Instagramは、世界での月間アクティブアカウント数が20億以上(2022年10月時点)と推定される世界最大級のSNSの一つです。
その人気と影響力から、多くの企業やブランドがInstagramを広告プラットフォームとして活用しています。
Instagram広告は、ターゲットユーザーに対して効果的にメッセージを伝えるための貴重なツールとなっており、今日ではデジタルマーケティング戦略の重要な一部となっています。
この記事では、Instagram広告の特徴や利点、効果的な活用方法について紹介します。
参考:Meta|META Q3 2022 Earnings Call Transcript
Instagramの特徴
Instagramは、写真や動画を共有するSNSアプリになります。日本では月間約3,300万人のアクティブユーザーがおり、特に若年層に人気があります。
フォローしている人の投稿がタイムラインに表示され、ハッシュタグを使って興味のあるトピックを検索することもできます。
TwitterやFacebookなどのSNSと大きく異なる点は、テキストベースではなく画像や動画でのコミュニケーションを中心としているところです。
そのため視覚的な要素が非常に重要であり、ユーザーは単純なコミュニケーション以外にも、オシャレな画像や独特な世界観を共有することに重きを置いています。
写真や動画を共有する際に、それらにフィルターをかけたり、スタンプやテキストを追加したりできます。また、写真や動画を撮影した場所や写っている人のInstagramのアカウントも表示可能です。
参考:Meta|Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破
Instagram広告のフォーマット
今回はInstagram広告で配信可能な4つ広告フォーマットとその入稿規定をご紹介します。
Instagram広告には異なる広告フォーマットがあり、ビジネスの目的に合わせて使い分けることが大切です。
それぞれのフォーマットでは入稿規定が異なるため、各フォーマットの規定を理解したうえで広告作成を進めましょう。
Instagram広告で必要な画像、動画のサイズは以下の記事で詳しく紹介しています。
Meta広告(Facebook広告とInstagram広告)で利用できるバナーサイズ・テキストの要件をご紹介していきます。
画像広告
1つの静止画像を使用して構成される最も基本的な広告フォーマットになります。広告下部にCTA(Call To Action)の設置が可能なため、ユーザーへ製品の購入や申し込みを効果的に促すことができます。
動画広告
その名のとおり、動画を使った広告になります。画像広告よりも多くの情報やインパクトを与えられるため、エンゲージメントの向上に最適です。
最大で60分(リールは60秒)までの動画広告を出稿できますが、ユーザーがスクロールを止めてしっかり広告を見てもらうためには、最初の5秒にインパクトを与えることが推奨されています。
ユーザーは、最初の数秒で動画内容が面白そうか否かを判断するため、訴求ポイントを最初に伝えることが重要です。
カルーセル広告
2~10点の静止画や動画を合わせて配信できるフォーマットになります。
ユーザーは複数の静止画や動画が含まれたカルーセル広告を横にスワイプすることで、すべてのコンテンツを閲覧できます。
複数の商品やサービスを紹介したり、ストーリーを展開するような形で広告コンテンツを表示させたりできるのがカルーセル広告の特徴です。
コレクション広告
コレクション広告は製品カタログに基づいて自動生成され、複数の商品を1つの広告で宣伝できる仕様になっています。
カバー画像または動画があり、その下に3点の商品が表示されます。
ユーザーが広告をタップするとその他の商品もフルスクリーンで表示される仕様で、商品ごとに個別のリンクを設定できます。
広告からすぐにユーザーを商品の詳細ページに遷移させられるので、効果的に購買行動を促すことができます。
画像の規定
入稿する画像は以下の要件を満たす必要があります。
項目 | 規定 |
画像ファイルタイプ | JPGまたはPNG |
最大ファイルサイズ | 30MB |
動画の規定
入稿する動画は以下の要件を満たす必要があります。
項目 | 規定 |
動画ファイルタイプ | MP4、MOVまたはGIF |
最大ファイルサイズ | 4GB |
動画の長さ | 1秒~241分 |
動画設定 |
H.264圧縮方式 正方画素 固定フレームレート プログレッシブスキャン、および128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 |
Instagram広告が掲載される場所
Instagram広告が掲載される場所は以下の6ヶ所です。
- Instagramフィード
- Instagram発見
- Instagram発見ホーム
- Instagramプロフィールフィード
- Instagramストーリーズ
- Instagramリール
Instagram フィード
Instagramのフィードは、フォローしているアカウントの投稿が表示される場所です。Instagramを立ち上げると一番最初に表示されます。
