ユーザーはインターネット上で商品の購入をするとき、どのような経路で購入まで至るでしょうか。
例えば、もともとテレビCMで商品について認知しており、商品名を検索してリスティング広告から購入に至ることもあれば、ネットサーフィンで目に入ったバナー広告に興味を持ち、数日後その商品名を検索して、オーガニック検索から購入に至ることもあります。しかし、実際はより複雑な経路を経て購入に至るでしょう。
このように、商品の購入をはじめとするコンバージョン(CV)までには様々な経路があり、どの広告がコンバージョンに寄与しているのか、どの広告がユーザーに最も影響を与えるものだったのか、正確に把握するのは難しいかもしれません。
しかし、ユーザーがどのような経路で会員登録や商品購入まで至ることになったのかを知ることができると、広告単位で費用対効果が明確になり、広告効果の改善はもちろん、媒体別の広告予算の振り分け、自社のWebマーケティング全体まで最適化することができるようになります。
このWebマーケティング全体の最適化の姿勢こそがアトリビューションの考え方であり、費用対効果の高い広告運用を目指すならば避けて通ることは出来ません。今回の記事ではアトリビューションとは何なのか、どのような種類があるのか、どのように確認することができるのかを具体的にご紹介いたします。
※本記事は、Googleパートナー・Yahoo!認定パートナーである、デジマール株式会社が執筆・監修しているものです。
1. アトリビューションとは
アトリビューション(attribution)とは、コンバージョンに至るまでの過程で、顧客が触れた広告やコンテンツを貢献度に応じて評価することです。
コンバージョンまでには、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入・申し込み」といった様々な段階、いわゆるマーケティングファネルが存在します。
それぞれの段階で広告が果たす効果は異なりますが、一般的に「購入・検討」の直前に表示された広告を重視する傾向にあります。
アトリビューションの考え方では、マーケティングファネルの各段階で顧客が触れた広告のそれぞれを評価することになります。その評価方法は様々あり、アトリビューションモデルと呼ばれています。
2. アトリビューション分析を行う目的
アトリビューション分析で正確に広告の評価を行う
アトリビューション分析を行うことで、広告の効果を正確に把握することができます。
例えば、ある顧客がディスプレイ広告やSNS広告などのバナー広告をクリックしたが、コンバージョンに至らず離脱し、数日後に検索連動型広告からLPに流入しコンバージョンしたとします。
一般的には検索連動型広告が100%と評価されますが、実際には検索連動型広告は「比較・検討」及び「購入・申し込み」にしか寄与していません。
ディスプレイ広告やSNS広告があったからこそ顧客は商品を「認知」し「興味・関心」を持つことができたのです。
このように、広告ごとに得意分野が違うからこそ、それぞれの広告を適切な比重で評価することこそがアトリビューション分析の目的です。
3. 各チャネルの貢献度を知る
チャネルごとの貢献度を元に広告最適化を進める
広告を評価する際の適切な比重はチャネルの貢献度によって決まります。では、その貢献度はどのように決定するのでしょうか。その決まり方は大きく分けて2つに分けられます。
一つ目は自身の広告出稿の目的に合わせて各広告に一定の割合で貢献度を振る方法。
二つ目はデータを蓄積して最も効果の高い流入経路の傾向を見つけ出し、その傾向に合わせて貢献度を振る方法です。
4. リスティング広告で使用されるアトリビューションの種類
ラストクリック
最も一般的なアトリビューションモデルです。コンバージョン経路で最後にクリックされた広告とそれに対応するキーワードだけに貢献度を割り当てます。最も費用対効果を合わせやすいため、慎重なアトリビューションモデルです。
ファーストクリック
コンバージョン経路で最初にクリックされた広告とそれに対応するキーワードだけに貢献度を割り当てます。認知の薄い顧客を重視するため、積極的なアトリビューションモデルといえます。
線状
コンバージョン経路で発生したすべての広告インタラクションに貢献度を均等に割り当てます。すべての広告が等しく貢献したとみなすアトリビューションモデルです。
減衰
全ての接点に貢献度を振る一方で、コンバージョンに近い接点の貢献度を高く評価するモデルです。
コンバージョンから7日ごとに貢献度を半減させ、時間的にコンバージョンから遠いものほど貢献度が低くなります。考え方としてはラストクリックに近く、比較的慎重なモデルです。
接点ベース
