リスティング広告とSEOの違いについて、それぞれのメリットやデメリットを踏まえながら解説していきます。
リスティング広告、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)はどちらも検索エンジンのユーザーに対するマーケティング手段の一つです。
どちらも検索エンジン上で観察する文にはそこまで大きな違いはありませんが、広告主側、ウェブサイト管理者側の視点に立つと、両者には大きな違いがあります。それぞれの特徴を観点を抑えながら確認していきましょう。
リスティング広告の概要から押さえたい方は以下の記事をご覧ください。
※本記事は、Googleパートナー・Yahoo!認定パートナーである、デジマール株式会社が執筆・監修しているものです。
リスティング広告とSEOの基本的な知識
リスティング広告とSEOの違いを解説していく前に、それぞれの基本情報を確認しましょう。
リスティング広告
リスティング広告は、検索結果のうち、左上に「広告」というラベルの付いたものです。検索結果の上部や、下部に表示されます。クリック課金制(CPC課金制)で、広告がクリックされるごとに料金が発生します。
キーワード単位で入札を行うため、このような語句で検索を行ったユーザーに対して広告配信を行いたいという配信設定を簡単に行うことができます。
検索したユーザーの属性や、興味関心、自社サイトへの訪問状況をもとに広告配信の有無や掲載内容を変えることもできるため、想定するユーザーに応じた最適化を行うことができます。
SEO
SEOは、Search Engine Optimizationの略で、直訳すれば「検索エンジン最適化」です。検索エンジンに関して何を最適化するのかという問いには様々な答えがあるかと思いましが、SEOは広く「自然検索(オーガニック検索)順位の向上」という意味合いで使われることが多いでしょう。
前述したリスティング広告の下、画像の赤枠で囲まれているのが、自然検索(オーガニック検索)です。SEOはこの範囲での掲載順位を高める施策全般を指します。
自然検索はクリックしても料金が発生しません。検索順位決定のアルゴリズムに変更が起こらない限り、順位変動が乱高下することは少ないため、料金をかけずに集客をする手段として有効です。
リスティング広告とSEOの違いとは?
リスティング広告とSEOの違いを、いくつかの観点から見ていきます。今回は、
- 費用
- 即効性
- 管理性
- 掲載内容
- 掲載対象
の5つの観点を掘り下げます。結論を簡単にまとめると以下のようになります。
リスティング広告 | 自然検索結果 | |
費用 | クリック課金 | コンテンツ制作費 |
即効性 | 当日配信可能 | サイト構築・記事作成必須 |
管理性 | 変更後すぐに反映 | 更新まで数日 |
掲載内容 | 固定可能 | 検索エンジンが変更の可能性あり |
掲載対象 | キーワード、配信対象で設定可能 | 指定不可能 |
リスティング広告とSEOの「費用」
リスティング広告とSEOの違いを一つ挙げよといわれたら、「費用」と答える人も多いでしょう。
リスティング広告も、SEOもWeb上の施策である以上、サーバーの管理費や、サイト制作にかかわる費用が共通でかかります。
リスティング広告は、それらの費用に加えてクリック時の料金がかかります。広告がクリックされれば必ず費用が発生するということです。
SEOではどうでしょうか。自然検索結果は何回クリックされても料金がかかりません。この観点でいえば、SEOは「無料の」施策と言えるかもしれません。
しかし、SEOは自社サイトのコンテンツなくして成功はありません。SEOが成功するような質の高いコンテンツの作成には時間も労力もかかります。記事の作成をアウトソーシングするならば、外注費としてコンテンツ制作費用がかかるでしょうし、自社でコンテンツ制作する場合には、人件費がかかります。
SEOは表面上無料の施策ですが、それを成功させるには大きな投資が必要です。
リスティング広告の「費用」 | SEOの「費用」 |
クリック課金 | コンテンツ制作費(外注費用・人件費) |
リスティング広告とSEOの「即効性」
前述の費用と被る部分でもありますが、リスティング広告とSEOは、時間という費用の観点においても違いがあります。