Instagramフィードは、Instagramアプリを開いたときに表示される写真や動画のリストのことで、内容は常に更新されます。Instagramフィードには、フォローしているアカウントまたは広告の写真や動画が表示されます。
画像広告 | 動画広告 | カルーセル広告 | コレクション広告 | |
推奨サイズ | 1080×1080 | 1080×1350 | 1080×1080 | 1080×1080 |
Instagram 発見
Instagram 発見では、発見から投稿を閲覧しているときに、通常の投稿の間に広告が表示されます。
Instagram発見タブでは、利用者の興味・関心に基づいてプラットフォーム全体から厳選されたInstagramのコンテンツを発見できます。
発見タブは検索と同じページにあり、まだフォローしていないアカウントの投稿がここに表示されます。Instagram発見タブの広告はオーガニックコンテンツの間に表示されます。
画像広告 | 動画広告 | カルーセル広告 | コレクション広告 | |
推奨サイズ | 1080×1080 | 1080×1350 | 1080×1080 | – |
Instagram 発見ホーム
Instagramの[発見]タブのホームにも広告が表示されます。
Instagram発見タブは、利用者が関心のある商品やトピックを発見し、詳しい情報を得るためのスペースです。
Instagram発見ホームでシングル画像フォーマットを使用して、製品やサービス、ブランドを紹介できます。魅力的な商品画像を掲載して、人々が商品についてもっと知りたくなるようにしましょう。目を引く写真を使用して、ブランドの個性を表現することもできます。
画像広告 | 動画広告 | カルーセル広告 | コレクション広告 | |
推奨サイズ | 1080×1080 | – | – | – |
Instagram プロフィールフィード
特定のユーザーの投稿一覧を閲覧している際に、そのユーザーの投稿の間に広告が表示されます。
Instagramプロフィールフィード広告は、18歳以上のInstagram公開プロフィールのフィードビューに掲載されます。Instagramの利用者がプロフィールフィードにアクセスしてスクロールすると、コンテンツの間に広告が表示されます。
広告主は、Instagramプロフィールフィード配置を使うことで、既存のフィードアセットを利用しつつリーチを簡単に拡大できます。
画像広告 | 動画広告 | カルーセル広告 | コレクション広告 | |
推奨サイズ | 1080×1080 | 1080×1350 | 1080×1080 | – |
Instagram ストーリーズ
Instagramのストーリーズは、縦長の画像や動画を投稿するプラットフォームです。フィードから投稿を閲覧することができます。
Instagramストーリーズは、没入感のあるフォーマットでビジネスをリアルに伝えます。スタンプや絵文字などのクリエイティブ要素を追加することもできます。Instagramストーリーズの広告は縦型のフルスクリーン広告で、オーガニックストーリーズの間に閲覧者に表示されます。
画像広告 | 動画広告 | カルーセル広告 | コレクション広告 | |
推奨サイズ | 1080×1920 | 1080×1920 | 1080×1920 | – |
Instagram リール
Instagramリールは、ショート動画を投稿するプラットフォームです。[リール]タブから投稿を閲覧することができます。
Instagramストーリーズは、没入感のあるフォーマットでビジネスをリアルに伝えます。スタンプや絵文字などのクリエイティブ要素を追加することもできます。Instagramストーリーズの広告は縦型のフルスクリーン広告で、オーガニックストーリーズの間に閲覧者に表示されます。
画像広告 | 動画広告 | カルーセル広告 | コレクション広告 | |
推奨サイズ | 1080×1920 | 1080×1920 | 1080×1920 | – |
Instagram広告で利用できるターゲティング
Instagram広告のターゲティングの特徴として、他のSNS広告よりも細かなターゲティング設定ができることが挙げられます。
Instagram広告はFacebookと連携しているため、ユーザーの性別や生年月日などさまざまな情報を活用したターゲティングが可能です。この特徴を上手く活かすことで、ビジネスの目的に合った広告配信を行うことができます。
Instagram広告では大きく分けて以下の3つのターゲティング設定があります。
- ユーザー属性
- カスタムオーディエンス
- 類似オーディエンス
ここからは、3つのターゲティングのより詳細な項目を紹介します。
ユーザー属性
インスタグラムユーザー情報を基に、事前に定義されたターゲットオーディエンスのことを指します。ターゲティングに設定できるユーザー情報は以下になります。
年齢
広告を表示するユーザーの年齢範囲を選択することができます。たとえば、18歳から24歳までの若者向けの商品やサービスを販売するビジネスは、その年齢層に広告を配信することができます。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|年齢と性別
性別