コンバージョンに至る経路の最初と最後の広告に貢献度を40%当て、それ以外の広告に残りの20%を均等に振り分けます。すべてを均等に評価するという意味では線状と似ていますが、「認知」と「購入・申し込み」の部分を重視するモデルになっています。
データドリブン
他のモデルとは異なり、アカウントのデータを利用して、コンバージョン経路全体における各広告の実際の貢献度が計算されます。一定数のクリックとコンバージョンが必要なため利用のハードルはありますが、利用できる場合は最も費用対効果を高めることができます。
5. Google広告管理画面でアトリビューションを確認
管理画面での確認する方法
Google の管理画面のアトリビューションレポートでは、それぞれの広告がどのように関係してコンバージョンにつながっているか詳しく見ることができます。管理画面右上のツールタグの検索アトリビューションからレポートを見ることができます。
アトリビューション各項目の見方
概要レポート
概要レポートでは、コンバージョン経路に関する概要を確認できます。
ユーザーがコンバージョン達成までに要した日数や広告、複数のデバイスでの広告を含むコンバージョン数、コンバージョンのアシストに最も効果的なキャンペーンなどに関する情報が表示されます。これにより、コンバージョンに至るまでのカスタマージャーニーを効果的に分析できるようになります。
コンバージョン経路レポート
コンバージョン経路レポートには、コンバージョンを達成したユーザーに共通する経路が表示されます。
このレポートでは、コンバージョン達成前にユーザーがクリックした広告に基づいて情報が提示され、レポート内のプルダウンメニューからオプションを選択することで詳細を確認できます。プルダウンのメニューには表示メニューとデバイスメニューがあります。
経路の指標レポート
経路の指標レポートでは、ユーザーがコンバージョン達成までに要した時間とインタラクション数を確認できます。
また、一定の日数やインタラクション数の後にコンバージョンが発生した回数や、そうしたコンバージョンが持つ価値も示されます。ここでは、コンバージョンまでの平均日数やコンバージョン達成までの平均インタラクション数が分かります。
アシストコンバージョンレポート
アシストコンバージョンレポートには、広告によってアシストされたコンバージョンの数が表示されます。
アシストクリック後のコンバージョン列は、その全体像を把握するのに役立ちます。キャンペーン、広告グループ、キーワード、デバイスごとに、クリック(ラストクリックを除く)によってアシストされたすべてのコンバージョン数が表示されます。
このレポートのデータを確認すれば、コンバージョンの獲得に最も効果的な広告を特定することができます。
ごくわずかなコンバージョンに対するラストクリックしか獲得していない一部のキーワードが、実際は多くのコンバージョンをアシストしていることがわかる場合もあります。その場合はこうしたキーワードへの投資を増やし、より多くのコンバージョンを獲得できないか試してみることをおすすめします。
モデル比較レポート
モデル比較レポートを使用すると、2 つの異なるアトリビューションモデルを並べて比較できます。
例えば、ラストクリックアトリビューションモデルで過小評価されているキーワードや広告グループ、キャンペーン、デバイスを特定することができます。
デフォルトのアトリビューションモデルは「ラストクリック」が選択されているので、より顧客を呼び込みたいという場合は、「ファーストクリック」モデルと比較することでユーザーを呼び込むために投資しなければならないキーワードを特定できます。
呼び込みだけでなく、コンバージョンまでの経路を平等に重視する場合には、「ラストクリック」モデルと「線形」モデルを比較することがおすすめです。
6. Google アナリティクスでアトリビューションを確認
Google広告のアトリビューションレポートでは、コンバージョンまでの広告の効果を評価することができますが、自然検索については評価できませんし、Google広告以外のチャネルの評価もできません。
一方Googleアナリティクスでカスタムパラメータを設定することで、自然検索やGoogle広告以外のチャネルを含めた、いわゆるクロスチャネルで評価することができます。
また、Google広告では2つまでしか選択できなかったモデルをGoogleアナリティクスでは3つまで選択して分析することができます。
まとめ
ここまで、アトリビューションの意味とそれぞれのモデル、確認方法についてみてきました。
アトリビューションを適切に理解し、モデルを自身のビジネスに合わせて選択できれば、Webマーケティングの効果を最大化できます。やみくもに予算設計するのではなく、アトリビューション分析の結果を予算に反映することで、効果の高い広告に投資をする費用対効果の高い運用を目指しましょう。