2020年1月にGoogle ChromeでサードパーティCookieが段階的に排除されると発表されました。
遅くとも2022年までにCookieを用いた広告配信が終了する予定です。この発表が今後のデジタルマーケティングに影響を与えることは明らかといえます。
※2021年6月にCookie廃止の延期が発表されました。
※2022年1月25日に、GoogleはFLoCに代わる新技術「Topics」を発表しました。
そもそも、Cookie(HTTP Cookie)とは、Webサーバーとブラウザの間でデータをやりとりする仕組みの1つで、Webサイトが発行する情報をブラウザに保存できるようにしています。
具体的には、ログインの維持や検索条件の保存、カート情報の維持などを可能にする1stパーティーCookieと、外部サーバーへの情報送信を可能にする3rdパーティーCookieに大分されます。
今回のCookieの廃止は、この3rdパーティーCookieの廃止を意味しています。外部のサーバー、すなわちGoogle広告のサーバーへサイト訪問者データを送信できなくなるということです。これは、訪問者データを用いたターゲティングを前提としているウェブ上の広告配信に大きな影響をもたらします。
Cookieが排除されても、広告主がより適切なユーザーに広告配信をしたいという欲求は変わりません。今回紹介するCookieの代替技術であるFLoCは、ユーザーをコホートというグループに分け、そのグループごとに配信する広告を最適化します。
Cookieを用いた従来のリマーケティングの記事に関してはこちらからご確認ください。
FLoCとは
Cookieに代わりユーザーをターゲティングする仕組み
FLoCとは、Federated Learning Of Cohorts :コホートの連合学習という意味を持っています。
上述したように、似たようなブラウジング習慣を持つブラウザをグループ(コホート)化します。
ウェブサイトを訪れたユーザーを分析し、似ている何千ものユーザーを1つのコホートにまとめていきます。コホートはIDを持ち広告主などと共有しターゲティングを行います。そのため、「個人」ベースから「コホート」ベースのターゲティングに変わっていくのです。
写真元:Google Developers|Federated Learning of Cohorts(FLoC)の概要
上記の図のように、興味ベースでコホートを作り、#1101、#524といったIDを持っています。
そのため、興味が変われば、ユーザーの入るコホートも変化します。次の図で興味の変化がどうコホートに影響を及ぼすかについて見てみましょう。
写真元:Google Developers|Federated Learning of Cohorts(FLoC)の概要
AlexさんとYoshiさんの2人が例にされています。
左側の”Now”では、AkexさんとYoshiさんの2人はコホートID#1354に分類されています。
しかし、時間が経つにつれて2人の興味は変化し、AlexさんはコホートID#1378、YoshiさんはコホートID#1101へと再び分類されました。
このように、変化する興味ベースに対応することで最適な広告を出すことが出来るようになるのです。
以上のようにして、Googleは個人ターゲティングベースのCookieの廃止によって、新しいプライバシー保護テクノロジーを作ろうとしています。
Google Chromeは前提として「個人情報保護を前提として、広告に支えられた無料のインターネット世界を維持する」という考えに基づいており、以前からCookieによって問題のあったプライバシー面を改善したかったのです。
FLoCで注意すべき点
以上のように、Cookieと比較して高いセキュリティを持つFLoCですが、考慮しなくてはならない点がいくつかあります。
- コホートに入るユーザーのトラッキングの防止
- 人々の関心事がウェブ上に公開されてしまう事
- 長期的なプライバシーの保護
- 機密性の高いカテゴリーの扱い
などが現時点で挙がっており、緩和策が考えられている段階になっています。
FLoC導入に向けての流れ
そこで、FLoCが導入されるにあたって、以下3つの段階を踏む必要があるとされています。
- ユーザーをコホートに割り当てる手法を見つけ、ユーザーの機密情報を漏らさないように分析する必要がある。ウェブ上で公開しても十分にプライベートな情報が得られることを確認
- PoCの初期段階でアドレスを使用して閲覧したすべてのサイトに基づいてユーザーのコホートを計算する。
- FLoC のプライバシーと実用性をより向上するために多くのテストを行う
これらの3段階を経て、FLoCはようやく実装されていきます。このように、新しいプライバシー保護テクノロジーを作るために多くの計算とテストが未だに必要とされています。
まとめ
このように、今後デジタルマーケティングに大きな影響を与えていくFLoCに着目していく必要があります。
ターゲティングを適切に行い、刺さる広告を配信するという本質は変わりません。
Google Chromeのプライバシー保護技術が向上する一方で、大きな変化を受けてしまう私たちマーケターはFLoCの情報をいち早く取り入れ、新たな広告配信手法を導き出すことが求められています。
※2022年1月25日に、GoogleはFLoCに代わる新技術「Topics」を発表しました。