リスティング広告を代理店に依頼する場合にも、ある程度リスティング広告に関する知識を持っていることは、円滑な取り組みのために不可欠です。今回は基本的な説明とともに、デジマールが考えるリスティング広告の役割についても触れていきます。
リスティング広告について、より包括的な説明をお求めの方は「リスティング広告とは?」の記事をご覧ください。
※本記事は、Googleパートナー・Yahoo!認定パートナーである、デジマール株式会社が執筆・監修しているものです。
リスティング広告とは
リスティング広告(検索連動型広告)に関する、基本的な説明をしていきます。「リスティング広告」という言葉は一般的に、「検索連動型広告」と同義で用いられます。Google広告の「検索キャンペーン」広告、Yahoo!広告の「検索広告」が該当します。
GoogleやYahoo!で検索をした際に、検索結果の上部に表示される広告が「リスティング広告」です。クリック課金制をとり、クリックが発生して初めて課金となります。
このクリック型の課金制度は、英語で「pay per click」と表現されることから、リスティング広告はPPC広告と呼ばれることもあります。
広告のフォーマット
Googleのリスティング広告(検索キャンペーンの広告)
Yahoo!のリスティング広告(検索広告)
リスティング広告には、「広告」というマークがついています。広告がまったく表示されない検索結果もあれば、先ほどの画像のように4つも広告が表示されている検索結果もあります。広告の表示数は、GoogleやYahoo!の広告掲載アルゴリズムに基づいて決定しています。すなわち、ユーザーの検索意図を満たすような品質の高い広告のみ掲載しているということです。
リスティング広告の形式は決まっており、
①②は「広告見出し(半角30字以内)」、③④は「パス(半角15字以内)」、⑤は「説明文(半角90字以内)」です。広告見出しは場合によって3つ、説明文は2つ表示されることもあります。
また、広告の下に広告掲載企業の電話番号やランディングページの特定の部分に遷移するリンクを表示する、「広告表示オプション」が追記されることもあります。
オーガニック検索とは
オーガニック検索とは、検索結果の広告枠を除いた部分のことを指します。GoogleやYahoo!でユーザーが検索を行った際に、検索エンジンがアルゴリズムによって評価したサイトをランキング形式で表示させています。自然検索とも呼ばれます。このオーガニック検索において高い順位で掲載されるために「SEO(Search Engine Optimization)対策」を行う必要があります。
SEO対策をすると、サイトに訪れるユーザー数の増加、上位表示によるブランディング効果、継続的な流入が見込めるなどメリットがあります。
これらオーガニック検索はリスティング広告と同じ検索結果に表示されますが、大きな違いはいくらクリックされても課金されないことです。
リスティング広告の費用
リスティング広告の支払いは、広告のクリックごとに発生します。すなわち、いくら広告が掲載されても、クリックされなければ費用自体は発生しないということです。
自然検索の掲載結果の記事は、いくらクリックされても課金されることはないため、その点SEOはリスティング広告に比べて、経済的な施策といえるでしょう。
また、リスティング広告では、キーワードごとに入札単価を決定します。設定する入札単価は、支払いの最高額として設定します。後述するオークションの結果、広告掲載に必要な金額が入札単価を下回れば、その金額が支払い額となります。
設定した入札単価 | 500円 |
オークションの結果決まった入札単価 | 300円 |
支払い金額 | 300円 |
入札金額はキーワードごとに手動で決めることも可能ですし、目標とする指標、例えば、クリック単価(CPC)や目標とする獲得単価(CPA:Cost Per Acquisition)や、最大化したい指標、例えば、クリック数やコンバージョン数を定め、それに沿って入札単価を自動決定する、自動入札の機能も利用することができます。
始めるのに必要な費用