すべて、男性、女性から配信したい性別を選ぶことができます。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|年齢と性別
地域
地域設定では、国や都市などの地域を選択することができます。広告主は、自分のビジネスに最も関連のある地域を選択することができます。例えば、ある都市に展開しているローカルビジネスは、その都市周辺のユーザーに広告を配信することができます。また広告配信をしたくない地域の除外設定や半径距離での設定も可能です。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|ターゲット地域について
興味関心
ユーザーの興味関心に基づいて広告を表示することができます。たとえば、スポーツに興味を持つユーザーに対して、スポーツ用品の広告を表示することができます。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|詳細ターゲット設定を使用する
行動
旅行や海外駐在、記念日などユーザーの行動に合わせてターゲティングが可能です。
これらターゲティングを組み合わせて配信することも可能です。広告主は自分のビジネスに関連する属性に基づいて広告を表示することで、ターゲットとなるオーディエンスに対してより効果的な訴求ができます。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|詳細ターゲット設定を使用する
カスタムオーディエンス
カスタムオーディエンスは、Metaテクノロジーの利用者の中から既存のオーディエンスを抽出する機能です。
カスタムオーディエンスでは、既に広告主のビジネスを知っている利用者へのターゲティングが可能になります。カスタマーリスト、ウェブサイトやアプリのトラフィック、Metaテクノロジーでのエンゲージメントなどのソースを利用します。
以下が、作成できるカスタムオーディエンスのタイプになります。
ウェブサイトカスタムオーディエンス
広告主のビジネスのウェブサイトを訪問したユーザーを見つけ、配信を行います。既にビジネスを知っていてるが前回の訪問ではコンバージョンに至らなかったユーザーにリマーケティングできます。
アプリアクティビティカスタムオーディエンス
アプリアクティビティカスタムオーディエンスでは、特定の行動をアプリで実行する可能性が高いユーザーに配信できます。
顧客リストのカスタムオーディエンス
広告主のビジネスの既存顧客で構成されるカスタムオーディエンスです。
ビジネスの既存顧客データをアップロードすることで、その顧客の属性に似たユーザーにターゲティング配信し、新規顧客になる可能性の高いユーザーへの認知拡大が可能です。
エンゲージメントカスタムオーディエンス
Metaのテクノロジーやサービスで広告主のコンテンツに特定の行動をしたユーザーで構成されるカスタムオーディエンスになります。特定の行動とは、動画再生やフォローなどが挙げられます。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|カスタムオーディエンスについて
類似オーディエンス
広告主が所有するカスタムオーディエンスを基に、似た属性、興味、行動、デモグラフィックなどを持つ新しいターゲットオーディエンスを作成し配信することができます。
既存の顧客層と似た特徴を持つユーザーに広告を表示できるため、広告を見たユーザーが興味を持ちやすく広告のターゲティング精度が高くなります。そのため、広告費を無駄に使わず、より効率的に広告を配信することができます。
類似オーディエンスの作成には、カスタムオーディエンスなどの元となるオーディエンスを作成し、そのオーディエンスとの類似度を設定します。類似度の数値が低いほど元のオーディエンスと類似したユーザーに配信される仕組みになります。
また、質の高い類似オーディエンスの作成のために、元のオーディエンスのサイズは1000人~5000人で優良顧客で構成されるオーディエンスの使用が理想です。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|類似オーディエンスについて
Instagram広告のアカウント構成
インスタグラム広告のアカウントの構成は、以下の3つの要素で構成されています。
アカウント
インスタグラム広告を利用するには、まず広告アカウントを作成する必要があります。アカウントは、広告を作成し管理するためのものであり、Facebook広告マネージャーと連携しています。
また、1つの広告アカウントに複数の広告キャンペーンや広告セットを作成することができます。一般的には1つのビジネスにつき1つのアカウントで問題ありません。
キャンペーン
アカウントの配下にあるのがキャンペーンになります。ここでは、広告目的や予算、配信地域などの設定を行います。
また、広告配信の最適化設定などもキャンペーン単位で行います。
広告セット
キャンペーンの配下にあるのが広告セットになります。
ここでは、広告を配信するための具体的な設定を行います。例えば、広告のターゲット設定、広告の出稿期間、広告予算などの設定です。
また、1つのキャンペーンに複数の広告セットを作成可能です。そのため、同じ広告配信の目的でも配信したい商品が複数ある場合は、同じキャンペーン配下に広告セットを分けて配信すると良いでしょう。
