LINEヤフー株式会社が運営する「LINE」は、1対1でのトークや複数人でのグループチャット、音声通話、ビデオ通話が行えるコミュニケーションアプリです。LINEをプライベートで使用するだけならアカウントは1つで事足りるものの、ビジネスに活用するにあたってアカウントを分けたい方もいるでしょう。そこで気になるのが、「LINEやLINE公式アカウントを複数作れるのか」という点です。
当記事では、LINEのアカウントを複数作成する方法やメリット、さらに複数のLINE公式アカウントを作る際の注意点、事例について詳しく解説します。アカウントの複数作成が難しい場合の代替サービスも紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
1. LINEのアカウントを増やすには何が必要?
LINEのアカウントは、スマートフォン(スマホ)などのデバイスが1台しかなくても複数作成できますが、SMS認証か音声認証が行える電話番号が必要です。
登録できる電話番号は、まだLINEに登録していない番号であることが条件となります。つまり、LINEでは1つの電話番号につき1アカウントしか作成できません。
そのため、「今のアカウントにすでに電話番号を使っている」「電話番号を1つしか持っていない」という場合は、2つ目以降のサブアカウントを登録できません。既存アカウントと紐づけている電話番号で新規登録をしても、作成済みアカウントを削除して新たなアカウントを作成するかどうかの選択が表示されるのみです。
LINEアカウントを複数作成するには、メインアカウントとは別の電話番号を用意しなければならないことを知っておきましょう。
1-1. LINEアカウントを増やす方法
2020年4月まではFacebookのアカウントと連携させることで、LINEで複数のアカウントを作成できました。しかし、現在LINEでアカウントを複数作成するには、SMS認証か音声認証が行える電話番号が必須です。また、固定電話や050から始まる電話番号、仮想電話番号はアカウントの新規登録に使用できません。
(出典:LINE|ヘルプセンター「アカウント登録⋅変更」/https://help.line.me/line/smartphone/pc?lang=ja&contentId=20001192)
そのため、LINEでアカウントの新規登録に利用できる2つ目の電話番号を持っていない場合は、格安SIMの契約を検討してみましょう。
格安SIMの契約にあたって料金は発生するものの、大手キャリアと比べると基本料は安く済みます。さらに、格安SIMの契約と同時に端末も購入すれば、複数のLINEアカウントを快適に使い分けることが可能です。具体的な基本料やサービス内容は格安SIMを提供する事業者によって異なるため、よく比較・検討して選ぶことをおすすめします。
2. 複数のLINEアカウントを使い分ける方法
1台の端末から複数のLINEアカウントにログインすることは可能ですが、より快適にアカウントを使い分けたい場合は、複数のデバイスを用意したり、スマホのツインアプリ機能やマルチユーザー機能を活用したりする方法が挙げられます。ここからは、LINEアカウントの使い分け方法をそれぞれ詳しく説明します。
2-1. 複数のデバイスを用意する
LINEのアプリは、iPadなどのタブレットやパソコンでも使用することが可能です。そのため、アカウント分のデバイスがあれば、デバイスごとにアカウントを使い分けられます。モバイルデータ通信を利用できないデバイスの場合は、フリーWi-Fiまたはスマホのテザリング機能を活用すれば、LINEを問題なく使うことができます。
なお、「プライベート用のLINEはスマホ、ビジネス用のLINEはパソコンから利用したい」という場合、パソコン版のLINEは新規アカウント作成ができない点に注意が必要です。既存のアカウントにパソコンからログインすることは可能です。
2-2. スマホのツインアプリ機能を利用する
LINEを利用できる端末が1台しかない場合は、スマホのツインアプリ機能を活用するのも一案です。ツインアプリ機能とは、1台のスマホで同じアプリを複製し、その複製アプリを独立したものとして利用できる機能で、一部のAndroid端末に搭載されています。
