HubSpotは、CRMツールとして名高いですが、その中身は「Marketing Hub」「Sales Hub」「Service Hub」の3製品に分かれます。これら3製品に契約することで販売活動全般を包括するようなCRMツールとして利用が可能です。
また、現状使っているツールと組み合わせたい場合には、3つのうち1つだけ契約をするといった使い方も可能です。いずれにせよ各製品でできることを抑えることで、HubSpotを最大限活用することができます。
今回は3製品のうち、HubSpot Marketing Hubについて解説していきます。
HubSpotの全体像を確認したい方は以下の記事をご覧ください。
※本記事はHubSpotパートナー認定のデジマール株式会社が監修・執筆しています。
HubSpot Marketing Hubの概要
HubSpot Marketing Hubを一言で表すと、「マーケティングオートメーション(MA)ソフトウェア」です。
WebサイトやSNS、広告経由の顧客情報取得、取得した情報を用いたリード転換の効率化が大きな役割です。
そのほかにもそれぞれの施策やチャネルのうち、どれが効果的なのかを複数レポートのダッシュボードを作成して確認することができます。
Hubspot Marketing Hubの主な機能|訪問者を惹きつける
HubSpotでは、フォームでコンバージョンしていないサイト訪問者のことをプロスペクトと呼称します。このプロスペクトを増やし、かつプロスペクトを自社コンテンツで惹きつけることでコンバージョンにつなげることが、インバウンドマーケティングの最初の段階となります。
そのために必要なのは、SEO、広告、SNS運用の活性化です。
SEO経由でプロスペクトを増やす
HubSpot Marketing Hubが提供するSEOツール
Marketing HubのSEOツールでは、オウンドメディアで抱えるコンテンツの最適化手法を優先度順に表示してくれます。更新が必要なページや実施すべき具体的な対策が確認可能です。
自社のウェブサイトに関する推奨事項が優先度順に提示されるため、検索結果に与える効果が大きいと考えられる対策がすぐに分かります。更新が必要なページや実施すべき具体的な対策や、ウェブサイトの検索順位の改善状況を確認できます。
また、HubSpotが推奨するコンテンツ戦略である「トピッククラスター」形式でコンテンツを簡単に作成可能です。
現在の検索エンジンは、コンテンツがトピックごとに整理されているウェブサイトを高く評価します。HubSpotのコンテンツ戦略ツールを使用すると、自社と顧客にとって重要なトピックを見極め、そのトピックにおける検索順位を改善できます。
関連性、競合状況、人気度を基にお勧めのトピックが提示されるほか、月別の検索データを確認して、特定のトピックで期待されるオーガニックトラフィックを見積もることができます。HubSpotのコンテンツツールと組み合わせれば、主要なトピックごとにウェブページやブログ記事をいくつも作成できます。
広告経由でプロスペクトを増やす
HubSpot Marketing Hubが提供する広告管理ツール
Marketing Hubの広告管理機能では、ウェブサイト上の行動をもとにオーディエンスを作成したり、様々な媒体に広告出稿した時のリード数をもとにしたROIの比較を行うことができます。
これにより、広告費の投資収益率(ROAS)の向上、及び広告効果の比較が簡単にできるようになります。
SNS経由でプロスペクトを増やす
HubSpot Marketing Hubが提供するSNS管理ツール
Marketing Hubに契約していれば、HubSpot上からLinkedIn、Facebook、Twitterにコンテンツを投稿可能です。投稿予約もすることができます。SNSとブログを連携すれば、ブログ更新と同時にSNSへの自動シェアが可能です。
自社が発信したメッセージに関する反応がすべて確認できるほか、モニタリングストリームを活用すれば、SNS上で特定のキーワードについて言及しているユーザーを発見でき、対応が可能になります。
自社が発信しているメッセージについての反応をすべて把握できます。さらに、指定したキーワードを追跡するモニタリングストリームを作成してチームの全員で共有することにより、対応が必要なやり取りを見極められます。
プロスペクトが自社や特定のキーワード、ハッシュタグについて言及すると、セールス担当者にEメールアラートが自動的に送信されます。フォロワーに働きかけたり、リードを育成したり、お客様の満足度を向上させるチャンスを見逃す心配はありません。
Hubspot Marketing Hubの主な機能|魅力的なコンテンツを作成する
SEO、広告、SNS運用で自社サイトにプロスペクトを引き込むことができても、魅力的なコンテンツが存在していなければ、Webページからすぐに離脱されてしまいます。
