Web広告の活用を検討している方などWeb広告への理解を深めたい方に向けて
・Web広告のメリット・デメリットはなにか
・Web広告にはどのような種類のものがあるのか、
・Web広告で成果を出すためにはどうすればいいか
といったお悩みの解決につながる内容をまとめています。
Web広告とは
Web広告とは、Webマーケティングの手法の1つで、インターネット上で配信される広告の総称です。検索エンジンの検索結果ページやWebサイト、SNSなどに設けられた広告枠を利用して、出稿される広告のことを指します。
Web広告の大きな特徴は、広告を配信するターゲットを絞ることができる点です。マス広告(テレビ広告、ラジオ広告、雑誌広告、新聞広告)が不特定多数の人に広告を届けるのに対し、Web広告は、年齢や性別、興味、関心などにより広告を届けるユーザーを絞りこむことができます。また、広告の効果を数値で確認でき、随時、改善を行えることもWeb広告の大きな特徴です。
*Webマーケティングについて知りたい方は「Webマーケティングとは?種類や進め方、実施する上でおさえておきたいことについて解説」をご覧ください。
Web広告のメリット
主なメリットは以下の4つです。
・ターゲットを絞って広告を配信できる
・効果測定が可能
・少額から始められる
・柔軟に広告の調整ができる
Web広告は様々な条件(年齢、性別、地域、過去の検索履歴など)で、広告を表示させるユーザーを絞ることができます。広告を見せたいユーザーにのみ広告を表示することができるため、無駄な広告費を抑えることができ、費用対効果を高めることができます。
また、管理ツール上で、どれだけの人に見られたか、広告経由でどれだけの商品の購買があったかなど広告の効果を測定することができます。
また、少ない費用で始められる点や、広告の変更や広告の掲載停止などを簡単に行える点もメリットです。
Web広告のデメリット
主なデメリットは以下の2つです。
・成果を出すにはノウハウや知識が必要
・競合が多いと広告表示のコストが高騰する
Web広告は誰でも簡単に成果を出せるというものではありません。Web広告の各種類の特徴や予算設定の仕方、分析の仕方など様々な知識、ノウハウが必要になります。
また、競合が多いと、広告表示にかかるコストが高くなってしまうことがあります。例えば、リスティング広告において、人気のキーワードはクリック単価が高騰しがちなため、広告を表示させるには想定以上のコストがかかってしまうことがあります。
Web広告の種類
①リスティング広告
②ディスプレイ広告
③アフィリエイト広告
④SNS広告
⑤メール広告
⑥デジタル音声広告
⑦純広告
①リスティング広告
リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれます。GoogleやYahoo!で検索をした際に、検索結果の上位に表示される広告が「リスティング広告」です。広告の掲載順位は全てオークションで決まります。
課金方式 |
クリック課金 |
メリット |
・顕在層へのアプローチがしやすい →情報を求めている、関心が高まっている状態のユーザーに広告を表示させることができます。 ・低予算で始められる |
デメリット |
・潜在層へのアプローチが難しいため、アプローチできるターゲット層が限られる。 ・テキストのみであるので、ビジュアルで訴求することは難しい。 |
利用目的例 |
購入意欲が高いユーザーの自社サイトへの誘導 |
②ディスプレイ広告
Webサイトやアプリ上の広告枠に表示される広告のことです。テキストだけでなく、バナー形式や動画形式の広告を作成することが可能です。
課金方式 |
クリック課金・インプレッション課金 |
メリット |
・画像や動画を表示することができるため、ユーザーの目を引きやすい
・潜在層から顕在層まで幅広いユーザーにアプローチできる |
デメリット |
・ユーザーは広告を目的にWebサイトやアプリを利用するわけではないので、リスティング広告と比べてクリック率が低い傾向にある。
・広告の内容と合わないサイトに表示されると、ブランドへの信頼の低下につながる恐れがある。 |
利用目的例 |
商品やサービスの認知拡大 |
ディスプレイ広告の配信を支援する主要な仕組みの1つにDSPがあります。DSPとは、複数のメディアやアドネットワーク(複数の広告媒体が集まった広告配信ネットワーク)などに一括して広告を出稿できる仕組みです。この仕組みを利用すると、広告を出す側が潜在的な顧客層となるターゲットユーザーに対してリアルタイムで広告枠の入札を行うことができます。また、膨大なデータの蓄積に基づいて半自動的に最適な広告配信先を決定してくれるため、「最大限の広告効果を出すにはどの媒体にアピールすればよいのか」という悩みをクリアにしやすいのです。
[代表的なDSP]
・RMP – Display Ads(楽天 DSP)
・Amazon DSP
・Criteo
・Logicad
・UNIVERSE Ads
③SNS広告
