Googleキーワードプランナーを用いてリスティング広告のシミュレーションを行う方法を解説します。
Googleキーワードプランナーからわかることを弊社のシミュレーションフォーマットに記入していきながら、目的の数値を推定します。
シミュレーションフォーマットは以下よりダウンロード可能です。ぜひ手を動かしながら記事を読み進めてください。
リスティング広告のご相談については、「リスティング広告運用代行」からお問い合わせください。
リスティング広告について、基礎を知りたい方は「リスティング広告とは?」の記事をご覧ください。
※本記事は、Googleパートナー・Yahoo!認定パートナーである、デジマール株式会社が執筆・監修しているものです。
リスティング広告のシミュレーションを作成する前に
リスティング広告のシミュレーションを作成する前におさえておきたいポイントが3つあります。それは
- シミュレーションを作成する目的は何か
- シミュレーション作成に必要な数値は何か
- 必要な数値をどのように推定するのか
です。
これらが明らかになれば、シミュレーションは半分完成です。
シミュレーションを作成する目的は何か
シミュレーションを作成する主な目的は、
「決められた予算の中でどれくらいのコンバージョン数が見込めるのか推定する」
「目標とするコンバージョン数を獲得するためにどれくらいの予算が必要なのか推定する」
の2つです。
本記事では、これら2つの目的別にシミュレーション作成の方法を解説します。まずはシミュレーション作成の目的を確認しましょう。
シミュレーション作成に必要な数値は何か
リスティング広告に関連する数値は様々ありますが、シミュレーション作成に必要な数値は上記の赤枠の数値でしょう。
- IMP(表示回数)
- CTs(クリック数)
- CTR(クリック率)
- CPC(クリック単価)
- COST(費用)
- CV(コンバージョン数)
- CVR(コンバージョン率)
- CPA(コンバージョン単価)
の8つです。
リスティング広告のシミュレーション作成を一言でまとめれば、「出稿しようとしているキーワードについて、特定の期間(例えば1ヶ月)でどれくらいの数値が見込めるのかを推定すること」です。
本記事では、「『リスティング広告運用代行』というキーワードで1ヶ月広告配信した際にどのような数値が見込めるのか」を具体例に、シミュレーションの作成方法を見ていきます。
必要な数値をどのように推定するのか
リスティング広告のシミュレーション作成に必要な数値がわかりました。では、これらの数値はそれぞれ、どのように推定すればよいでしょうか?
大きく3つに分類することができます。
①予算、コンバージョン数
シミュレーション作成の主な目的は、
「決められた予算の中でどれくらいのコンバージョン数が見込めるのか推定する」
「目標とするコンバージョン数を獲得するためにどれくらいの予算が必要なのか推定する」
でした。
前者の場合は予算額が、後者の場合はコンバージョン数の目標が事前に決まっているはずです。裏を返せば、予算額かコンバージョン数の目標のどちらかが決まっていないと、シミュレーションを作成することはできません。
②CTR、CPC、CVR
CTRはクリック率、CPCはクリック単価、CVRはコンバージョン率です。
シミュレーション作成の醍醐味は、これらの数値をどのように見積もるかであるといっても過言ではありません。
CTR、CPC、CVRは、キーワードプランナーの数値や過去の運用実績を加味して推定します。
※キーワードプランナーの数値は設定によって異なります。今回はデジマールのアカウントでの推定結果を利用します。
③IMP、CTs、CPA
IMPは表示回数、CTsはクリック数、CPAはコンバージョン単価です。
これらの数値は①、②が定まれば自然に算出されます。
キーワードプランナーでは、特定期間でのキーワードの表示回数や、クリック数の推定値を確認できます。シート上の推定結果がキーワードプランナーの推定結果と近似していれば安心です。
GoogleとYahoo!の違いについて
リスティング広告は、Google、Yahoo!に掲載することができます。これら2つの媒体では、CTR、CPC、CVRが異なります。
CTR、CVRが媒体間で大きく違うことはありません。CPCはYahoo!の方が低い傾向にあります。具体的には、Yahoo!のCPCは、GoogleのCPCの1/2~3/4程度であることが多いです。
Googleのシミュレーションを作成したうえで、そのCPCに1/2~3/4をかけた数値をYahoo!のCPCとします。そのCPCを使ってYahoo!のシミュレーションを作成するとよいでしょう。
また、GoogleとYahoo!では、Googleの方が検索回数の総数が多く、ゆえに広告の表示機会も多くなります。Yahoo!の表示回数の限界は多くてもGoogleの半分で見積もった方が安心です。
予算額が決まっている場合のシミュレーション作成方法
では、具体的なシミュレーション作成方法を見ていきます。前述したように本記事では、「『リスティング広告運用代行』というキーワードで1ヶ月広告配信した際にどのような数値が見込めるのか」を具体例に解説していきます。
以下のシートを一緒に埋めていけば、同じシミュレーションを作成することができます。(「予算が決まっている場合の配信シミュレーション」シートを利用します。)
①予算額をシートに記入する
月額予算を50万円のシミュレーションを作成してみましょう。
まずはGoogleで50万円利用する前提でシミュレーションを作成していきます。シートのCOST欄に50万円を記入します。
②CTR、CPC、CVRを調査する
次に出稿するキーワード「リスティング広告運用代行」のCTR、CPC、CVRを調査します。
CTR、CPC
