就職活動、転職活動中の方、広告運用者へのキャリアチェンジを検討されている方に向けて、
・広告運用とはどのような仕事なのか
・広告運用はどのような人に向いているのか
・広告運用で必要なスキルは何か
といったお悩みの解決につながる内容を網羅的にご説明していきます。
広告運用とは?
広告運用とは、広告の効果を最大化するために、広告の配置、広告のクリエイティブ(画像や広告文など)、ターゲティング、予算配分などを管理・最適化する活動のことを指します。
広告運用で取り扱う広告
広告には、テレビCM・ラジオCM、交通広告、雑誌・記事広告、運用型広告、アフィリエイト広告など様々な種類が存在します。
その中で、一般的には運用型広告やアフィリエイト広告を取り扱う仕事のことを「広告運用」といいます。
運用型広告とは、広告主(又は代理店)が予算や目標に基づいてリアルタイムで、ターゲットや広告内容を調整しながら運用するインターネット広告のことです。アフィリエイト広告は、Webサイトやブログに掲載され、その広告を通じて購入などの成果が発生した際に、報酬が発生する成果報酬型広告です。
運用型広告の種類
運用型広告には様々な種類がありますが、ここでは主要な3つの運用型広告をご紹介します。
リスティング広告
リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれます。GoogleやYahoo!で検索をした際に、検索結果の上位に表示される広告が「リスティング広告」です。”広告”などというラベルがつけられ、自然検索結果と区別されています。
ディスプレイ広告
Webサイトやアプリ上の広告枠に表示されるテキスト形式やバナー形式の広告のことを「ディスプレイ広告」といいます。リスティング広告が顕在層へのアプローチを行いやすい一方で、ディスプレイ広告は潜在層へのアプローチを行いやすいという特徴をもっています。
SNS広告
広告費を支払うことで、InstagramやTikTokなどのSNSでの投稿を幅広い人に拡散できる広告のことをSNS広告といいます。SNSは拡散性が強いという特性を持っているため、マーケティング戦略の一手として広く使われています。SNSといっても様々な媒体があるため、その媒体ごとに特性は異なり、活用手法もそれぞれです。
*Web広告の種類やそれぞれの特徴など、より詳しく知りたい方は「Web広告とは?種類や成果を出すための取り組みについて解説」をご覧ください。
広告運用者の働き方
事業会社
事業をしている会社の中で自社の広告を運用するという働き方です。広告運用は、メーカーだけでなく、飲食店・ホテルなど様々な会社で実施されています。その中で、自社で広告を運用している会社も多く存在します。これを「インハウス運用」と呼びます。
広告代理店
広告運用代行を行う代理店に勤務する働き方です。クライアントから依頼を受け、クライアント企業の広告作成や広告配信を行います。
フリーランス
広告運用の経験と実績を積めば、フリーランスとして働くことも可能です。
広告運用の仕事内容
広告運用の仕事には、多様な業務が含まれますが、基本的には以下のP・D・C・Aのサイクルを回していく仕事になります。ここでは、便宜上、広告代理店における広告運用者の目線から仕事内容を紹介していきます。(インハウス運用の場合、クライアントが自社になります。)
Plan:広告の企画
調査・分析
次に、現状把握のために調査・分析を行います。具体的な広告戦略を考える前に、市場や競合、クライアント企業の商材・顧客などについて理解を深める必要があります。
ここでは、主要な分析手法の1つが3C分析を紹介します。
- Customer(カスタマー):市場・顧客
- Company(カンパニー):自社(ここではクライアント企業)
- Competitor(コンペティター):競合
3C分析とは、上記の3種類について分析を行い、企業の内側の要素の分析だけでなく、商品・サービスを販売する外側の環境も同時に把握することができる分析手法です。
この他にも、PEST分析・SWOT分析・STP分析など様々な分析手法があり、それらを組み合わせて活用することで、現状把握を行います。
広告配信の目的を明確にする
広告配信を行う目的を明確にする必要があります。多くの場合、クライアントの事業においてなにかしらの課題があり、それらを解決することが目的になります。そのような場合は、その「課題」を明確にしなければなりません。
