囚人のジレンマとは?

囚人のジレンマとは、複数の人が数ある選択肢の中から自分にとって良いと思ったものを選択したら、みんなで協力したときよりも結果が悪くなるということです。これはゲーム理論のモデルのひとつでもあります。このゲームには、2人の犯罪者というプレイヤーがいます。片方をA、もう一方をBとします。双方とも犯罪に加担した容疑で拘束されているものの、決定的な証拠がありません。故に別々の部屋で尋問を受けています。ここで、それぞれの前にある選択肢は、自白するか否かである。双方が自白すれば懲役5年に、自白しなければ2人とも懲役に2年の刑期が課せられると予想されている。仮に一方が自白して他方がしなかった場合、自白した側は無罪だが、しなかった側は30年の刑が言い渡される。つまり、自分が自白して他方が自白しなければ自分は無罪となり最も良い結果になる。しかしながら、双方ともに自白してしまうと双方ともに懲役刑を課される。あらかじめ、2者間で協力する約束がなされていても、それは個々にとっては絶対優位な選択肢ではない。それゆえに、常に裏切りに合う可能性をはらんでいる。どちらにとってもジレンマなのです。

囚人のジレンマの活用事例

新型コロナウィルスの世界的流行によって、マスク不足が取りざたされました。この時の状況は「囚人のジレンマ」が当てはまります。自分の利益を最優先に考えて、マスクを買えば他の人たちは買えなくて不利益をこうむります。他の人の利益を考えて自分は買わないことにすると自分は益を得損ないます。自分も他の人も購入すれば店舗在庫はますます少なくなり不足状況に拍車がかかる。双方ともに買わなければ店頭在庫は確保される。この場合、どのような選択肢をとっても実際にマスクが枯渇する可能性は低いものの、人は自分にって合理的な行動を選択しがちです。たとえそれが全体としては非合理的であることが分かっていてもです。それで、買い占めといった問題が起こるわけですね。この「囚人のジレンマ」という状況に陥った時に有効なのが、「懲罰や制限を課す」という方法です。マスクの問題では、行政が卸業者からマスクを買い取り行政の管理下の区といった方法や高額での転売に対して懲罰を課すといった方法が考えられます。

まとめ

「囚人のジレンマ」はゲームの中のみならず、ビジネスの世界でも起こりえます。製品やサービスの価格設定に関して競合他社の動きを考えたときに、値下げや値上げのタイミングを見計らう際に、このジレンマに陥ることがあります。どの選択肢が自社にとって受け入れられるのかは、短期長期的な影響を考慮しなければいけません。