リスティング広告をゼロから始める場合、必要なのはランディングページと広告アカウントの作成、そしてキーワードや配信対象、広告文などの設定にかかる時間です。すでにランディングページを持っているならば、広告掲載の準備と広告の審査時間を考慮しても、1週間と見積もることができるでしょう。
一方で、SEOの場合、コンテンツ全体の構成設計や、コンテンツ作成の時間が必要です。コンテンツが出来上がっているとしても、検索エンジンがページの存在を認識して検索結果に表示されるようになる(いわゆるクローリング、インデックスがなされる)まで、数日かかることもあります。
リスティング広告は最短1週間でコンバージョンを発生させるチャネルへと成長させることができますが、SEOはコンテンツ作成から、コンバージョン発生まで数か月、1年かかると考えた方がよいでしょう。何よりも、クローリングされたからと言って高い順位で掲載されるとは限らないので、成果に対する即効性という観点では、リスティング広告に軍配が上がります。
リスティング広告の「即効性」 | SEOの「即効性」 |
あり (ランディングページがあれば、広告の審査が通り次第開始可能) |
なし (コンテンツ制作の時間、クローリングの時間、高順位獲得までの時間) |
リスティング広告とSEOの「管理性」
リスティング広告とSEOは、運用を始めてからも様々な違いがあります。両者の管理性の違いは特に重要です。
リスティング広告は、ランディングページの内容を変更した場合、広告掲載するキーワードを変更した場合、即設定が反映されます。広告の内容を変更した場合でも、審査に通れば即反映されます。もし広告の掲載内容に誤りがあった、ランディングページの掲載内容に誤りがあったという場合でも、広告配信を一時停止し、設定を変更するだけで問題ありません。
一方でSEOの場合、コンテンツに誤りがありそれを編集したとしてもすぐに内容が反映されるわけではありません。クローリングがされて初めて検索結果に表示される内容が変更となります。それまでに空白の時間が生まれてしまうことがSEOの欠点と言えます。
リスティング広告の「管理性」 | SEOの「管理性」 |
あり (設定を変更すれば、即適応される) |
なし (クローリングまで時間がかかる) |
リスティング広告とSEOの「掲載内容」
リスティング広告は、表示内容を完全に操作することができます。半角30字のタイトル、半角90字の説明文に設定した内容が必ず表示されます。広告の評価によっては、広告表示オプションが表示されることもあります。広告表示オプションが表示されるかまでは操作できませんが、広告表示オプションの内容は設定したとおりに表示されます。
一方で自然検索の場合、タイトルのみ指定することができます。ディスクリプションの部分はサイト管理者が設定することが可能ですが、検索エンジンが任意の文章に変更してしまう可能性も高いため、確実ではありません。
リスティング広告の場合、広告文はクリック率に大きな影響を与えるので、SEOではディスクリプションが設定できない分、タイトルでクリックを高める工夫が必要です。
リスティング広告の「掲載内容」 | SEOの「掲載内容」 |
事前に設定が可能 | タイトルのみ設定可能 |
リスティング広告とSEOの「掲載対象」
リスティング広告の魅力の一つは、掲載対象を細かく設定することができるため、費用対効果の高いセグメントにのみ広告掲載できる点です。具体的には、検索に用いた語句、性別、年齢、地域、曜日・時間、興味関心、自社サイトへの訪問状況などを用いて広告の掲載対象を細かく設定できます。
一方で自然検索の場合、どのような語句を検索した人に、どのページを表示するか設定することはできず、掲載結果はすべて検索エンジンのアルゴリズムにゆだねられています。もちろん検索した時間や検索ユーザーの性別といったリスティング広告で設定できるターゲティング設定もできないため、あらゆる地域や時間帯で検索した人に見られても問題ない内容にする必要があります。
リスティング広告の「掲載対象」 | SEOの「掲載対象」 |
詳細に設定可能 | 設定できない |
リスティング広告とSEOはどちらも力を入れるべき?