テレビCMや純広告と異なり、広告掲載開始に必要な金額が少ないこともリスティング広告の魅力です。もちろん入札するキーワードの価格帯が高かったり、競合が多くいたりする商品の場合、クリック単価が高騰することもあります。クリック単価は低くて数円から数十円、高くとも数千円です。
Google広告のヘルプでは、以下のような記述も見られます。
おすすめ: 少額から始めましょう
初めてご利用になる場合、1 日の予算は 1,000~5,000 円程度をおすすめします。新しい予算を適用したら、アカウントでキャンペーンの掲載結果を毎日確認します。
理想は、目標数値に対して適切な予算を準備することです。運用の初期は目標を立てるためのデータが必要なため、取り急ぎ日予算を数千円で設定して様子を見たうえで、予算を増額するという手法も考えられます。
リスティング広告の掲載順位決定の仕組み
先述したように、リスティング広告の掲載結果は、「GoogleやYahoo!の広告掲載アルゴリズムに基づいて決定」されます。では、GoogleやYahoo!はどのようなアルゴリズムで掲載順位を決定しているのでしょうか。
その答えは、端的に言えば、Google広告の「広告ランク」や、Yahoo!広告の「オークションランク」という指標を基にしたオークションの仕組みです。具体的な解説をGoogle広告ヘルプの記述及び、Yahoo!広告の記述をもとに見てみましょう。
Google広告
まずは、Google広告の掲載順位決定の仕組みから見てみます。Google広告のヘルプには、以下のような記載があります。
1.検索が行われる
ユーザーが「ピザ デリバリー」という語句を検索します。2.広告が絞り込まれる
Google広告システムによって、「ピザ デリバリー」という語句に類するキーワードが設定された広告がすべて検出されます。このうち、違う国が掲載対象に設定されている広告や不承認の広告など、不適格な広告が排除されます。3.要件を満たさない広告が除外される
次に、広告ランクが掲載基準を満たしている広告だけが抽出されます(判定基準はたとえば、期待されるクリック率、広告とランディングページのユーザーエクスペリエンスなどです)。品質面で掲載基準を満たさない広告も除外されます。4.広告の掲載順位が決まる
残った広告は、広告ランクが高い順にページに表示されます。広告ランクは、入札単価、広告とランディングページの品質、広告ランクの最低基準、ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)、広告表示オプションやその他の広告フォーマットによる効果の予想などをもとに算定されます。5.広告が表示される
検索語句と関連性の高い広告を見たユーザーは、すぐに念願のピザを注文できます。6.このプロセスが繰り返される
ユーザーが検索を行うたびに、上記のプロセスが繰り返されます。ユーザーの検索コンテキストや、その時点での広告主様同士の競合状況が反映されるため、たとえ同じ検索語句であってもオークションの結果はその都度異なります。(中略)
上記の4番目のステップでは、広告ランクという指標によって、ページ上での広告の掲載順位が決まります。広告ランクの主な構成要素は、入札単価、広告とウェブサイトの品質、広告ランクの最低基準、ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)、広告表示オプションやその他の広告フォーマットによる効果の予想などです。掲載順位を高めるには、品質、入札単価、あるいはその両方を合わせた総合力で他社に勝つ必要があります。
Google広告では、入札単価と、広告の品質を測る様々な指標によって決まる「広告ランク」によって掲載順位が決定することが分かります。
広告の品質を測る指標の総合点として、10段階評価の「品質スコア」があります。この品質スコアは「推定クリック率」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」によって決まるといわれています。
Yahoo!広告
次にYahoo!広告の掲載順位の仕組みを見ていきます。基本的にはGoogle広告の「広告ランク」と同じような概念として、「オークションランク」が使われています。
