今回は、数値をベースとした進捗管理レポートの作成方法を見ていきます。
リスティング広告について、基礎を知りたい方は「リスティング広告とは?」の記事をご覧ください。
進捗管理レポートの意義
リスティング広告のレポートの形式は代理店や担当者によって様々でしょう。一方で必ず押さえるべき数値もあります。以下の表はデジマールが実際に利用している進捗管理レポートの見本です。
広告代理店が、このようなリスティング広告の進捗管理レポートを作成する意義は、お客様向け、社内向けどちらも考えられます。
お客様向け
進捗管理レポートをご覧いただくことで、広告代理店を利用するお客様は以下の点を確認することができます。
- 獲得単価は目標以下か
- 代理店がどのような施策を打ったのか
- 前年や前月と比べて成果は上がっているか下がっているか
お客様が代理店に広告運用を外注する上で最も気を揉む部分は費用対効果かと思います。クリック単価(CPC)や獲得単価(CPA)がお客様や代理店が想定しているよりも高いのか、低いのか、また獲得目標を達成できているのかで、代理店のサービスの質が決まるともいえるでしょう。
また、目標の達成あるいは未達の理由は、外部環境にあるのか、代理店の運用にあるのかを判断する上でも、代理店の成果と施策を把握することは重要です。成果と施策の因果関係を正しく把握することは難しいですが、前年同月比、あるいは前月比で成果に違いがある場合には、その原因分析をお客様と代理店が一丸となって進めていかなければなりません。
社内向け
社内向けにも進捗管理レポートを作成する意義があります。
- 施策の蓄積
- データの蓄積
一つは施策の蓄積です。幅広いクライアントと相対しているからこそ、様々な施策を、様々な顧客層に対して試し、その結果を代理店全体で蓄積することができます。
また、様々な業界の獲得に関するデータ、例えばCPCやCPAといった数字を把握していれば、同業他社のクライアントや、同じ業態のクライアントの対応をする際に獲得見込みが立てやすくなります。
進捗報告レポート例
広告の成果は、もちろん管理画面上で数値を確認することもできます。しかし、キャンペーンの数が多かったり、日別や週別の成果を確認しようと思うと、途端に不便が発生します。そこでスプレッドシートやExcelなどの表計算ソフト、TableauなどのBIツールで見たいデータを見やすい形に整えることが求められます。
数字や文字の羅列であるデータを、グラフやデザインの力を使って見やすく、かつ意思決定に役立つ形で表現することを、「データビジュアライゼーション」と呼び、ビッグデータ時代の到来に合わせて、注目されています。
データを分かりやすく伝えるという点においても、図表やがいねん進捗管理レポートを作成する意義があるといえるでしょう。
進捗管理レポートの形態は、ローデータ(広告媒体でダウンロードしたデータ)、表計算ソフトで成型したデータ、表計算ソフトやBIツールでデータビジュアライゼーションを施したデータの3段階に分かれます。
ローデータをダウンロードする
ローデータの「ロー」は、rawという英単語のカタカナ表記であり、「生の」という意味があります。ローデータは、何も加工が施されていない、生のデータという意味です。
画像はGoogle広告のレポート作成画面です。必要なフィールドを選択して、データ表をカスタマイズすることができます。ここでもデータビジュアライゼーションは可能ですが、処理速度や見やすさ、および共有のしやすさを考慮して、データをダウンロードし、表計算ソフトで形を整えます。
表計算ソフトでデータを整える
画像はGoogleスプレッドシートで作成したデータ表です。日ごとの成果が確認しやすいように、列に日付、行に各要素を配置しています。さらに、その日に行った施策についてもメモをしており、成果変動の原因を後で把握しやすいように工夫をしています。合計の消費金額やコンバージョン数は、関数を組むことで自動計算できるようになっています。
このシートをキャンペーンや広告、キーワードごとに作成すれば、管理画面を眺めているだけでは気づかない課題や、相対的な費用対効果の判断をすることが可能です。
また、簡単なグラフも作成可能です。
表と併せてグラフも作成すれば、全体の動きを把握しやすくなります。
BIツールでのデータビジュアライゼーション
表計算ソフトで行った、数値をローデータよりも分かりやすく整理する作業、そのデータを用いてグラフや図表を作成する作業を、より簡単に、かつ高度なレベルで実行可能です。Google広告とYahoo!広告、さらにはSNS広告のデータを見比べて、媒体間で費用対効果を比較する、この先の成果を予測するなど、表計算ソフトではできそうでできない高度な処理を高速で実現してくれます。
画像はTableauを用いたデータビジュアライゼーションの簡単な例です。
このグラフは日別の広告表示回数とクリック数を棒グラフで示したものです。日々更新することで、表示回数の変動や、CTRの変動を視覚的に把握することが可能です。
これは、キャンペーンごとのコンバージョン数の割合を円グラフで示したものです。施策の優先順位をつける際に、コンバージョン数へのインパクトが大きいキャンペーンはどこなのか把握しておく必要があります。日々の運用でどの施策をするべきか困ったら、このようなキャンペーンを超えた成果の比較をしてみると、今着手すべき施策が整理できるかもしれません。
これは、コンバージョン数とコンバージョン単価の関係性をキャンペーンごとに、散布図で示したものです。この図でいえば、右上に行くほどコンバージョン数が多くコンバージョン単価の低いキャンペーン、すなわち成果の高いキャンペーンを示します。散布図にするだけで、キャンペーン間の関係性を視覚的にとらえることができます。
これらの図表の作成は絶対に必要というわけではありません。一方で、データ表の数字を眺めているだけではなかなか見えてこない、複数の要素の関係性を把握することが可能です。リスティング広告の進捗をお客様や社内のメンバーと共有する際には、数字を見て考える手間を省くためにも、図表で表現する工夫があるとより丁寧でしょう。
まとめ
ここまで、リスティング広告の進捗管理レポートを見てきました。レポートは作成すること自体に意味はなく、あくまで現状を把握した上で、次なる施策を考える材料とできるところに価値があります。スプレッドシートを用いたデータ表の作成はもちろん、BIツールでデータを視覚的に把握できる状態を作ることで、データに基づいた意思決定をスムーズに行うことができます。
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