リスティング広告とSEOのどちらにも注力することが理想でしょう。
検索結果にリスティング広告面と、自然検索結果の2つが表示されるため、視認性が高まります。何かしらの理由でリスティング広告が掲載できない場合、SEOがなされていればその分を補完することができます。逆にアルゴリズムの変更などでSEOに影響があった場合、リスティング広告で上位表示できていることは強みになります。
もしリスティング広告とSEOのどちらか選ぶとなった場合、自社の商品やサービスの取り扱い状況に応じて優先順位を付けましょう。
リスティング広告とSEOの使い分けの例
リスティング広告、SEOのどちらに注力するかは、扱う商品によって変わります。場合分けをして例を見てみましょう。
複数商品×検討期間(長)の場合
複数の検討期間が長い商品を取り扱う例としては、FA(ファクトリーオートメーション)の機材や、マンション、長期旅行などが挙げられるでしょう。
複数商品を展開しており、検討期間が長い場合、リスティング広告とSEOの両方に力を入れた方がよいでしょう。SEOを行うことで、商品を検討する中で自社メディアが発信するコンテンツと出会い、自社について認知してもうことができます。より購買に近いコンテンツへと流入してもらうことができれば、選択肢の一つとして考えてもらうことができるでしょう。
また、取り扱う商品に関連する語句でリスティング広告掲載を行えば、いよいよ商品の購入に至るというタイミングで、広告経由のコンバージョンが見込めます。これは広告だけの力ではなく、SEOでの認知あってこその成果と言えるでしょう。
単一商品×検討期間(長)の場合
単一で検討期間が長い商品を扱う例としては、結婚式場、美容サロン、専業メーカーなどが挙げられます。
単一商品の場合、リスティング広告は有効な施策となります。膨大な量のキーワードを扱う必要がないため管理性が高いことはもちろん、特定のニーズを持った人に対して刺さる訴求ができるためです。
一方で、単一商品の場合、SEOで用いるコンテンツ構成が複数商品の時に比べて難しくなります。商品に関連する話題が限られるためです。
購買を後押しするような「商品、サービスの選び方」の記事、商品やサービスを買った後のサポートがわかるような「お客様の声」「ナレッジベース、説明書」コンテンツを作成することで、SEOだけでなく、見込み顧客のコンバージョンを後押しすることもできます。
まずはリスティング広告にチャレンジし、リスティング広告ではアプローチできない検索ユーザーに対してSEOでアプローチを行うとよいでしょう。
複数商品×検討期間(短)の場合
複数の検討期間が短い商品を取り扱う例としては、ECサイトが挙げられます。
ECサイトにはすでに購買意欲の高い人が訪問するため、ほしいものがはっきりしている検索ユーザーへのリスティング広告掲載は非常に相性が良いといえます。もちろん取り扱うキーワードの数は膨大になります。
また、リスティング広告だけでなく、ショッピング広告を取り入れることも複数商品を取り扱うECサイトでは重要でしょう。
ECサイトのSEOについては、ECサイトページがどれだけ上位表示されるかが重要です。例えば「コーヒーメーカー」と検索されたときに、どれだけ上位にコーヒーメーカーのページを表示できるかが重要ということです。
上記の画像の場合、ショッピング広告が最上部に掲載されており、次にリスティング広告が、最後に自然検索結果が表示されています。これを見るとどの施策も重要であると分かるでしょう。
ショッピング広告やリスティング広告で成果が出ないようであれば、料金設計や詳細ページの内容の変更も必要です。
SEOに関しては、コンテンツを作成してSEOの対策を行うというよりも、商品の詳細ページのSEO対策を行う必要があります。
単一商品×検討期間(短)の場合
そもそもこのような業態はオンラインでは少ないですが、強いてあげるとすれば、ジュースやパン、お弁当などの飲食店でしょうか。オンラインで販売する場合にはフードデリバリーサービスが主戦場となるため、リスティング広告やSEOとは相性があまりよくありません。
購買につながる施策として考えられるのは、Google Map等マップアプリ上で最適な表示を目指す、MEO(Map Engine Optimization)が考えられます。
まとめ
リスティング広告とSEOは、
- 費用
- 即効性
- 管理性
- 掲載内容
- 掲載対象
の観点で、違いがあります。
リスティング広告とSEOの特徴を理解し、自社の商品、サービスのラインナップならどちらに注力すべきかを見極めていきましょう。
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