広告戦略の立案
具体的に広告戦略を考えていきます。先の分析や予算を考慮し、どのようなターゲットにどのような広告手法でアプローチするのかを決めていきます。
また、ここで重要となるのが「KPI(中間目標」「KGI(最終目標)」の設定です。これらが計測指標となり、これらを達成できるように広告を運用していくため、事前に必ず設定する必要があります。
そして、実際に、クリエイティブを作成します。ターゲットとしたユーザーがどうすれば、こちらが望むような行動をしてくれるのかなど、ユーザー視点になり、作成することが重要となります。
Do:広告の入稿
企画段階で作成した広告を入稿します。広告の入稿方法は媒体によって異なりますが、基本的には、広告プラットフォーム(例:Google Ads・Instagram Ads・Facebook Ads)から入稿作業を行います。入稿作業には、アカウント作成・クリエイティブの作成・ターゲット設定・入札金額の設定などがあります。
Check:分析・評価
広告配信後の結果を分析・評価します。プラットフォームが提供する分析ツール(例:Google広告の場合、Googleアナリティクス)を用いて、効果を分析します。その際に計測指標とするのが、企画段階で決めたKPIやKGIです。
Action:改善
分析結果をもとに、改善を加えていきます。クリエイティブ・ターゲット・ランディングページ(広告をクリックしたときに遷移するページのこと)など様々な側面から改善していき、目標達成を目指します。
広告運用に向いている人
広告運用に向いているのは、論理性とクリエイティビティを併せ持ち、かつ目標達成のために粘り強く行動できる人です。
具体的には、以下のような特徴を持つ人は、広告運用の仕事に向いています。
- 数字を基に論理的な考え方ができる人
- キャッチアップ力がある人
- 人の気持ちになって物事を考えられる人
- アイデアを出すのが好きな人
- 変化を楽しむことができる人
- 継続力がある人
- 目標達成意欲が高い人
広告運用に求められるスキル
分析力
広告の効果を最大化するためには、Planの段階での顧客・他社・自社についての分析やCheckの段階の広告効果の分析を徹底的に行える能力が必要不可欠です。特に、分析ツールからデータを収集し、理解する能力・そのデータを解析する能力・その解析結果を広告戦略の改善に役立てる能力が重要になります。
データには必ず数字が関わっており、そのデータの意味を理解し、さらなる広告効果拡大に活かすためには、ロジカルな考え方ができなければなりません。したがって、数字を扱うことに抵抗がなく、論理的な思考力を持っている人は広告運用に向いています。
キャッチアップ力
広告運用者は、様々なマーケティング手法や、分析に必要となる指標(CVR,CV, CPA, ROASなど)を把握しておかなければなりません。それに加え、担当する業界に関する専門知識なども必要となります。そのため、様々な知識・情報を収集し、自分のものにするキャッチアップ力を持つ人は広告運用に向いています。
想像力・発想力
広告運用は数字を基に考える論理的な思考力に加え、クリエイティブな思考力が必要になります。消費者の視点にたち消費者の思考や行動を想像し、競合が思いつかないようなアイデアを発想できる力が役立ちます。したがって、人の気持ちになって物事を考えられる人や日頃からアイデアを出すことが好きな人は広告運用に向いています。
広告運用の大変な点
絶え間ない変化に対応しないといけない
様々な大変な点がある中、広告運用の特徴的なものが変化への対応です。広告業界、特にインターネット広告の世界は非常に速いスピードで進化しています。新しいプラットフォームや技術が次々と登場し、既存の手法や知識が急速に使えないものとなります。これに対応するために、常に情報をキャッチアップし、学び続ける必要があります。したがって、知的好奇心があり、かつ、過去の知識や手法にとらわれずに、変化を楽しめる人は広告運用に向いています。
地味な作業が多い
マーケティングに関係する仕事ということで、キラキラしたイメージもありますが、実際は地味な作業が多いです。1人でパソコンに向かって、分析と解析を繰り返す作業が広告運用の多くを占めます。したがって、粘り強く作業をし続けられる、継続力を持った人が向いています。
大きなお金を使うプレッシャー