ツインアプリ機能に対応している端末であれば、LINEのアプリを複製して「プライベート用」「仕事用」のように分けて使うことが可能です。
2-3. スマホのマルチユーザー機能を利用する
「Android端末を使っているものの、ツインアプリ機能に対応していない」という場合は、マルチユーザー機能を活用するのもおすすめです。マルチユーザー機能とは、1台の端末に複数のユーザーを登録することで、各ユーザーが独立した環境で端末を使用できる機能です。ツインアプリ機能と同様、一部のAndroid端末に搭載されています。
マルチユーザー機能の利用においては、ユーザーの作成・切り替えに手間はかかりますが、アプリのアンインストール・再インストールを繰り返すよりはスムーズなアカウント切り替えが可能です。
2-4. LINEアプリのアンインストール・インストールを行う
複数のデバイスを所有していなかったり、手持ちのスマホにツインアプリ機能・マルチユーザー機能が備わっていなかったりする場合は、1台のデバイスで複数のアカウントを使い分けることになります。ただし、LINEにはログアウト機能やアカウント切り替え機能はありません。
そのため、1台のデバイスでLINEアカウントを使い分ける場合は、一度アプリをアンインストールし、再びインストールしてログインする必要があります。アカウントを1日に何度も使い分ける場合は手間と時間がかかるため、最終手段として考えておくとよいでしょう。
3. LINE公式アカウントはアカウントを複数作成できる?
LINE公式アカウントは、複数のアカウントを作成できます。LINE公式アカウントはビジネス用LINEアカウントであり、集客・販促に役立つさまざまな機能やサービスを利用できます。
アカウント開設にはLINEビジネスIDが必要で、LINEビジネスID1つにつき100のアカウントを作成できます。LINEビジネスIDは、LINEアカウントもしくはメールアドレスがあれば登録できます。
4. LINE公式アカウントでアカウントを複数作成するメリット
LINE公式アカウントで複数のアカウントを作成することには、店舗や担当者ごとに使い分けられること以外にもさまざまなメリットがあります。
ここからは、LINE公式アカウントでアカウントを複数作るメリットを4つ紹介します。
4-1. チャットの管理を効率化できる
複数の店舗を展開している場合、店舗分のLINE公式アカウントを作成することによってチャット管理が効率化するというメリットが得られます。
たとえば、複数店舗で1つのLINE公式アカウントを運営しており、顧客からの予約をチャットで受け付けていた場合、店舗や担当者を確認する手間がかかります。LINE上で顧客から質問が来た場合、どの店舗のスタッフが対応するのかという課題も生じるでしょう。店舗ごとにアカウントが分かれていれば、チャット対応の担当者が明確になる上、担当者を探す手間も省けるため、効率的に運用できるようになります。
4-2. ブロック率の低下が期待できる
LINE公式アカウントの運営にあたって注意したいのが、顧客からのブロックです。たとえば、1つのLINE公式アカウントで関東と関西の各店舗のキャンペーンやクーポン情報を配信した場合、関東に住む顧客にとって関西の情報は必要ありません。にもかかわらず配信を続けると、自分とは関係のないメッセージが届くことに煩わしさを感じた顧客からブロックされる可能性が高くなります。
しかし、店舗ごとにアカウントを分ければ、顧客は利用する店舗の情報だけをチェックできるようになります。顧客に合わせてアカウントを使い分け、適切な情報を配信することは、ブロック率の低下につながるでしょう。
4-3. 無料メッセージ通数が増える
LINE公式アカウントでは、無料メッセージ通数が料金プランごとに定められています。月額固定費が0円のコミュニケーションプランの場合、無料メッセージ通数は「200通/月」です。キャンペーン・クーポン情報の配信だけでなく、顧客からのメッセージにも個別に対応するという運用方法では、比較的早い段階で上限に達することもあるでしょう。
しかし、LINE公式アカウントを複数作成すれば、無料で送れるメッセージ数がアカウントの数だけ増えます。例えば、LINE公式アカウントを店舗ごとに3つ運用する場合、無料で配信できるメッセージの合計数は「600通/月」となります。