広告オークションの仕組み
広告オークションの仕組みは以下のとおりです。
- インターネットユーザーが検索した内容と一致するキーワードが設定された広告がすべて検出されます。
- 1.で検出された広告の中から、掲載対象とならない広告が除外されます。
例
審査により非承認となっている広告の場合- 2.の中でオークションランクの高いものから順に、広告が表示されます。
オークションランクの構成要素
オークションランクは、以下の要素によって構成されます。
- 広告グループやキーワードに設定した入札価格
- 「広告の品質」
- 推定クリック率
当該広告(タイトル・説明文)がどれだけクリックされうるかという推定の値です。広告の過去のクリック数やインプレッション数の影響を受けます。
- 表示URLの過去のクリック率
その表示URLがどれだけクリックされたかという実績値です。
- 広告文と検索クエリーの関連性
- 広告が掲載された地域別の掲載実績(アカウント全体)
- インターネットユーザーの検索クエリー
- 各種デバイス(PC、スマートフォン、タブレット)での広告の掲載実績 など
Yahoo!広告でも、入札単価と「広告の品質」を測る様々な指標によって決まる「オークションランク」に基づいて広告の掲載順位が決定することが分かります。
そして、「広告の品質」の総合的な評価は、「品質インデックス」で確認できることも分かります。
なお、Yahoo!広告の管理画面では、「品質インデックス」の値と、「推定クリック値」の値のみ確認できます。
「広告の品質」の確認
「広告の品質」の具体的な数値は確認できません。しかし、広告管理ツールでキーワードごとに表示される品質インデックスを参考値として確認してください。
「広告の品質」、および品質インデックスについては、以下のページを参照してください。
自然検索との相違点
リスティング広告の概要がつかめたところで、リスティング広告と自然検索、リスティング広告とディスプレイ広告の違いについて見ていきます。
前述したように、GoogleやYahoo!で検索すると、リスティング広告と自然検索が表示されます。自然検索結果にWebサイトを掲載すれば、クリック単価を支払うことなくユーザーと接触することが可能です。では、なぜクリック単価を支払ってまでリスティング広告を掲載するのでしょうか。
その答えは、以下のように考えられます。
安定した掲載が見込める
リスティング広告は、どのような検索語句に対して広告掲載するのか、事前に登録することができます。その語句が検索されたときに、Google広告では「広告ランク」、Yahoo!広告では「オークションランク」が最低限を超えていれば、広告が掲載されます。
一方で、自然検索の場合、事前にどのような検索語句に記事を掲載するのか登録することができません。検索エンジンがクローリングという技術で記事の内容を読み取り、ある語句が検索されたときに、検索エンジンが判断した、「ユーザーにとって有益な」順番に記事を掲載します。どのようなアルゴリズムで「有益さ」を評価し、掲載順位を決定しているか、具体的には明かされていません。アルゴリズムは定期的にアップデートされるため、高い掲載順位を維持することは簡単ではありません。
リスティング広告の掲載順位決定のアルゴリズムは、自然検索のそれに比べると明確であり、広告配信する語句も登録できるため、安定した掲載が見込めるのです。
掲載内容が安定している
リスティング広告の掲載内容は、その内容を管理画面で登録、編集することが可能です。一方で自然検索の場合、タイトルが変わることはありませんが、その下の説明文、通称「ディスクリプション」は検索エンジンが適宜改変する場合があり、その内容は安定しません。画像のように、クリック率を高めてくれそうな記述を追加する場合ももちろんありますが、一見タイトルとは関係の薄い部分を追記する場合もあります。自然検索の掲載内容は、検索エンジンに委ねられているのです。
リスティング広告は、登録した「広告見出し」「パス」「説明文」通りに広告掲載されるため、内容が勝手に書き換わってしまう心配はありません。