HubSpot Marketing Hubでは、魅力的なコンテンツを作成するためのツールを利用可能です。
魅力的なブログを作成する
HubSpot Marketing Hubが提供するブログツール
Marketing Hubに契約すれば、ブログコンテンツの作成に必要な機能をそろえることができます。
コメントの追加、フィードバックの共有、複数ユーザーによる共同編集にも対応しています。画像の挿入、ヘッダーの書式設定、リンクの追加も手軽に可能です。
すべての記事は自動でモバイル最適化されます。
また、読者ごとにパーソナライズされるCTAや、予約投稿機能、メルマガ自動配信といった機能も利用可能です。
Webサイトやメールに動画を挿入する
HubSpot Marketing Hubが提供する動画ツール
HubSpotの公式ページには以下のような記述があります。
HubSpot内で動画をホスティングして管理すれば、動画をウェブサイトやブログに埋め込んだり、SNSに投稿したりする操作をワンクリックで行えるようになります。
また、動画にCTAやフォームを挿入してリードの獲得を促進したり、リードに合わせたコンテンツをその場で提供する動画ワークフローを設定したりできます。
また、Webサイトだけでなく、Eメールにも動画を挿入可能です。文章だけでは伝わりにくい情報を動画で配信可能です。
ウェブチャットでサイト訪問者の悩みをダイレクトに解決する
HubSpot Marketing Hubが提供するウェブチャットツール
ウェブチャットを導入すれば、サイト訪問者とタイムリーにやり取りが可能です。チャットボットも作成でき、有望なリードの見極め、ミーティングの予約、よくある問い合わせへの回答などのタスクを自動化しつつ、チームではより重要度の高いコミュニケーションに専念することが可能となります。
チャットの見た目も簡単にカスタマイズ可能なため、自社のウェブサイトになじむデザインにカスタマイズできます。
HubSpot Marketing Hubの主な機能|リードの転換を促進する
プロスペクトをウェブサイトで惹きつけたら、メールアドレスや電話番号、氏名、会社名などを取得し、リードへと成長させていきます。
リード獲得の最後の後押しに必要なランディングページやフォームの作成が、Marketing Hubで簡単に実行可能です。
魅力的なランディングページを作成する
プロスペクトをリードへと転換させるためのランディングページ作成ツール
開発者に頼らなくてもレスポンシブ対応のランディングページを作成可能です。
豊富なテンプレートの中から好きなものを選ぶことができます。ドラッグアンドドロップで操作できるページエディターを利用すれば、ページのコンテンツ、フォームも作成可能です。
さらに、訪問者の現在地、トラフィックソース、使用デバイス、購買ライフサイクルステージといったCRM上のコンタクト情報に基づいて、表示するコンテンツ、CTA、フォームを動的に調整できます。
リード獲得につながるフォームを作成する
プロスペクトをリードへと転換させるためのフォーム作成ツール
ドラッグアンドドロップで簡単にフォームが作成可能です。回答してほしい質問をドラッグアンドドロップで配置するだけです。
自由回答フィールド、ドロップダウンメニュー、ラジオボタン、チェックボックスなど、10種類ほどのフィールドタイプの中から選択できると共に、カスタムフィールドを作成することもできます。
また、CRM情報に基づいて、訪問者が以前回答した質問は表示されず、毎回新しい質問に答えてもらうことが可能です。また、訪問者の属性に応じて動的に質問を変更することもできます。
ワークフローを設定すれば、リードフォローアップのための通知も自動化できます。
HubSpot Marketing Hubの主な機能|マーケティングオートメーション
ここまで紹介してきた機能に加えて、HubSpot Marketing Hubでは、マーケティング活動を自動化するために便利なツールを利用可能です。
マーケティングオートメーションを行う
マーケティングオートメーション
豊富な選択肢からトリガー、条件、アクションを設定することで、ターゲットとするリードにふさわしいEメールを理想的なタイミングで送信することができます。
Eメール以外にも、ウェブフックのセットアップ、リードのスコアリング、営業チームへのリードの引き継ぎといったタスクにワークフローを使用できます。コンタクトが重要なアクションをしたときに自動でメンバーへ通知をしたり、コンタクトのフォローアップの通知をセールスチームに送るといったタスクも自動化可能です。
ワークフローの可視化も簡単に行うことができるため、条件分岐のあるプロセスも視覚的に設定、管理することができます。
Eメールマーケティングツール
デザイナーやエンジニアの力を借りなくても、マーケティング活動のためのEメールを作成、パーソナライズ、最適化できます。