4-4. 質の高いコミュニケーションを図れる
LINE公式アカウントを事業や地域、用途などの細かいジャンルごとに複数作成すれば、顧客の属性や需要に合わせた情報を厳選して配信できるようになります。
メッセージを受け取った顧客は自分に向けて連絡されたように感じ、企業に対して親近感を抱きやすくなります。お問い合わせや予約などのアクションにつながるなど、メッセージ配信に対する反応率の向上も期待できるでしょう。
5. 複数のLINE公式アカウントの作成方法
すでにLINE公式アカウントを開設している場合は、管理画面から新たなアカウントを簡単に作成できます。ただし、パソコンからの操作とスマホからの操作とでは、やや違いがあることに注意が必要です。
ここからは、複数のLINE公式アカウントを作成する際の流れを、パソコン・スマホのデバイス別に紹介します。
5-1. パソコンで複数のアカウントを作る方法
パソコンから複数のLINE公式アカウントを作成する際の手順は、下記の通りです。
1 | LINE公式アカウントのパソコン版の管理画面にログインして、左サイドメニューの「作成」をクリックする |
2 | 表示されたアカウント作成画面で、ログイン情報(ユーザー名・アカウント名など)を入力し、「確認」をクリックする |
5-2. スマホで複数のアカウントを作る方法
スマホから複数のLINE公式アカウントを作成する際の手順は、下記の通りです。
1 | LINE公式アカウントのアプリを起動し、左上にある3本線(≡)をタップする |
2 | アカウントリストに表示されている「アカウントを作成」をタップする |
3 | 表示されたアカウント作成画面で必要事項を入力し、「確認」をタップする |
6. LINE公式アカウントで複数のアカウントを作る際の注意点
LINE公式アカウントで複数のアカウントを作成することには多くのメリットがある一方で、デメリットもいくつか存在します。アカウントの運用を開始してから後悔しないために、ここから紹介する3つの注意点を把握しておきましょう。
6-1. 設定や運用の手間がかかる
複数のLINE公式アカウントを作成する場合は、当然ながらアカウントの設定・運用・管理にかかる工数が発生します。プロフィールの設定やタイムラインの更新、リッチメニューの作成、応答メッセージの設定、分析も各アカウントで行わなければなりません。
LINE公式アカウントを円滑に運用するためには、アカウントごとの運用担当者を決めるなど、運用体制を整えておくことが重要です。
6-2. 各アカウントで友だちを増やす必要がある
LINE公式アカウントでは、運営元が同じ企業・店舗でも、アカウントが異なれば各アカウントは独立した存在として扱われるため、アカウントごとに集客する必要があります。
また、各アカウントに友だちが分散されることで、1つのアカウントを運用するケースと比べて一斉配信による集客効果が出にくい点にも注意が必要です。また、運用開始時などは友だちの少なさが顕著に表れる可能性があります。
6-3. コストが増える場合がある
複数のLINE公式アカウントの運用には「無料メッセージ通数が増える」というメリットがありますが、配信するメッセージの数によっては割高となる可能性がある点に注意が必要です。
たとえば、毎月5,000通のメッセージを配信していたライトプランのアカウントを2つに分け、1アカウントあたり月2,500通のメッセージを配信した場合、アカウントごとに月額固定費がかかることでコストも2倍になります。
LINE公式アカウント数 | 配信メッセージ数(月) | プラン | 月額固定費 |
---|---|---|---|
1つ | 5,000通 | ライトプラン | 5,000円 |
2つ | 2,500通 | ライトプラン×2 | 10,000円 |
LINE公式アカウントの複数作成によってコストが増えるか減るかは、配信メッセージ数や料金プランによって異なるため、アカウント作成前に一度確認しておきましょう。なお、LINE公式アカウントの料金プランは、アカウントごとに設定できます。
7. 複数のLINE公式アカウントの運用事例
LINE公式アカウントを活用している企業の中には、アカウントを複数開設して上手に使い分けている企業もあります。
