キャンペーン目的は、STEP5:キャンペーンの作成の際に設定する項目です。設定できる目的は8つあり、その中で「動画の再生」は、動画の再生数を増やすことを目的としています。
広告用の動画を多くの人に見てもらいたい方や動画の3秒再生数・100%再生数を最大化させる自動入札を利用して配信を行いたい方に適しています。
動画視聴オーディエンス
動画視聴オーディエンスは、特定の動画広告を視聴したユーザーをターゲティングするためのオーディエンスセグメントです。(ターゲティング設定は、STEP6:広告グループの作成の際に設定します。)再生率でセグメントを作成することもできます。
設定項目は以下の通りです。
設定項目の詳細は以下の表の通りです。
設定項目 |
説明 |
オーディエンス名 |
オーディエンス一覧に表示される名称。 |
動画 |
オーディエンス対象としたい動画素材。 |
有効期間 |
データ蓄積の期間。1〜30日で設定が可能です。 |
次の人を含む |
動画の視聴状況を、「再生した人、3秒以上再生した人、25%再生した人、50%再生した人、75%再生した人、95%再生した人、最後まで再生した人」から選択できます。 |
動画はどのように再生されるのか
ユーザーによる動画視聴のされ方は、ユーザーの設定によって異なります。
LINEアプリ上の「設定」>「写真と動画」>「動画自動再生」にて自動再生をする設定にしているユーザーの場合、端末上に動画広告のクリエイティブ領域が50%表示されたタイミングで自動再生が始まります。
自動再生をしない設定にしているユーザーは、動画をタップすることで、動画が再生されます。
LINE動画広告を制作する際のポイント
動画広告は、動きを活かしてより多くの情報を伝えることができるため、ストーリー性やユーザーの興味を引きつける内容を重視することが大切です。
ポイント①最初の3秒で視聴者の興味を引く
動画の最初の3秒は、ユーザーが視聴を続けるかどうかを決定する重要なポイントです。目を引くビジュアルや、商品やサービスの特徴を明確に提示することで、視聴者の興味を引き、最後まで動画を見てもらえるように工夫しましょう。
ポイント②テキストやキャプションで補足情報を提供
動画の音声がオフになっている場合も多いため、テキストやキャプションで重要な情報を補足することが重要です。ユーザーが音声なしで広告の内容を理解できるよう、短いキャッチコピーや説明を加え、伝わりやすい内容に仕上げましょう。
ポイント③シーンの構成とテンポを重視する
長く視聴してもらいたい場合は、シーンの構成とテンポが重要です。続きが見たくなるようなシーン展開で動画を構成し、シーンの切り替えをテンポよく行う必要があります。シーンの切り替えは長くても3秒以内が適切だとされています。
LINE動画広告を活用した成功事例
LINE動画広告を活用した成功事例として、以下のようなケースがあります。
成功事例①株式会社Waqoo:LPへの遷移率が静止画の2倍に
株式会社Waqooは、スキンケアブランド「肌ナチュール」の新規ユーザー獲得を目指し、2018年9月から30代以上の女性をターゲットにLINE広告の運用を開始しました。LINE広告のアップデートによって動画の配信面が拡張されていたという背景もあり、静止画だけでなく、積極的な動画の活用を開始しました。
クリエイティブ制作では、最初のワンカットでインパクトを与えることを重視しています。例えば、再生前の静止画の段階では美しいモデルを出すのではなく、メイクをしていない女性を表示するなど、女性ユーザーの興味や関心を引くようなクリエイティブを意識しています。最終的な結果としては、動画広告からLPへの遷移率が、静止画の2倍を記録するようになりました。
(参考:※4)
成功事例②エーザイ株式会社:新規定期購入者が2倍以上に
エーザイ株式会社は、生活習慣領域の「ヘルケア」と美容領域の「美 チョコラ」の新規定期購入者増加を目指し、LINE広告を活用しました。当初は静止画広告を中心に展開していましたが、効果的なクリエイティブを動画形式にアレンジすることで、より高い反響を得ることに成功しました。
特に、LINEのタイムラインに自然に溶け込むVerticalサイズの動画広告を使用することで、ユーザーの目に留まりやすくなり、売上増加に寄与しました。この戦略により、「美 チョコラ」の目標としていたCPAを達成し、月間の新規定期購入者が2倍以上に増加しました。
(参考:※5)
LINE動画広告の新機能まとめ
LINEは常に新しい広告機能を導入しています。以下に最近追加された主な新機能をまとめます。
新機能 |
概要 |
①LINEトークリストでの動画広告配信 |
チャット一覧である「トークリスト」に動画広告を表示できるようになった。 |
②広告フォーマット「動画(小)」 |
トークリストへの配信に特化した動画フォーマット |
③「動画の再生」キャンペーンでの自動ターゲティング(β) |
キャンペーン目的「動画の再生」キャンペーン配下での自動ターゲティングが可能になった。 |
④動画視聴経由コンバージョンの計測 |
動画広告を一定時間視聴したユーザーの行動を、広告成果として計測できるようになった。 |
LINE広告は、2024年に複数の新機能を導入し、広告運用担当者にとってより効果的なマーケティング手法を提供しています。以下、主要な新機能について詳しく解説します。
新機能① LINEトークリストでの動画広告配信
トークリスト広告の概要
LINEトークリスト広告は、ユーザーのチャット一覧画面に表示される広告形式です。トークリストは、9,700万人以上(2024年3月時点)の月間アクティブユーザーを持つLINEの中で最もアクティブ性が高い配信面です。そこに直接表示されるため、高い視認性と自然な形での広告露出が期待できます。