また、自然検索の記事の場合、内容を変更すると、その反映に数日かかりますが、リスティング広告の場合、修正内容は早くて数時間、遅くとも1日程度で反映されるため、機会損出も少なくて済みます。
ディスプレイ広告との相違点
Web広告において、リスティング広告と共に重要視される広告として、「ディスプレイ広告」があります。Google広告における「ディスプレイキャンペーン」の広告、Yahoo!広告における「ディスプレイ広告(運用型)」が該当します。
イメージ広告の例
代理店によっては、「リスティング広告=検索連動型広告+ディスプレイ広告」と解釈されている方もいらっしゃいますが、本記事においては、「リスティング広告=検索連動型広告」として話を進めてまいります。
リスティング広告とディスプレイ広告の相違点をまとめると以下のようになります。
リスティング広告 | ディスプレイ広告 | |
広告掲載場所 | 検索結果 | 各媒体の提携サイト |
広告フォーマット | テキスト広告 |
テキスト広告 イメージ広告 動画広告 |
ターゲティング |
キーワード ユーザー属性 |
キーワード ユーザー属性 |
広告掲載場所
リスティング広告とディスプレイ広告の違いの1つ目は、掲載場所です。前述したように、リスティング広告は検索結果の上部もくしは下部に掲載されます。
一方ディスプレイ広告は、ユーザー閲覧しているサイトの広告枠に掲載されます。掲載されるサイトは各広告媒体の提携サイトです。提携サイトは、Google広告であれば、「Googleディスプレイネットワーク」と呼称されています。Yahoo!広告であれば「Yahoo!アドパートナー」と呼称されています。
例えば「Yahoo!アドパートナー」には、
朝日新聞DIGITAL、BuzzFeed、cookpad、デイリー、DIAMOND online、D2C、FNN PRIME online、Game8、GameWith、goo、kurashiru、livedoorNEWS、毎日新聞、MANTANWEB、msn、スポーツ報知、sponichi Annex、食べログ、東洋経済オンライン、TRILL、読売新聞オンライン
といったサイトが例示されています。
広告フォーマット
リスティング広告とディスプレイ広告の違い2つ目は、広告フォーマットです。リスティング広告では、テキスト広告しか配信できませんが、ディスプレイ広告では、画像や動画を用いた多種多様なフォーマットで顧客と接点を持つことができます。
ターゲティング
掲載場所や広告フォーマットについて大きな違いがみられるリスティング広告とディスプレイ広告ですが、ターゲティングに関して大きな違いはありません。例えば、検索広告では、キーワードで配信対象の絞り込みができますが、ディスプレイ広告においても特定のキーワードを検索したユーザーに対して広告配信ができます。
Google広告におけるターゲティング
検索キャンペーン | ディスプレイキャンペーン | |
キーワード | 〇(登録するキーワード) | 〇(コンテンツターゲット) |
カスタムオーディエンス | × | 〇 |
詳しいユーザー属性 | 〇 | 〇 |
ライフイベント | × | 〇 |
購買意向 | 〇 | 〇 |
リマーケティング | 〇 | 〇 |
カスタマーマッチ | 〇 | 〇 |
類似ユーザー | 〇 | 〇 |
プレースメント | × | 〇 |
デバイス | 〇 | 〇 |
地域 | 〇 | 〇 |
曜日・時間帯 | 〇 | 〇 |
参考:Google広告ヘルプ|オーディエンス ターゲティングについて
参考:Google広告|キーワードによるコンテンツ ターゲット
Yahoo!広告におけるターゲティング
検索広告 | ディスプレイ広告(運用型) | |
キーワード | 〇(登録するキーワード) | 〇(サーチキーワード) |
性別 | × | 〇 |
年齢 | × | 〇 |
サイト | 〇 | 〇 |
インタレスト | × | 〇 |
サイトカテゴリー | × | 〇 |
プレースメント | × | 〇 |
地域 | 〇 | 〇 |
曜日・時間帯 | 〇 | 〇 |
デバイス | 〇 | 〇 |
参考:Yahoo!広告ヘルプ|検索広告のターゲティングはどんな種類がありますか?