広告セットの配下は広告になっており、こちらも1つの広告セットに複数の広告を含めることができます。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|Meta広告マネージャで作成した広告の構造について
Instagram広告のオークションの仕組み
広告運用は広告をどれだけ最適なユーザーに配信できるかが重要になってきます。広告を出稿しても、競合も広告を出稿しているため表示機会がある全てで自分の広告が配信されるわけではありません。
そこで、どの広告をユーザーに表示させるかを決定するためにオークション形式で競います。オークションで広告の良し悪しを決めるために使用されている評価は以下になります。
- 入札価格
- 品質
広告主が入札した金額が高ければ高いほど、広告の表示回数やクリック数が上がる可能性があります。
しかし、単に入札価格を上げれば確実に広告が表示されるというわけではありません。ここに、広告の「品質」が関わってきます。
広告の品質は、クリック率やコンバージョン率などを基準にして評価されます。
また、広告の視認性や表現方法、ランディングページの品質なども評価の対象になってきます。広告の品質が高い場合、より低い入札額で広告が表示される可能性があるため、広告の質を上げることで広告費削減につながります。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|入札価格上限のベストプラクティス
Instagram広告の課金方式
課金方法は3つあります。
- CPM課金
- CPC課金
- ThruPlay
CPM課金
CPM課金はCost per Milleの略で、広告が1000回表示されるごとに広告主が支払う課金方式です。
ビジネスの認知度を上げたい場合などに最適です。
CPC課金
CPC課金はCost per Clickの略で、広告がクリックされた回数に応じて広告主が支払う課金方式です。
広告がクリックされた数に応じて広告費が発生するため、クリックされなければ広告費は発生しません。
潜在層にアプローチしてビジネスに興味を持ってもらう、または商品購入などをしてもらいたい場合に効果的です。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|Meta広告料金はインプレッションやリンククリックを獲得しなかった場合でも請求されますか。
・ThruPlay
ThruPlayはユーザーが動画広告を15秒以上視聴した場合に料金が発生する仕組みです。動画が15秒未満の場合は最後まで視聴された場合に料金が発生します。
動画再生回数を増やしてユーザーの認知を獲得していきたい場合におすすめです。
参考:Metaビジネスヘルプセンター|ThruPlayについて
Instagram広告と相性が良い商品・サービス
今では様々な広告媒体が存在していますが、各媒体の特徴を活かすことで効果的な広告配信につながります。どのような商品やサービスだとInstagram広告の特徴を上手く活かせるのか、実際にInstagram広告との相性が良いビジネスを見ていきましょう。
2022年の総務省の統計によると、Instagramの国内ユーザーは女性が57%、男性が43%で、年齢別では約67%を18~29歳が占めています。そのため若年女性の興味関心が高い、美容やコスメ、アパレル関連等の商品を広告配信していきたいビジネスに向いています。
近年ではInstagramのショッピング機能でECサイトと同様に商品を売るユーザーも増えているため、ECサイトを開設をしたい広告主には効果的だと考えられます。
また、Instagram広告では写真や動画をメインで配信するため、視覚情報を最大限に活かしてユーザーにアピールできます。企業ブランディングとしてユーザーに覚えてもらえるような広告を配信することで認知拡大を行う場合も有効です。
上記で説明した相性が良い商品やサービスに当てはまらない場合でも、Instagram広告を利用するメリットは大きいと言えます。
たとえば、Instagram広告の長所であるビジネスのペルソナに合ったターゲティングを細かく設定できる点を活かしたり、広告をPDCAで繰り返し精査したりすることでビジネスの認知拡大や売り上げ増加につなげることが可能です。
参考:令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省
まとめ
ここまで、Instagramの媒体としての特徴から広告の仕様や機能、相性の良いビジネスなどを紹介しました。
以下は本稿の要点をまとめたものになります。
- Instagramは日本で月間約3,300万人のアクティブユーザーがおり、特に若年層に訴求するのに向いている媒体
- Instagram広告には4つのフォーマットがある
- Facebookとも連携した細かなターゲティング設定が可能
- 広告の配信は入札価格と広告の品質を判断基準にしたオークション形式で決定される
- Instagram広告の課金方式はCPM課金、CPC課金、ThruPlayの3種類
- Instagram広告はECに向いており、特に美容やコスメ・アパレル関連の商品と相性が良い
Instagram広告に関する基礎知識を押さえることで、より効果的な広告配信を目指しましょう。