リスティング広告の予算設計とは?

リスティング広告の予算設計

「リスティング広告運用マニュアル」では、全13回にわたり、私たちデジマールがどのようにリスティング広告を運用し、お客様とコミュニケーションをとっていくのか、その全体像をお伝えしていきます。今回は第7回「リスティング広告の予算設計とは?」です。

  1. リスティング広告とは?
  2. リスティング広告を始める前に
  3. リスティング広告のhagakure構成
  4. リスティング広告のキーワード
  5. リスティング広告の広告文 / ディスプレイ広告のフォーマット
  6. リスティング広告のパラメータ設定
  7. リスティング広告の予算設計
  8. リスティング広告の初期設定
  9. リスティング広告改善チェックシート
  10. リスティング広告の進捗管理
  11. リスティング広告のレポート作成
  12. リスティング広告の運用引継ぎ
  13. リスティング広告運用を外注するときの注意点

この連載は、

  • 代理店を利用したことがなく、どのようなサービスを受けられるのか知りたい方
  • 代理店に委託していて、何かしら疑問を持っている方
  • 代理店からの報告をもっと理解したい方
  • リスティング広告運用を始めたい方
  • リスティング広告の運用効率を上げていきたい方

に向けて、事前知識を包括的にインプットできる記事となっております。今回は、リスティング広告の予算設計の考え方を、具体的なシミュレーションを持ちながら解説していきます。

なお、以下はシミュレーション結果のサンプルです。フォーマットの参考にしてみてください。

シミュレーション作成_サンプル

※本記事は、Googleパートナー・Yahoo!認定パートナーである、デジマール株式会社が執筆・監修しているものです。

予算設計の基本的な考え方

リスティング広告予算を算出する際に使われる方法は主に2つあります。「1つの購入」に対しての広告予算を考えるのか、「1人のユーザー」に対して広告予算を考えるのかによってその算出方法は変わります。

「1つの購入」に対して広告予算を考える場合、広告予算は、

「1つの購入」あたり広告予算=(総売上ー総経費ー総利益)/売上数量

「1人のユーザー」に対して広告予算を考える場合、広告予算は、

「1人のユーザー」あたり広告予算=(総売上ー総経費ー総利益)/ユーザー数

となります。一見違いはないように見えますが、どちらの考え方を使うかによって広告予算に影響を与えます。それぞれについて見ていきましょう。

「1つの購入」に対する広告予算

まずは、「1つの購入」に対する広告予算をシミュレーションしてみます。この方法は、いわば、売上から必要経費と確保したい利益を引いた残り金額を、広告費にあてるやり方です。
これはインターネットの運用型広告だけでなく、紙や電波といった既存メディアでも多く使われてきました。

以下の表は、1つの購入あたりの平均売上金額、平均経費、利益金額です。

 

平均売上金額 平均経費 平均利益
10,000円 6,000円 2,000円

 

「1つの購入」あたり広告予算=総売上ー総経費ー総利益

の式より、

「1つの購入」あたり広告予算=10,000ー6,000ー2,000=2,000(円)

広告予算は、2,000円が上限であると分かります。この数値で広告の成果をシミュレーションしてみましょう。

 

「1つの購入」あたり広告費用 CPC クリック数 CVR コンバージョン
2,000円 200円 10 10% 1
100円 20 5%
20円 100 1%

 

クリック単価が200円、100円、20円の3つのパターンでシミュレーションしてみました。リスティング広告のCVRは1%前後といわれているので、CVRが10%、5%と算出されている、CPCが200円や100円の場合、2,000円という広告費はあまりに少額であることが分かります。

「1つの購入」あたり広告予算が効果的な商品やサービス

この、「1つの購入」に対する広告予算の考え方が使えるのは、売上金額が大きい商品やサービスです。BtoCでいえば、不動産や中古車、BtoBだと、買い切り型のソフトウェア、コンサルティングサービスなどに限られます。継続利用を前提とする、低単価のECサイトやサブスクリプションサービスには不向きな考え方です。

例えば、契約金額200,000円のコンサルティングサービスを例に挙げてみましょう。各数値を以下のように仮定します。なお、売上金額が大きい商品やサービスと関連した語句のCPCは高くなる傾向があります。

 

CPC クリック数 CVR リード数 成約率 契約数
500円 100 1% 10 10% 1

 

広告費用は、500×100=50,000(円)と分かります。

潤沢に広告予算を使えることが分かります。ただし、Web経由のリードの契約割合は、電話やオフライン経由のリードと比べて成約率が低い傾向にあるといわれています。成約率は低く見積もったうえで広告予算を決定するとよいでしょう。

「1人のユーザー」に対する広告予算

次に、「1人のユーザー」に対する広告予算の考え方を見ていきます。この考え方は、「1つの購入」あたりの広告予算の考え方とは相性の悪い、ECサイトやサブスクリプションサービスで用います。

「1人のユーザー」に対する広告予算を考える上で基本となるのが、「顧客生涯価値:LTV(Life Time Value)」の概念です。

LTVとは、「1ユーザーが生涯でもたらす売上、あるいは利益」のことです。1生涯で考えることが難しい場合は、1か月や1年といった特定の単位における1ユーザーあたりの売上、利益を考えます。

