Webマーケティングでは、新規の顧客を獲得していく上で、見るべき重要な指数がいくつかありますが、その中でも顧客の獲得効率を知ることは極めて重要です。予算を使って配信している広告ならなおさらです。 いかに多くの新規の顧客を獲得していても、10,000人に1人の割合での獲得であれば費用対効果があわず、広告を停止せざるを得ないでしょう。その顧客獲得効率をWebマーケティングではCVR(コンバージョン率)と呼びます。 今回はWebマーケティングで必ず知っておくべき用語「CVR」についてご紹介します。         ※本記事は、Googleパートナー・Yahoo!認定パートナーである、デジマール株式会社が執筆・監修しているものです。

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1. コンバージョン率(CVR)とは

ECサイトやホームページでの宣伝を含め、Webマーケティングにおいて重要な指標となるのがコンバージョン率(CVR:Conversion Rate)と呼ばれるものです。この指標を分析することで、サイトやSNSの効率を図ることができるからです。具体的な改善策を施し、その効果はダイレクトにCVRに現れます。そのため、まずはCVRとはなにか、どのように活用すべきかをチェックすることが大事です。

CVRの意味

コンバージョン率は、文字通りには「転換率」を表します。つまり、Webサイトの訪問客が購買をする顧客に転換する割合や、会員登録をする率を指します。 要はそのサイトの目標を達成する割合ということができます。このCVRが高ければ高いほど、サイトによるマーケティング効果が現れていることを意味します。

CVRの計算方法

では、CVRはどのように算出されるのでしょうか。計算式は以下のようになります。

CVR = CV数 ÷ クリック数 × 100(%)

この計算式からわかることは、CV数が多くなるほどCVRが高くなり、またクリック数が少なくなるほどCVRが高くなるということです。

事例 クリック数 獲得件数(CV) 獲得率(CVR)
1 1000 20 2%
2 1000 50 5%

この表の場合、クリック数は同じですが、CV数が事例2の方が多いため、CVRも事例2の方が高くなっています

事例 クリック数 獲得件数(CV) 獲得率(CVR)
1 1000 20 2%
2 500 20 4%

この表の場合、CV数は同じですが、クリック数が事例2の方が少ないために、CVRは事例2の方が高くなっています。

CVRに関連する用語

CVRに対し、単にCVという広告用語があります。これはコンバージョン、つまり「転換」を示す用語です。コンバージョンの発生件数をまとめてCV数やコンバージョン数と言います。 会社もしくはサイトごとに、この転換を意味するコンバージョン地点が違う場合もあります。例えば訪問者が実際に商品を購入したことをコンバージョン(CV)と計測することもありますし、ブランドサイトであれば、ブランドについての印象が改善した、ブランドそのものを知ってもらったことだけでもCVと考えることもあります。 大事なのは、それぞれのサイトで目的と目標をはっきりとさせ、その達成率をCVRという形で数値化することです。 また、CPAもしくはコンバージョン単価という用語も併せて使われることがあります。これは、一つの目標達成につきどのくらいの費用がかかっているかを示します。 アクセス当たりの契約率も大事ですが、費用対効果を分析をすることも大事です。

2. なぜCVRが重要なのか

広告のみならずWebマーケティングにおいては、その効果を計るためにCVRを重視します。CVRを改善することは、いかに効率よく顧客数を獲得できるのかを意味するので、ビジネスを成長させるために重要なポイントになっています。 具体的にどのように活用するかを知ることで、その重要性をより理解できます。CVRを使ってどんな分析をすべきかをチェックしてみましょう。

CVRを知ることで問題箇所が見つけられる

CVRは、サイト全体だけでなくページごとにチェックをすることができます。そこで、まずページ全体の平均的なCVRを出し、基準とすることができます。その上で、ページごとのCVRを計算して、平均値との差をチェックします。こうすることで、売れ行きが悪く効果が出ていないページを見つけられるのです。 また、同じ内容のページでもCVRが落ちているようであれば、広告がよくないという結論に至ることができます。広告に使っているキーワードや広告の文章の作りがイマイチということもあります。こうすることで、ページの中身を変えることなく、CVRをアップできるようになります。    

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3.CVRを改善するには?

CVRが低いということが分析によって分かったら、今度はその改善方法を探る必要があります。原因を知り、それに応じた適切な策を講じることになります。具体的な流れを追い、自サイトに適用してみましょう。

3.1. CVRが低い問題箇所を洗い出す

例えば、ページごとの解析によってCVRが悪いことが分かれば、まずはその原因を探ります。アクセス数が相対的に多く母数が大きくなっているために、CVRが下がるケースもあります。 アクセス数は他のページとそれほど変わらないということであれば、ページの内容に改善の余地があります。特に商品購入などに誘導する流れが悪いと、すぐに他サイトに離脱してしまう傾向が強くなります。ページ滞在率との比較をして、そのページから離れてしまうユーザーの数を見て、改善を行いましょう。 また、広告クリエイティブもCVRに大きく影響を与えます。広告クリエイティブがCVRを左右する要素は、検索広告の場合、検索キーワード、広告文、ランディングページの3つがあります。これらのどこに問題があってCVRが低くなっているのか把握することで、広告に効果的な改善を施すことができます。 広告クリエイティブの質の高さを判断する1つの方法として、Google検索広告の「品質スコア」という指数を見るという方法があります。品質スコアは検索キーワードと広告文の関連性、また広告クリエイティブとランディングページの関連性を評価し、1〜10の10段階評価で検索キーワードごとの質を評価します。 検索キーワードの質が低いものから優先的に改善するようにしましょう。

