HubSpotは、無料トライアルは存在せず、永年無料で一部機能を開放しています。無料の機能だけでもCRM(Customer Relatioship Management)ツールとして十分活用が可能です。HubSpot CRMから利用をはじめ、どのようなタイミングで有料版へ移行すべきかも含めてい解説していきます。
デジマールでは、HubSpot導入支援を行っています。
HubSpot導入のご相談は「HubSpot導入支援」からお問い合わせください。
HubSpotの全体像を確認したい方は以下の記事をご覧ください。
※本記事はHubSpotパートナー認定のデジマール株式会社が監修・執筆しています。
CRMとは
HubSpot CRMの説明に入る前に、CRMという概念について振り返っておきましょう。
CRMとは、「Customer Relationship Management」の頭文字をとったもので、「顧客関係管理」と訳します。「顧客関係管理」という概念や、そのために使うツールを指してこの用語が使われます。
HubSpotの考えるCRMを一言で説明するならば、「顧客や見込み顧客との良好な関係を作り育てていくために、顧客情報を集約して管理すること」と言えます。企業の販売活動を「マーケティング」「セールス」「カスタマーサービス」と切り分けたうえで、各活動で得られた顧客の「属性」や「購買履歴」に関する情報を集約・管理することを「CRM」と呼んでいます。
マーケティングで得られた顧客の属性に関する情報をもとにセールスを行い、セールスで得られた顧客の属性や購買の情報をもとにカスタマーサービスを行い、カスタマーサービスに満足した顧客が新たな購買につながり・・・と、CRMがうまく機能することで、いわゆる「お得意様」になってもらうことができます。
HubSpotマーケティングブログ|CRM (顧客関係管理)とは?導入するメリットや成功法則を徹底解説
HubSpotは、このCRMの仕組みを無料のHubSpot CRMとして提供しています。今回はこのHubSpot CRMについて解説していきます。
HubSpot CRMの全体像
HubSpot CRMは、「Marketing Hub」「Sales Hub」「Service Hub」のそれぞれの機能のうち、CRMに必須あるいはあると便利な機能を集めたものと考えると理解がしやすくなります。
HubSpot CRMを使っていく中で、機能に不足を感じた場合、「Marketing Hub」「Sales Hub」「Service Hub」のいずれかを有料契約するか、これら3つが合わさってディスカウントがあるHubSpot Growth Suiteバンドルに契約することで機能拡張が可能です。
無料のHubSpot CRMであっても最大100万件のコンタクトを登録でき、ユーザー数とストレージ容量は無制限です。
HubSpot CRMでできること一覧
HubSpot CRMでできることを、CRM、マーケティング、セールス、カスタマーサービスで分けると以下のようになります。詳細な機能を覚えるというよりは、概要をおさえることで、HubSpot CRMの全体像を把握することができます。(それぞれの項目をクリックすると詳細を確認することができます。)
CRM
- コンタクト管理
- コンタクトのウェブサイトアクティビティー
- 会社
- 取引
- タスクとアクティビティー
- 企業インサイト
- GmailやOutlookへの連携
- アプリマーケットプレイスとの連携
- カスタムのサポート フォーム フィールド
- プロスペクト
- チケット管理
- フォーム
- 広告管理
- コミュニケーションの受信トレイ
- レポートダッシュボード
- Eメール追跡&通知
- Eメールテンプレート
- スニペット
- ドキュメント
- コール
- ミーティング設定
- Messengerとの連携
- カスタムプロパティー
引用元:HubSpot|無料ツール
HubSpot CRMでは、CRMに必要な機能が一通りそろっています。個人情報を取得していないプロスペクトの管理、個人情報を取得するためのフォーム作成、個人情報を取得したコンタクトの管理、コンタクトとのやりとりの管理、そして取引(商談)に至ったリードの管理が上記の機能で可能です。
また、ライフサイクルステージに合わせたレポートダッシュボードも作成可能で、マーケティング、セールス活動を横断したKPI管理が可能です。