あらかじめ用意されているテンプレートを利用したり、そのテンプレートをドラッグアンドドロップで編集可能です。CTAや画像、コンテンツやカラーの設定もすることができます。
相手のライフサイクルステージ上の位置に応じて、Eメールの件名、内容、リンク、添付ファイル、CTAも自動でパーソナライズされます。
また、A/Bテストも簡単に設定可能です。
マーケティングと営業の統合を進める
ABMツール
ABMとは、Account Based Marketingの略称で、「BtoB企業において、自社にとって価値の高い顧客を選別して、顧客に合わせた最適なアプローチをするマーケティング手法」のことです。
マーケティング活動で入手したコンタクト情報をもとにセールス活動の優先順位を設定していきます。
HubSpotのABMツールでは、最適顧客を抽出するワークフローを策定することで、CRMの情報をもとに、自社のペルソナに近いコンタクトを洗い出すことができます。
そのコンタクトの情報は、マーケティングチームとセールスチームで共有が可能です。マーケティングとセールスの垣根を越えて、KPI管理することができるようになります。
リードごとにセールスのスコアリングも可能なため、セールスの優先順位を数値で確認することができます。
HubSpot Marketing Hubのプラン
価格プランの概要
HubSpotには、「Starter」「Professional」「Enterprise」の3つのプランがあります。
訪問者を惹きつける、魅力的なコンテンツを作成する、リードの転換を促進する、マーケティングオートメーションのための基本的な機能はそれぞれのプランで扱うことが可能ですが、上位のプランに変更することで、コンタクト数が拡張され、使える機能も増えます。
プラン |
月額料金 ()内はキャンペーン価格 |
年間料金 ()内はキャンペーン価格 |
マーケティング対象のコンタクト |
Starter |
6,000円 (5,400円) |
72,000円 (64,800円) |
1,000件まで |
Professional |
106,800円 (96,000円) |
1,281,600円 (1,151,999円) |
2,000件まで |
Enterprise | 384,000円 | 4,608,000円 | 10,000件まで |
どのプランを選べばいいの?
どのプランを利用するかは、会社規模や使いたい機能によって異なりますが、MAを行いたい場合は「Professional」以上のプランを選ぶことで、ワークフローの作成が可能になります。
また、Salesforceとデータ連携したい場合にも、「Professional」以上のプランを選ぶことで、どちらかの変更を自動で相互反映させることが可能です。
EメールやランディングページでA/Bテストを行いたい場合にも、「Professional」以上のプランが必要です。
HubSpotのバンドルについて
バンドルとは、束という意味の英単語です。文字通り、HubSpot製品「HubSpot CRM」「HubSpot Marketing Hub」「HubSpot Sales Hub」「HubSpot Service Hub」「HubSpot Operations Hub」のセットを割安(単体購入の合計の25%OFF)で利用できるのが、HubSpotのバンドル、「Growth Suite」です。
HubSpot製品は統合型マーケティングプラットフォームと謳っているように、各製品を組み合わせることで真価を発揮します。そのため各製品のセットを割安で利用できるバンドルは、HubSpotを使いこなす上で便利です。
「Growth Suite」にも「Starter」「Professional」「Enterprise」の3種類のプランがあります。
プラン |
月額料金 ()内はキャンペーン価格 |
年間料金 ()内はキャンペーン価格 |
Starter Growth Suite |
9,000円 (8,160円) |
108,000円 (97,920円) |
Professional Growth Suite |
213,600円 (192,00円) |
2,563,200円 (2,304,003円) |
Enterprise Growth Suite | 480,000円 | 5,760,004円 |
まとめ
ここまで、HubSpot Marketing Hubについて、できること、料金体系、バンドルについてみてきました。
HubSpot Marketing Hubは、マーケティングオートメーションを実施するうえで必要な機能を数多く備えており、またHubSpot Sales HubやSalesforceといったセールスオートメーションツールとの連携が前提で設計されています。
自社のマーケティングからセールスまでを効率化したいときには、HubSpot Marketing Hubおよび、HubSpot Growth Suiteの契約を検討してみるとよいでしょう。