ここからは、複数のLINE公式アカウントの運用事例について、具体的な成果も交えて紹介します。
7-1. 【トレーニングサービス】配信内容を変えて効果的にリピート促進
関東と九州を中心に完全個室のマンツーマントレーニングジムを展開する株式会社RITA-STYLEは、本社と店舗ごとのLINE公式アカウントをそれぞれ異なる方針で運用していることが特徴です。
本社のアカウントでは、ユーザーの新規入会の促進を目的に、体験レッスンの受付やキャンペーン情報・美容に関するコラムの発信を行っています。店舗ごとのアカウントでは、チャット機能を活用したユーザーの食事管理やトレーニングに関する質疑応答を主に行っています。
株式会社RITA-STYLEでは、ユーザーとの密なコミュニケーションを通じてエンゲージメントが向上し、「多いときは問い合わせをしたユーザーの約半数が入会した」という成果を上げています。
(出典:LINEヤフー for Business「潜在・顕在ユーザーを集客するマンツーマントレーニングジムのLINE活用」/https://www.lycbiz.com/jp/case-study/line-ads/rita-style/)
7-2. 【アパレル】ブランドごとのアカウントでコミュニケーションを最適化
株式会社アダストリアは、人気ファッションブランドを展開する大手アパレルメーカーです。全25ブランドの公式総合ウェブストアに加えて、一部ブランドに専用のLINE公式アカウントを開設し、ユーザーとのコミュニケーションを強化しています。
ウェブストアのアカウントでは、キャンペーン情報やクーポンの配信のほか、LINEのログイン情報と会員IDを連携させることで、個々のユーザーに合わせた情報提供を実現しています。また、各ブランドのLINE公式アカウントでは、ブランドごとに配置されたブランドプレスが、ブランドの特色を生かしたコミュニケーション戦略を展開しています。
その他にも、「LINEを活用したイベントの応募・入場手続き」「デジタル会員証の発行」など、LINE公式アカウントならではの機能を最大限に活用し、ユーザーエンゲージメントを高めています。
(出典:LINEヤフー for Business「LINEでイベント応募!6つのLINE公式アカウントを使い分けるアダストリアの新たな挑戦」/https://www.lycbiz.com/jp/case-study/line-official-account/adastria-02/)
8. LINEで複数アカウントの作成が難しい場合の代替サービス
LINEやLINE公式アカウントの複数のアカウント作成が何らかの理由で困難または不可能となる場合、目的によってはLINEの別サービスを活用するとよいでしょう。
●オープンチャット 友だちに追加していない相手とトークや情報交換ができる、LINEの公式サービスです。LINEに登録しているユーザー情報は表示されず、トークルームごとにプロフィールを自由に設定できる点が特徴です。URLやQRコードを共有するだけで招待できます。 ●LINE WORKS スケジュールや情報を共有できる、企業・組織・チーム向けのコミュニケーションツールです。管理者となるユーザーが組織用アカウントを作成し、そこにメンバーを招待・追加することで、予定管理機能やアンケート機能、グループノートなど、さまざまな機能を使えます。 |
オープンチャットとLINE WORKSは、いずれも無料で利用できます。LINE公式アカウントの有料プランのような機能はありませんが、アカウントの複数作成ができない場合は代替手段として利用を検討してみましょう。
まとめ
LINEは、SMS認証か音声認証が行える電話番号を登録すれば、アカウントを複数作成できます。一方で、LINE公式アカウントはLINEビジネスID1つにつき、100のアカウントを作成できます。複数の店舗や事業を展開している場合、LINE公式アカウントを複数作成することで、「チャット管理の効率化」「ブロック率の低下」「無料メッセージ通数の増加」などのメリットを得られます。
しかし、アカウントの数だけ運用工数がかかる点や、割高になるケースがある点に注意が必要です。LINEアカウント・LINE公式アカウントを複数作成できない場合は、「オープンチャット」「LINE WORKS」を利用してみましょう。