マーケティング
- Eメールマーケティング
- ランディングページ
- リストのセグメント化
- チームの共有アドレス
- ウェブチャット
- チャットボット
- モバイル最適化
- HubSpotモバイルアプリ
引用元:HubSpot|無料ツール
セールス
- ウェブチャット
- チャットボット
- チームの共有アドレス
- Eメールのスケジュール設定
- 取引パイプライン
- HubSpotモバイルアプリ
引用元:HubSpot|無料ツール
セールスで特徴的なのは、取引パイプラインです。取引は担当者がアサインされたリードのことで、取引のパイプラインは、リードの状況ごとに管理可能な営業プロセスです。
取引のパイプラインを利用することで、セールス活動の全体像を把握することが可能です。
カスタマーサービス
- ウェブチャット
- Eメールのスケジュール設定
- チャットボット
- チームの共有アドレス
- クローズされたチケットに関するレポート
- 担当者の生産性レポート
- クローズまでの時間に関するレポート
- HubSpotモバイルアプリ
引用元:HubSpot|無料ツール
ウェブチャットはマーケティングだけではなく、カスタマーサービスでも利用可能です。顧客がウェブサイトに埋め込まれたチャットで質問してきた場合、チケット(問い合わせ)を発行し、担当者はそのチケットごとに対応することで高品質なカスタマーサービスが可能です。
また、カスタマーサービスに関するレポートを確認することで、カスタマーサービスの生産性が高いメンバー、サポートが必要なメンバーを特定することができます。
無料のHubSpot CRMではできないこと
無料のHubSpot CRMツールでもCRMのかなりの部分を賄うことができます。一方で無料版だとカスタマイズできない部分も存在し、そのカスタマイズのために有料版を契約する必要があります。
無料版のHubSpot CRMでできることと、有料版の「Marketing Hub」「Sales Hub」「Service Hub」でできることを比較しながら、HubSpot CRMではできないことを整理します。
マーケティング
HubSpot CRMと「Marketing Hub」との違いを簡単に整理すると以下のようになります。
フォーム
HubSpot CRMでは、フォームにHubSpotロゴが入っています。このロゴを取り除くには有料版の「Marketing Hub」への契約が必要です。また、フォームの見た目をカスタマイズするためにも有料版への契約が必要です。
Eメールマーケティング
無料版では、HubSpotロゴがメールに入っています。無料版でも1か月に2,000件までメールの配信が可能ですが、上限を開放するには有料版「Marketing Hub」への契約が必要です。
有料版では、デザインをカスタマイズしたり、A/Bテストを実施したり、1000件のEメールテンプレート保存が可能になります。
広告管理
HubSpotは、Google広告、Facebook広告、LinkedIn広告と連携し、広告のオンオフを切り替えたり、新規の広告を作成したりすることができます。無料のHubSpot CRMの場合、すべての広告アカウントで費用が合わせて1,000ドルを超えると以上の操作ができなくなります。
有料の「Marketing Hub」に契約することで、その額を増額できるほか、広告アドオンを購入することでも増額が可能です。
また、無料のHubSpot CRMでは、簡単なウェブサイトオーディエンスしか作成できませんが、「Marketing Hub」と契約することで、コンタクトリストをもとにしたオーディエンスへのターゲティング広告も配信可能となります。
ランディングページ
無料のHubSpot CRMでは、シンプルなテンプレートのみ利用可能で、HubSpotのロゴが入っています。有料の「Marketig Hub」を利用するとそのロゴを削除できるほか、カスタムドメイン、カスタムテンプレート、A/Bテスト機能などが利用可能になります。
リストのセグメント化
無料のMarketing Hubでも、5件の動的リスト、1,000件の静的リストが利用可能です。利用可能なリスト数や、セグメント条件を追加するためには有料の「Marketing Hub」への契約が必要です。