運用型広告という考え方
リスティング広告とディスプレイ広告は掲載面や、広告フォーマットに違いがあります。それゆえに、役割も異なります。しかし、自社商品について関心のありそうなユーザーのWeb上での行動を想像、分析することで広告の掲載対象を決定するという意味では、本質的な違いはありません。リスティング広告であれば、掲載対象をキーワードで、ディスプレイ広告であれば掲載対象をターゲティングによって決定します。
デジマールでは、リスティング広告とディスプレイ広告を合わせて「運用型広告」と位置づけ、両者を組み合わせたWeb広告運用に力を入れています。
アトリビューション分析
アトリビューション分析を行う一番の目的は、広告費用のリアロケーション(再配分)、広告費用の配分を見直すことです。リスティング広告とディスプレイ広告をどちらも運用していると、「リスティング広告ではコンバージョンが獲得できているのに、ディスプレイ広告では全くコンバージョンが獲得できていない。ディスプレイ広告は停止したほうがいいのではないか。」という判断を迫られることがあります。
異なる広告の成果をどのように評価するのか、その考え方こそが「アトリビューション(貢献度)分析」です。図のように、ディスプレイ広告をクリックして、いったんはランディングページに訪問したものの、コンバージョンしなかったユーザーが、数日後リスティング広告をクリックしてコンバージョンした。といった、リスティング広告、ディスプレイ広告どちらの貢献も評価できそうな状況に対応します。
従来の広告の評価であれば、最後にクリックされたリスティング広告のみを評価する「ラストクリックモデル」で、リスティング広告の貢献度を100/100としていたでしょう。しかし、今回のように、ディスプレイ広告が認知の役割を果たすこともあります。複数広告の成果を横断して確認できるモデルが必要です。
アトリビューションモデル
より現実に近い形で広告の成果を評価するモデルとして、複数の「アトリビューション分析モデル」が存在します。ユーザーが接した広告全てを均等に評価する「線形モデル」や最初と最後に触れた広告の貢献度を高く評価する「接点ベースモデル」、そして広告配信のデータを基に、貢献度の高い広告を見つけ出す「データドリブンアトリビューション」などが挙げられます。
参考:Googleアナリティクスヘルプ|アトリビューション モデルの概要
アトリビューションの考え方を採用することで、どのようなユーザーに対するリスティング広告を作成するのかという見通しが立てやすくなります。リスティング広告を1つの広告として見るのではなく、数ある施策の1部分として見ることで、Webマーケティング全体を構築することができます。
デジマールの考えるリスティング広告
デジマールでは、リスティング広告を「顕在層」と「準顕在層」に向けた広告と位置づけています。ディスプレイ広告との違いも意識しながら、詳しく見ていきましょう。
「顕在層」「準顕在層」「潜在層」とは
顧客の商品に対するニーズの状態を「顕在」「準顕在」「潜在」の3つに分けて考えます。まず、それぞれを以下のように定義します。
「顕在層」…自社商品あるいは競合商品の購入を検討している層
「準顕在層」…自社商品あるいは競合商品によって解決される課題の解決策を模索している層
「潜在層」…今後自社商品あるいは競合商品によって解決される課題を抱えるかもしれない層
ユーザー数を面積で表すと、一般的に以下のピラミッド状の構造が見受けられます。
リスティング広告で対象とする「顕在層」「準顕在層」
リスティング広告で対象とする「顕在層」「準顕在層」は図表のように①~④の4つのグループに分けることができます。また、リスティング広告が対象としない「潜在層」についても、⑤、⑥の2つに分けることができます。それぞれについて見ていきます。
グループ①
グループ①は、商品の想起度が高く、購買意欲も高い顧客層です。パソコンを例にとれば、「MacBook」「Let’s note」「Think Pad」のように具体的な商品名を検索して、購入につながるサイトを探している状態です。このような商品を特定できるキーワードのことを、代理店では、「指名キーワード」と呼ぶことが多いです。
広告ではなく、自然検索で表示される自社サイトへの流入を狙う顧客層とも考えられるため、SEO担当とも相談が必要です。
グループ②
グループ②は、商品の想起度が高いが、購買意欲が低い顧客層です。パソコンを例にとれば、「MacBook 評価」「Let’s note デメリット」のように、まだ購入する商品を決めきっていないが、商品を購入する前向きな後押しや、購入後に後悔しないよう情報を集めている状態です。自動車や高級時計など検討期間の長い商品については、グループ②に所属する期間が長くなる傾向があります。