LTVを用いたECサイトの広告予算シミュレーション

以下の表は、1年間の、1人のユーザーあたり平均売上単価、平均年間売上回数、平均年間経費、平均年間利益のサンプルです。

 

平均売上単価 平均年間売上回数 平均経費 平均利益
5,000円 4 3,000円 1,250円

 

「1つの購入」に対する広告予算で考えると、

「1つの購入」に対する広告予算=5,000ー3,000ー1,250=750(円)

750円は広告予算としては不足があるといえるでしょう。そこで、ユーザー1人あたりの年間に利用できる広告予算を考えます。

「1人のユーザー」に対する年間広告予算=5000×4-3,000×4-1,250×4=3,000(円)

ユーザー1人あたりに年間で利用できる広告予算は、3,000円と分かります。

3,000円の広告予算で、単価5000円の購入を4回してもらうことで目標の利益額を立てることができます。リスティング広告はあくまで最初の1回から2回の購入の誘導のための施策であり、3回目、4回目の購入を促すのは、「顧客関係性管理:CRM(Customer Relationship Management)」を用いた「ファン化」「リピーター化」の施策です。CRMは、新規獲得ほど広告費用はかからないので、3,000円の広告予算は、1回目、2回目の購入のために投入することができます。

すると、「1つの購入」に対する予算は750円ですが、1回目、2回目の購入には、単純平均でそれぞれ1,500円の広告予算を投入することができると分かります。

LTVを用いたリアル店舗の広告予算シミュレーション

リアル店舗のサービス予約などをリスティング広告の成果地点とする、美容院やマッサージ店においても、LTVの考え方を使うことができます。すなわち、リスティング広告で新規獲得した顧客が、平均いくらの購入(サービス利用)を年に何回してくれるのか、そこから経費や利益額を差し引いた値が、広告費用となります。

リアル店舗の場合は、CRMがオフライン寄りになる可能性があります。ポイントカード制度や、顧客ごとにカスタマイズされたサービス、顧客と店員の関係性など、オンライン以上に複雑な要素が絡み合ってリピート率を決定します。

毎回広告経由で予約が行われるとそれだけ広告費がかさんでしまうため、どれだけ広告以外の経路から次回の予約を獲得するかがLTVを最大化するために大事な考え方です。

CVRを変動させて広告予算をシミュレーションする

ここまで、CVRを1%と仮定して予算をシミュレーションしてきました。実際は扱う商品やサービスに応じてCVRも変動します。「1つの購入」あたりの理想的な広告予算を算出した上で、その値は妥当なのかを再度シミュレーションします。

 

総予算額 CPC クリック数 CVR コンバージョン数 「1つの購入」あたりの広告予算
1,000,000円 50円 20,000 0.5% 100 10,000円
20,000 1.0% 200 5,000円
20,000 1.5% 300 3,333円
20,000 2.0% 400 2,500円

 

仮にCPAの目標がシミュレーションで3,500円と出ていたとすると、CVRは1.5%以上でないと達成できないことがわかります。この場合はLPやコンバージョンポイントを最適化して、1.5%以上のCVRが取れるようにすることが必須になります。
広告クリエイティブを工夫してCTRや広告の関連性を高め、平均CPCを50円以下に抑えてクリック数を増やすという施策も必要でしょう。このようにリスティング広告のシミュレーションでは、CPAを試算した後に実際にその目標値が取れるか、どこを最適化すれば達成できるかまで含めて再度検証する必要があります。

まとめ

ここまで、デジマールの考えるリスティング広告の予算設計について見てきました。予算は多ければ多いほど成果がでるというわけではなく、お客様の目標値を達成するために必要な金額を準備することが第一です。予算をどのように運用して成果を出すのか、が代理店の腕の見せ所です。シミュレーションをもとに様々なプランを考え、最適なものを選んでいく姿勢があるかを基準の一つに代理店を選びましょう。

シミュレーション作成_サンプル

次回は、第8回「リスティング広告の初期設定」です。

チェックリスト形式で、リスティング広告を出稿するまでに抜けがちな項目を確認していきます。

  1. リスティング広告とは?
  2. リスティング広告を始める前に
  3. リスティング広告のhagakure構成
  4. リスティング広告のキーワード
  5. リスティング広告の広告文 / ディスプレイ広告のフォーマット
  6. リスティング広告のパラメータ設定
  7. リスティング広告の予算設計
  8. リスティング広告の初期設定
  9. リスティング広告改善チェックシート
  10. リスティング広告の進捗管理
  11. リスティング広告のレポート作成
  12. リスティング広告の運用引継ぎ
  13. リスティング広告運用を外注するときの注意点

リスティング広告運用代行

事業会社でSaaSのWebマーケティングに1年間携わったのち、デジマールに入社。Tableau勉強中。趣味は料理。

松葉駿平

事業会社でSaaSのWebマーケティングに1年間携わったのち、デジマールに入社。Tableau勉強中。趣味は料理。

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