CTR、CPCはGoogleのキーワードプランナーの数値を参考にします。他のアカウントの運用実績が参考になる場合はその数値を用いても構いません。
キーワードプランナーで確認する場合、[検索のボリュームと予測のデータを確認する]を選択し、調べたいキーワードを入力します。
確認するキーワードに「リスティング広告運用代行」を入力します。
キーワードプランの画面が表示されます。シミュレーションで使う数値は、画面左側の[予測]欄で確認します。
予測のページに遷移したら、1ヶ月の予算額と同じになるように1日の平均予算を設定します。今回は費用が50万円になるように、1日の平均予算を¥18,000に設定しています。
1日の予算を設定すると、クリック率と平均クリック単価が表示されます。この数値をシートに記入します。
これでCTRとCPCの調査は完了です。
CVR
CVRはキーワードプランナーではわかりません。コンバージョン地点がどこなのか、LPがどれだけ魅力的な内容なのかによってCVRが異なるためです。
運用実績があればそれを用いるのが一番です。もし仮で設定するのであれば、1%を基準とします。コンバージョンのハードルが低い場合、LPの内容に自信がある場合は1.5%~2.0%、その逆なら0.5%~0.1%で設定するとよいでしょう。
CVRは実際に広告出稿してみないと分からない部分であり、運用やLPの改善次第で伸びしろがある指標です。
今回はCVRを1%に設定します。
③IMP、CTs、CV、CPAを計算する
ここまでシートに埋めてきた、費用、CTR、CPC、CVRを埋めれば、IMP、CTs、CV、CPAは自動で求まります。
ダウンロード可能なシミュレーションファイルでは、事前に関数を入れているので、それぞれの計算結果が表示されているはずです。
これでGoogleのシミュレーションは完成です。予算50万円で9件のコンバージョンが獲得できるという結果でした。
④Yahoo!の予算額を決定する
Googleのシミュレーション結果が出たら、Yahoo!の検索広告に用いる予算額も決定しましょう。
CPC
前述したように、Yahoo!のCPCはGoogleの1/2~3/4程度です。今回はGoogleが560円なので、Yahoo!を420円で見積もります。
CTR、CVR
次にYahoo!のCTRとCVRを追記します。Googleと同じ数値を用いてもよいですし、運用実績をもとにYahoo!用にカスタマイズした数値を用いてもよいでしょう。今回はGoogleと同じ数値を採用します。
費用
最後に費用を記入します。仮に費用を50万円で設定してみましょう。
費用を50万円とすると、Yahoo!で表示回数42,517回、クリック数1,190回と算出されます。これは現実的なのでしょうか?
検証するために、もう一度Googleキーワードプランナーの[予測]の画面に戻ります。
Googleの表示回数には限界があります。その数は、キーワードプランナーの予測の曲線が水平になっている部分をクリックすると確認することができます。
今回は「4万回」と表示されています。
Yahoo!の表示回数はどんなに多くてもGoogleの半分程度なので、Yahoo!の表示回数の上限は2万回です。
この結果から、Yahoo!で予算50万円利用することは現実的ではないと分かります。
Yahoo!の予算を20万円に減額すると、表示回数は17,007回で、現実的な数字になりました。予算総額は50万円なので、Googleを30万円に設定します。これでシミュレーションは完成です。
コンバージョン数の目標が決まっている場合のシミュレーション作成方法
次にコンバージョン数の目標が決まっている場合のシミュレーションの作成方法です。(「CV目標が決まっている場合の配信シミュレーション」のシートを利用します。)
今回はCV数の目標が10件の場合に必要な予算額を推定します。
CTR、CPC、CVRの算出方法は、先に説明した方法と同じです。まずはそれらを追記します。
ダウンロード可能なシートの「CV目標が決まっている場合の配信シミュレーション」のシートにCV数を記入すれば、自動で予算額が算出されます。
先ほどの推定方法と同様、Google、Yahoo!の表示回数が限界を超えた数値になっていないか注意が必要です。その範囲でコンバージョン数を記入し、CPAが最も低い組み合わせを見つけます。
コンバージョンの総数が同じでも、GoogleとYahoo!のコンバージョン数が異なると、全体のCPAが変動します。
GoogleのCV数を6、Yahoo!のCV数を4とした場合
GoogleのCV数を5、Yahoo!のCV数を5とした場合
Yahoo!のCVを5個に設定した場合に最もCPAが低くなります。今回のシミュレーションでは、Yahoo!の表示回数の上限が2万回のため、6以上のCV数を目標にすることはできません。
これでコンバージョン数の目標が決まっている場合のシミュレーションは完成です。
まとめ
Googleキーワードプランナーを利用してリスティング広告のシミュレーションを作成する方法を見てきました。
以下のダウンロード資料でシミュレーションを簡単に作成することができます。ぜひ利用ください。
リスティング広告のシミュレーションで最も大事なことは、CTR、CPC、CVRをより正確に見積もることです。これはキーワードプランナーである程度確認できますが、実際の運用結果に勝るものはありません。
そして、シミュレーションで出た数値に対して実際の運用結果と乖離があった場合、具体的にどの数値が良かった/悪かったのか確認することで軌道修正のきっかけをつかむことができます。作りっぱなしではなく、マイルストーンの一つとしてシミュレーションを活用していきましょう。
リスティング広告のご相談については、「リスティング広告運用代行」からお問い合わせください。