広告費を支払うことで、InstagramやTikTokなどのSNSでの投稿を幅広い人に拡散できる広告です。SNSといっても様々な媒体があり、その媒体ごとに特性は異なるため、どの媒体が適しているかを考える必要があります。
[代表的なSNS]
・X
・TikTok
・LINE
課金方式 |
クリック課金、エンゲージメント課金 |
メリット |
・SNSが持つ高い拡散性によって、自然に広告のリーチが拡大することが期待できる。
・他の広告よりも受け入れられやすい。 ユーザーが毎日のように見ているタイムラインに自然な形で広告が表示されるため、ユーザーは広告を受け入れやすいという特徴があります。 |
デメリット |
・ネガティブな反応も広がりやすいため、炎上するリスクがある。
・必ず画像や動画を用意しなければならない |
利用目的例 |
商品やブランドのファンの増加 |
④アフィリエイト広告
アフィリエイターと呼ばれる媒体主が、自身のWebサイトやSNSアカウントなどで広告主に代わって商品・サービスを宣伝する形の広告です。通常、ASP(アフィリエイターと広告主をつなぐサービス)を通して、広告掲載の決定や報酬の支払いが行われます。
課金方式 |
成果報酬型 |
メリット |
・費用が発生する条件を厳しく設定できる。
・ポイントサイトなど、多くの顧客を持つサイトに広告を掲載できる。 |
デメリット |
・ASP利用に月額費用など固定費が発生する。
・アフィリエイターが不適切な宣伝の仕方をすると、商品やブランドへの信頼の低下につながる。
・一度停止をすると同じ条件での再開が難しく、ずっと継続する必要がある。 |
利用目的例 |
商品の販売促進 |
⑤メール広告
電子メールでユーザーに配信する広告のことです。メールマガジンなどの中に広告枠を設ける方法と、メール全体を広告として配信する方法があります。形式は「テキスト形式」と「HTML形式」があり、「HTML形式」では、画像や動画を使用することができます。
課金方式 |
クリック課金、配信課金型、一斉配信契約型 |
メリット |
・他の広告と比較して、多くの情報を届けられる。
・入稿から配信までの期間が短く、手間がかからない。 急なキャンペーンなどにも対応できます。 |
デメリット |
・スパム扱いされる可能性がある。
・件名で興味を引くことができないと、開封されない恐れがある。 |
利用目的例 |
新商品発売やセールの告知 |
⑥デジタル音声広告
音楽配信サービスやインターネットラジオなどの音声メディアを通じて配信される広告のことです。「オーディオ・アド」とも呼ばれます。代表的な媒体としては、Spotifyやradikoなどがあります。
課金方式 |
広告を聞いたユーザー数によって決定 |
メリット |
・ユーザーに受け入れられやすい。 音声は画像や動画と異なり聞き流せるため、押しつけられている印象を与えにくく、広告に対する嫌悪感が少ないという特徴があります。
・音声は企業のブランドを想起しやすいため、ブランディングにつながる。 |
デメリット |
・効果測定の仕組みが確立されていない。
デジタル音声広告は、広告のクリックなどが存在しないため、現状では、広告視聴後のユーザーの行動把握が困難です。 |
利用目的例 |
ブランディング、認知拡大 |
⑦純広告
Webサイトなどの広告枠を事前に買い取って、掲載する広告のことです。事前に広告枠を予約し、一定期間その広告枠を利用することから、予約型広告とも呼ばれます。
課金方式 |
インプレッション保証型 |
メリット |
・他の広告と比べ、広告運用の手間がかかりにくい。 |
デメリット |
・アクセス数の多いサイトなどでは、多額の費用がかかる。 |
利用目的例 |
商品やサービスの露出拡大 |
Web広告の主な課金方式
課金方式 |
説明 |
クリック課金 |
広告が1回クリックされるごとに費用が発生する課金方式。 |
インプレッション課金 |
広告が表示されるたびに費用が発生する課金方式。 |
エンゲージメント課金 |
クリック、いいね、フォローなど、事前に広告主が設定したユーザーの行動(エンゲージメント)が行われるたびに費用が発生する課金方式。 |
成果報酬型 |
商品の購入、会員登録、資料請求など、特定の成果が発生するたびに費用が発生する課金方式。この「成果」は広告主が設定します。 |
インプレッション保証型 |
広告の表示回数ごとに料金を設定する課金方式。 |
Web広告で成果を出すために必要な取り組み
Web広告で成果を出すために、必須の取り組みが3つあります。第一に、目的とターゲットを明確にすること。第二に、目的・ターゲットに合ったWeb広告・媒体を選定すること。そして、第三に、KPIを設定し、それをもとにPDCAを回すことです。加えて、他の2つの効果的な取り組みについても説明します。
目的とターゲットを明確にする