ユーザーがトークリスト広告をタップしたときの挙動は次のようになります。
(引用:※6)
トークリストで動画広告を掲載する方法
トークリストへ動画広告を掲載するには、
動画Card(16:9)
動画Square(1:1)
動画(小)
を入稿し、「小さい広告枠への動画配信を有効にする」をオンにする必要があります。
(引用:※6)
新機能② 広告フォーマット「動画(小)」
動画(小)は、トークリストへの配信に特化したフォーマットです。従来、トークリスト最上部へ動画広告を出稿するためには、代理店経由での申し込みが必要な予約型広告のTalk Head View、もしくは機能付与の申請が必要な運用型のTalk Head View Customを活用する必要がありました。これらは配信までに時間がかかる点と大きな予算が必要な点が難点でした。
しかし、「動画(小)」であれば、管理画面から広告の設定をするだけで配信準備が完了し、少額の費用でも出稿できるため、従来よりもスピーディーかつ気軽にトークリストへ広告を出稿できるようになりました。
新機能③ 「動画の再生」キャンペーンでの自動ターゲティング(β)
キャンペーン目的「動画の再生」キャンペーン配下の自動入札(3秒再生・100%再生)で自動ターゲティング(β)が利用可能になりました。 自動ターゲティング機能は、収集されたイベントを学習し、設定したターゲティング条件(「地域」「性別」「年齢」「OS(iOS、Android)」)内で更にイベント実行が見込めるユーザーを探し最適なオーディエンスを自動で生成する機能です。
関連する設定項目
①キャンペーン目的
STEP5:キャンペーンの作成時に設定する「キャンペーン目的」の項目で「動画の再生」を選択する。
②ターゲット設定
STEP6:広告グループの作成時に設定する「ターゲット設定>ターゲティングモード」の項目で「自動ターゲティング」を選択する。
その他の地域、性別、年齢、OSは任意で設定する。
(「自動ターゲティング」を設定した場合、「詳細ターゲティング」は設定できなくなり、「オーディエンス」では[除外]しか選択できなくなります。)
③入札方法
STEP6:広告グループの作成時に設定する「最適化と入札>入札単価の設定方法」の項目で「動画の3秒再生数の最大化を目的に自動で設定」、「動画の100%再生数の最大化を目的に自動で設定」のどちらかを選択します。
注意点
- 手動入札の場合は利用できない。
- β版のため、変更や予告なく提供停止期間が発生する可能性がある。
(参考:※7)
新機能④ 動画視聴経由コンバージョンの計測
2024年8月から、LINE広告で動画視聴経由コンバージョンの計測が可能になりました。動画視聴経由コンバージョンとは、動画広告を一定時間視聴したユーザーが、その後特定の行動(例: 購入や登録)を行った場合、その行動をコンバージョンとして計測する仕組みです。
動画視聴経由コンバージョンが計測される条件
- 動画広告を10秒以上視聴(10秒以下の動画の場合は再生完了)
- 計測の有効期間は視聴後3日間
管理画面での表示
この機能の導入に伴い、管理画面やレポートの項目が以下のように変更されました。
- CV(すべて): クリック経由コンバージョンと動画視聴経由コンバージョンの合計
- CV(クリック): クリック経由コンバージョンのみ
(参考:※8)
以上の新機能を活用することで、LINE動画広告の効果を最大化し、より精度の高いマーケティング戦略を実現することが可能です。
LINE動画広告の大変な点
LINE動画広告は、その配信面やフォーマットの豊富さから、多くの企業が注目するマーケティング手法ですが、制作・入稿規定の確認、ターゲティング設定、配信後の効果測定など、多くの工程を伴います。これらをすべて自社で管理するのは、リソースや専門知識が求められるため、大変な負担となることも少なくありません。
そのような場合を回避する手段の1つが、広告代理店に依頼することです。広告運用のプロフェッショナルに依頼することで、手間を大幅に軽減しつつ、広告効果の最大化を図ることが可能です。
LINE動画広告の制作・運用はデジマールにお任せください
私たちデジマールは、LINE広告運用における豊富な経験を活かし、貴社の目標達成を徹底的にサポートします。動画制作から配信、効果測定までワンストップで提供し、最新の新機能や事例を活用した最適な運用プランをご提案します。サービス詳細は、LINE広告運用代行サービスの詳細ページをご覧ください。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
※1:LINEヤフー for Business「LINE プロダクト 媒体資料 LINE広告」
※2:LINEヤフー for business LINE広告アップデート情報 2024年1月 トークリストに動画広告が掲載可能に
※3:LINEヤフー for business LINE広告のクリエイティブサイズと入稿規程 制作のコツも解説
※4:LINEヤフー for business LPへの遷移率が静止画の2倍!動画を用いた「肌ナチュール」のLINE広告戦略
※5:LINEヤフー for business 「人物より商品、静止画より動画」。エーザイがLINE広告で重視した他社との差別化ポイントとは
※6:LINEヤフー for business LINE広告アップデート情報 2024年1月 トークリストに動画広告が掲載可能に
※7:LINEヤフー for business LINE広告アップデート情報 2024年5月 カスタムレポート機能が利用可能に!
※8:LINEヤフー for business LINE広告アップデート情報 2024年8月 動画視聴経由コンバージョンの計測が可能に!