チャットボット
無料のHubSpot CRMでもチャットボットの作成、Webサイトへの入れ込みが可能ですが、そのデザインや条件分岐のロジックをカスタムしたい場合には、有料の「Marketing Hub」の契約が必要です。
以上のほかにも、有料版と契約することでSalesForceとリードが契約できる、ソーシャルメディアと接続して予約投稿が可能になるなど無料版ではできないことも数多く存在します。
参考:HubSpot|Marketing Hub
参考:HubSpot製品・サービスカタログ
セールス
HubSpot CRMと「Sales Hub」との違いを簡単に整理すると以下のようになります。
見積もり
無料のHubSpot CRMでは、見積書を作成することができません。有料の「Sales Hub」に契約すると、HubSpot上に記録されている顧客データをもとにわずか数クリックで請求書を作成することが可能になります。
Eメールテンプレート
無料のHubSpot CRMでは5件のテンプレートまでしか登録できませんが、有料の「Sales Hub」を契約することで、1000件のEメールテンプレートを保存可能になります。
スニペット
スニペットは、メールやウェブチャットで利用できる短い文章のパーツのことで、スニペットを利用するとメールテンプレートと合わせて、より効率的な顧客対応が可能となります。
無料のHubSpot CRMでは最大5件までスニペットが作成可能で、有料の「Sales Hub」では、1,000件のスニペットが登録可能です。
取引ステージ、タスク、リードローテーションの自動化
無料のHubSpot CRMでも、取引をパイプラインで管理することが可能ですが、その管理はすべて手作業で行う必要があります。有料の「Sales Hub」に契約することで、条件を設定すれば自動で取引のステージ移動が可能となります。
以上のほかにも、受信したチャットやEメールを自動でメンバーに割り振る機能や、無料では1件しか登録できないミーティングのリンクを、有料版では1,000件まで登録することができます。「Sales Hub」に契約することで、機能の拡張や、自動化、登録できる情報量の増加が可能です。
参考:HubSpot|Sales Hub
参考:HubSpot製品・サービスカタログ
カスタマーサービス
HubSpot CRMと「Service Hub」との違いを簡単に整理すると以下のようになります。
チケットパイプライン
無料のHubSpot CRMでは、チケットの発行は可能ですが、パイプライン形式で管理することはできません。「Service Hub」に契約することにより、地域や、ブランド、チームなどにパイプラインを分けてチケットの管理が可能です。
アンケート
無料のHubSpot CRMでは、顧客の意見をサービスに反映させるためのNPS、顧客体験、カスタマーサポートに関するアンケートを作成することができません。「Service Hub」に契約することで、それらのアンケートを作成し、Eメールやウェブサイト上で公開が可能です。
1:1動画の作成とホスティング
「Service Hub」に契約すると、カメラまたは画面共有ツールを利用し、顧客向けのヘルプ動画を作成できます。作成した動画はEメールやチケットに添付したり、ナレッジ記事に埋め込んだりできます。すべての操作をHubSpotアカウントで完結できます。
以上のほかにも、「Service Hub」と契約することで、タスクをSlackで通知したり、ビジネスの進め方に合わせて、チーム、地域、事業単位、ブランドなどの属性別にユーザーをチーム分けしたりすることが可能になります。
参考:HubSpot|Service Hub
参考:HubSpot製品・サービスカタログ
まとめ
ここまで、HubSpotの無料版、HubSpot CRMできることを確認したうえで、有料版である「Marketing Hub」「Sales Hub」「Service Hub」との違いを簡単に見てきました。
HubSpotはCRMツールとして無料版でも数多くの機能を持っているとともに、運用する中で足りない機能を補えるように製品を選択できるような料金体系になっていることがわかります。
デジマールでは、HubSpot導入支援を行っています。
HubSpot導入のご相談は「HubSpot導入支援」からお問い合わせください。