問題箇所に対し的確なアプローチをする

まずはじめに、WebサイトのCVRが低い場合の改善方法をご紹介します。 ページ内での誘導の流れがうまくいかない場合は、まずは構成を見直すことが必要です。他のページで上手に誘導ができるものがあれば、そこと同じ作りにするのもありです。また、誘導のためのコピーや画像を入れ替えるなどして、CVRに変化がないかどうかを見るのも良いでしょう。 どんな誘導の仕方が功を奏するかは、実際に試してみないと分からないこともありますので、いくつかのアイディアを出して、試してみるのが一番です。その都度、CVRを計算して最も効果のあるものを使い続けることで、質の高いページを維持できます。 次に、広告クリエイティブの検索キーワード、広告文、ランディングページのそれぞれについて、CVR改善の対処方法を説明します。

検索キーワード

検索キーワードを改善するには、まず検索クエリを確認する必要があります。部分一致の検索キーワードの検索クエリに自社商品と関係のないクエリが含まれていたら、どうすればよいでしょうか。 それらのクエリ経由で広告が多くクリックされている場合は、そのクエリを拾い上げた検索キーワードを停止するか、その検索クエリを除外設定することで対処できます。 逆にCV数の多いクエリがあれば、完全一致のキーワードとして登録し、入札価格を高めに設定することで、そのクエリからのクリックを増やし、CV数を増やすことができると考えられます。 CVRの式の内、前者は成果の低い検索キーワードを切り捨てることで、分母であるクリック数を少なくする施策です。後者は成果の高い検索キーワードに重点を置き、分子であるCV数を増やす施策であるといえます。

広告文

広告文は検索キーワードとランディングページをつなぐものです。広告がクリックされることだけを考えるのではなく、ランディングページとの関連性を意識することが重要です。 広告文の内容と、ランディングページの内容に相違があると、顧客は違和感を覚え、離脱してしまいます。ランディングページに含まれる文言を用いて広告文を作成することにより、離脱率を低下させることができ、CVRが改善すると考えられます。 また、ひとつひとつの広告のCVR改善だけでなく、キャンペーンや広告グループ単位のCVR改善にも注力すべきです。広告グループに複数の広告を入稿し、CVRを比較するA/Bテストを実施することで、顧客に刺さる広告文を見出すことができます。 CVRの高い広告に絞って出稿することで、広告グループ全体としてCVRを改善することができます。

ランディングページ

ランディングページの大きな構成要素は、コンテンツとデザインです。コンテンツ改善はライター、デザイン改善はデザイナーに協力を仰ぐことになるでしょう。彼らにディレクションすることを想定した場合に意識すべき点は主に3つです。 1つ目はWebサイト解析です。Googleアナリティクスやヒートマップツールを用いて、成果の高い経路、低い経路を把握します。Webサイト解析により、顧客がどこで離脱しているか分かるので、なぜそのコンテンツ、デザインを改善すべきか理由を添えてディレクションできるようになります。 2つ目は、ファーストビューに最も伝えたいことを集約することです。Webサイト閲覧者がコンテンツを1から読んでくれるとは限らないので、箇条書きや短い文章で要点を見せます。このとき自社商品の押し付けではなく、使用時の体験を顧客主体に伝えると共感が得られやすいと考えられます。 3つ目はマイクロコピーにこだわることです。CTAボタンの文言やフォーム入力中のエラー文などのマイクロコピーは小さいですが、顧客の行動に大きな影響を与えます。色やデザイン、文字列などが顧客にスムーズに受け入れられるかを意識して改善を図ります。これら一連のランディングページの改善はLPOといわれ、様々な手法やツールが存在しています。

CVRの改善チェックリスト

ここまで見てきたCVRを改善する際にとるべき施策をチェックリストにすると以下のようになります。

検索キーワードの改善

  • CVRの低いキーワードを停止する
  • CVRの低いクエリ、特に自社商品と関係のないクエリを除外設定する
  • CVRの高いクエリは完全一致で入札単価を高めて入札する

広告文の改善

  • ランディングページの内容に沿った広告に変更する
  • 広告のABテストを実施し、CVRの高い広告文を採用する

ランディングページの改善

  • Webサイト解析をして根拠ある改善を心がける
  • ファーストビューで要点が伝わるように工夫する
  • マイクロコピーにこだわり、顧客をスムーズに誘導できるように改善する

4. まとめ

ここまで、CVRの意味とその改善方法についてみてきました。 Webマーケティングにおいては、CVRというのは、広告やサイトの成功を見るために欠かせない指標です。常にこの数値を意識することで、より効率的で収益性の高い媒体とすることができます。 たしかに、こうした改修作業には手間がかかりますが、努力すればはっきりとその効果が見られます。手間をかけるだけの価値がある作業ですので、課題を特定した上で、まずは改善に取り組んでみましょう。