広告文の内容に、口コミ評価の高さや、利用者数といった定量的事実を入れ込むことでユーザーに視認されやすくなると考えられます。また、一度ランディングページに訪問したユーザーがいれば、リマーケティングとしてディスプレイ広告を配信することも効果的です。
グループ③
グループ③は、想起度はそこまで高くないが、購買意欲が高い顧客層です。パソコンを例にとれば、子供のために新規で購入する親や、買い替えの時期にある社会人が該当します。「パソコン おすすめ」「パソコン 安い」といった一般的なキーワードと特徴で検索する傾向があるでしょう。このような商品は特定できないが、何かしらのニーズが見受けられるキーワードのことを「ミドルキーワード」と呼びます。このミドルキーワードは、検索ボリュームが中規模のことが多いために命名されています。
このようなユーザーに対しては接触回数を増やすことで想起度をあげてもらう必要があります。商品名だけでなく、その商品の特徴や優位な点をアピールするような内容の広告文が考えられます。また、グループ③に含まれる顧客が訪問するサイトに、ディスプレイ広告を配信することも効果的です。また、一度お客様様のWebサイトに訪問したユーザーに対して、専用のディスプレイ広告(場合によってはリスティング広告)を配信する、リマーケティングも効果的です。
グループ④
グループ④は、想起度は高くなく、購買意欲は低い顧客層です。今すぐ手を打つ必要はありませんが、次なる需要を生み出す層となるため、購買意欲、想起度を高めるための投資として広告配信することになります。
グループ④に対しては、リスティング広告よりも幅広い層にリーチできるディスプレイ広告や、テレビ、ラジオ、新聞といったマス広告のほうが効果的であると考えられます。
グループ⑤・⑥
潜在層、すなわちグループ⑤・⑥については、パーソナライズを得意とするリスティング広告が対象とすることはあまりありません。マス広告や純広告、Yahoo!広告のディスプレイ広告(予約型)(旧ブランドパネル)によるマス配信が宣伝手段として挙げられます。
リスティング広告・ディスプレイ広告の関連図
デジマールの考えるリスティング広告の役割
デジマールは、リスティング広告の役割を「機会損失を防ぐ」「準顕在層を顕在層に育てる」の2点であると考えています。
「顕在層」向けにリスティング広告を配信する場合、「機会損失を防ぐ」すなわち、想起度も購買意欲も高い顧客が、広告配信されていないために商品購入に至らなかったり、競合を検討し始めたりすることを防ぐ役割があります。
一方、「準顕在層」向けの配信であれば、リスティング広告やディスプレイ広告により接触回数を増やすことで、購買意欲、想起度を共に高め、グループ①や②へと「育成」することを目的とします。「準顕在層」に至っていない「潜在層」については、無意識のうちに認知してもらえるような、ディスプレイ広告やマス広告を用いて宣伝し、想起度の高いグループ③や④へと「育成」します。この「育成」のことをマーケティングでは「ナーチャリング」と呼びます。
アトリビューション分析とナーチャリングの関係性
前述した「アトリビューション分析」と「ナーチャリング」は近い考え方といえます。「潜在層」への「ナーチャリング」では、購買意欲や想起度が低いため、ディスプレイ広告やマス広告を用いて接点を持つことにより、「準顕在層」へ育成します。その「準顕在層」が「顕在層」となり、リスティング広告経由でコンバージョンしたとき、このコンバージョンはリスティング広告のみの成果といえるでしょうか。
マス広告やディスプレイ広告そのものでコンバージョンが発生しないために広告費用を削減するという発想は早計です。それらの広告を運用したときに、リスティング広告の成果にどのような影響があったか、コンバージョン数に変化はなかったかを確認する必要があります。何かポジティブな変化があれば、ディスプレイ広告やマス広告も間接的にコンバージョンに寄与していると結論付けることができます。
「ナーチャリング」では、直接コンバージョンに結びつかない、認知のための施策を積極的に行うため、広告の間接的な効果も考慮に入れる「アトリビューション分析」と相性が良いことがおわかりいただけると思います。
「アトリビューション分析」と「ナーチャリング」の考えを取り入れることで、「準顕在層」「顕在層」に対してアプローチするリスティング広告と、「潜在層」に対してアプローチするディスプレイ広告やマス広告、それぞれの役割を明確にすることができます。
まとめ
ここまで、リスティング広告の一般的な知識と、デジマールの考えるリスティング広告の役割について見てきました。リスティング広告運用のノウハウがディスプレイ広告運用にも応用できることがわかりました。
デジマールでは、リスティング広告運用の無料相談を実施しております。
「リスティング広告を始めてみたい」
「リスティング広告を活用したマーケティング施策を提案してほしい」
といったリスティング広告のご相談については、「リスティング広告運用代行」をご覧ください。