まず初めに、Web広告を利用する目的と、ターゲット(誰に向けて広告を出稿するのか)を明確にしなければなりません。なぜなら、目的とターゲットがWeb広告施策の根幹となる部分だからです。広告の種類や配信先、クリエイティブ、予算、KPIなどすべて、目的とターゲットをもとに決定していきます。
目的・ターゲットに合ったWeb広告・媒体を選定する
Web広告の手法や媒体には、それぞれ異なる特徴があるため、商品や自社に適しているものはどれかを選定する必要があります。それができなければ、支払う広告費が無駄になってしまいます。
KPIを設定し、それをもとにPDCAを回す
Web広告の効果を最大化させるには、実施した後に効果を測定・分析し、改善し、また計画・実行するというサイクルを回し続ける必要があります。PDCAを回すには指標が必要であるため、目標CPA(コンバージョン単価)や目標ROAS(広告費用対効果)などのKPIをあらかじめ設定することが必須事項です。
LPにこだわる
LP(ランディングページ)とは、広告をクリックした時に遷移するページのことです(広い意味では、訪問者が検索結果やWeb広告などを経由して最初にたどり着くページのことを指します)。LPはコンバージョンの獲得という役割を担っています。そのため、広告がどれだけ良いものであってもLPが優れたものでなければ、成果を出すことはできません。反対に、LPが優れたものであれば、どのような広告手法を実施しても一定程度の成果を出すことができます。
新しい媒体にチャレンジする
時には、新しい媒体を利用することも重要です。新しく出た媒体は、CPC(広告を1クリックするごとに発生する費用)が低いことが多く、サポートも手厚い場合が多いため、既存の媒体よりも大きな成果を獲得できる場合があります。
*広告運用の仕事について知りたい方は、「広告運用とは?仕事内容や向いている人について解説」の記事をご覧ください。
Web広告選びのポイント
まずは、利用者の多い媒体から始めてみる
適切な媒体の選定が難しい場合は、まず、GoogleやMetaなどの利用者数の多い媒体から始めるのがおすすめです。その後、広告運用を進める中でより明確になったターゲット層や目的に応じて、他の媒体へも広げていきます。他にも、競合が配信している媒体から試してみることも1つの方法です。商材やターゲット層が近い競合が実施しているのであれば、大きく失敗する可能性は低いでしょう。
どのようなターゲティング手法があるかで選ぶ
媒体によって、用いることができるターゲティング手法が異なります。そのため、自分たちがアプローチしたいターゲット層で絞り込みが行える媒体を選ぶ必要があります。
目的から選ぶ
Web広告を活用する目的は、認知拡大、売上向上、自社サイトへの訪問者の増加、資料請求の促進、実店舗への集客数増加など様々です。Web広告施策を行う目的にあった手法を選ぶ必要があります。例えば、認知拡大であれば、画像や動画でユーザーの目を引きやすいディスプレイ広告、資料請求の促進であれば、情報を求める人へのアプローチがしやすいリスティング広告の活用が考えられます。
予算から選ぶ
予算を事前に決め、それにあった手法を選ぶことも重要です。予算があまりない場合は、少額でも始められ、費用対効果が悪化しにくい手法を選ぶべきです。例えば、リスティング広告は数円から出稿できるものがあります。また、課金方式においては、クリック課金や成果報酬型などは、費用対効果が悪化しにくい方式が適切です。
KPIの設定手順
1.KGIを決める
KGIは最終的に達成したい目標のことです。ここではWeb広告施策によって達成したい最終的な目標です。
例)認知度10%アップ、資料請求数10%アップ、売上20%アップ、年間新規会員獲得数10万人など
2.KGIと関連する指標をKPIとする
次に、KGIと関連性が高い指標をKPIとします。最終目標であるKGIに対して、KPIは中間目標のイメージです。
例)KGIが資料請求数の場合
「資料請求数=クリック率(広告が表示された人のうち広告をクリックした割合)×コンバージョン率(クリックした人の内、実際に資料請求をした人の割合)」であるため、クリック率やコンバージョン率がKPIの候補となります。
まとめ
Web広告とは、インターネット上で配信される広告の総称です。
Web広告のメリットは、マス広告よりも少額で始められ、ターゲットを絞っての広告配信や効果測定が可能な上に、柔軟に広告の調整ができる点です。
反対にデメリットには、成果を出すにはノウハウや専門的な知識が必要である点や競合が多いと広告表示のコストが高騰してしまう点があげられます。
また、Web広告には主に以下の7つの種類があり、それぞれ課金方式や特徴が異なります。
①リスティング広告
②ディスプレイ広告
③アフィリエイト広告
④SNS広告
⑤メール広告
⑥デジタル音声広告
⑦純広告
Web広告で成果を出すには、目的とターゲットを明確にし、それらに沿ってWeb広告・媒体を選定すること、また、KPIを設定し、それをもとにPDCAを回すことが重要になります。
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