広告運用は大金を動かすこともある仕事です。「大きなお金を使っているのだから、成果を出さなければ」とプレッシャーを感じてしまうことがあります。そのようなプレッシャーを力に変え、成果を出すために粘り強く仕事をしなければなりません。
広告運用の魅力
成果が数値で見える
広告運用では、自分が運用した広告にどれほどの効果があったかが数値で見えるため、やりがいを実感しやすいという魅力があります。また、広告運用ではあらかじめ数値的な目標が設定されているので、それを達成できているかが一目で分かります。したがって、定められた目標を達成するために、絶え間ない努力ができるような目標達成意欲が高い人は、広告運用に向いています。
将来性がある
2023年、インターネット広告費は3兆3,330億円と過去最高を更新し、日本の総広告費の45.5%を占めました。(2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析より)このようなインターネット広告の活用の拡大に伴い、「広告運用」は企業の成長にかかせないものとなりつつあります。そのため、広告運用に関わる能力は、将来的にも多くの会社から求められる能力であると言えます。
働き方の自由度が高い
広告運用は最低限パソコンが1台あればできる仕事なため、働く場所を問わないなど働き方の自由度は比較的高いです。実際に、フルリモートやフレックスタイム制を導入している企業も多く存在します。
広告運用の働き方別の向き不向き
事業会社での広告運用に向いている人の特徴
- 1つのことにじっくり向き合える人
- 長期的な視点を持っている人
- 広告以外の施策にも目を向ける視野の広さがある人
事業会社であれば、1つのプロダクトに集中して広告運用を任されることが多いです。また、特定の案件を数年単位で任されることもあるため、1つのことにじっくり向き合える人は事業会社での広告運用に向いています。さらに、事業会社では、短期的な成果だけでなく、長期的なブランド構築や持続可能な成長も求められるため、長期的な戦略を基に広告運用を行う力が必要になります。
また、事業会社でキャリアアップすると、広告だけでなく、他の施策も含めてKPI管理や予算配分を実施することになります。そのため、広告に限らず事業を伸ばすにはどうしたらよいかと考えられる広い視野を持っている人は、事業会社で広告運用の仕事をすることに向いています。
広告代理店での広告運用に向いている人の特徴
- 世の中のいろいろな業界や商品に興味がある人
- 迅速に対応し、結果を出せる人
- チームマネジメントをすることに興味がある人
広告代理店は事業会社とは異なり、1人の担当者が複数のクライアントの、様々な商材を扱います。そのため、世の中のいろいろな業界や商品に興味がある人には代理店での仕事が向いています。また、代理店での仕事は、事業会社よりも短期的なキャンペーンやプロジェクトが多くなります。そのため、複数の案件に迅速に対応し、短期的に結果を出す力が求められます。
また、広告代理店でキャリアアップすると、チームをもってマネージャーとなることが一般的です。チームのメンバーがお客様に高い品質のサービスを提供できるようにするためのマネジメント力が必要になります。そのため、プレイヤーとしてだけでなく、メンバーの教育などチームマネジメントに興味がある人は、代理店で広告運用の仕事をすることに向いています。
まとめ
広告運用とは、広告効果を最大化させるために、P・D・C・Aのサイクルを回していく仕事になります。そのような広告運用の仕事には、分析力やキャッチアップ力、クリエイティブな思考力が必要です。
絶え間ない変化に対応しないといけない・地味な作業が多いなどの大変な部分がある一方、成果が数値で見える・将来性がある・働き方の自由度が高いなどの魅力があります。
また、広告運用に向いている人は以下のような特徴を持っています。
- 数字を基に論理的な考え方ができる人
- キャッチアップ力がある人
- 人の気持ちになって物事を考えられる人
- アイデアを出すのが好きな人
- 変化を楽しむことができる人
- 継続力がある人
- 目標達成意欲が高い人
総じて、論理性とクリエイティビティを併せ持ち、かつ目標達成のために粘り強く行動できる人は広告運用に向いています。
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