Instagram広告の予算設計

松葉駿平

日本のInstagram利用者数が2019年6月の時点で3300万人を超えました。日本の人口を考えてみると、4人に1人が利用している計算になります。Instagramの日本語アカウントが2014年に開設されて以来、その増加は5年で8倍と破竹の勢いで増加していることがわかります。身近にも利用されている人も多いと思いますし、芸能人の利用者も大変多いです。

そのため、多くの企業がインスタグラムに広告を載せることを検討しています。ユーザー数がかなり多いことに加えて、手軽に出稿できることにも魅力を感じているようです。実際にこの方法でかなりの成果を出している企業も少なくありません。では、Instagram広告を出稿しようと思う場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。予算をどのように組み、成果が上がるように配信するためにはどうすれば良いのでしょうか。

Instagram広告の費用

インスタグラムはセルフサーブ型を採用しています。つまり、予算や配信方法、頻度などを自分自身で決めることができます。設定は100円からできますが、もちろん100円で成果を期待することはできません。しかし、100円から始めることができるというところに、出稿がそこまで難しいことではないことが伺えます。そのため、インスタグラム広告は大企業だけでなく、個人事業やスモールビジネスでも簡単に利用することができますし、短期間だけの活用もできます。

一般的には、月に10万円程度の費用をかけることが現実的であるとされています。広い層への認知拡大ではなく、限られた層にターゲットを絞って掲載をする場合であれば、1,000円単位から運用することも可能です。このように、目的と規模をある程度細かく決めていくことで予算の組み方が変わってきます。

Instagram広告の課金

インスタグラムの課金制度は種類によって変わってきます。CPM、CPC、CPI、CPVの4種類の課金方法があり、目的に応じて種類を選択することで、効果的に予算を組みつつ、一定の成果を上げることができます。

CPM

CPMとはCost Per Milleの略称です。これは、インプレッションの数に応じて料金が課金される仕組みのことです。Milleという語には1000という意味があり、この言葉からもわかるように、CPMはフィード上に1000回広告が表示されるごとに費用が発生します。1リーチあたりの費用では0.5~1円あたりが目安になります。1リーチあたりの宣伝費を考えると、「なるべく多くの人に見てもらいたい」場合や「とにかく認知を広げたい」という目的にはCPM方式が良いと言えるでしょう。

CPC

CPCとはCost Per Clickの略称です。これは、1クリックされるたびに料金が発生する仕組みのことです。設定されたウェブサイトへの誘導、アプリのダウンロードなどを目的にした課金方法です。アプリのダウンロードの応じて課金されるシステムは別にあります。CPC方式はサイトへのリンクがクリックされた時点で料金が発生しますので、「とにかくサイトを見てほしい」など、まずはクリックしてもらうことを目的とした課金方法です。概算で1クリックあたり40~100円が目安となります。リスティング広告など昔からある配信サービスで用いられている、最もメジャーな課金方法と言えるでしょう。アプリなどをダウンロードしてほしい場合や、とりあえず自社サイトを見てもらってから商品購入へと誘導したい場合には、この方法が良いでしょう。

CPI

CPIとはCost Per Installの略称です。これは、紹介したアプリがインストールされることに応じて課金される仕組みのことです。多くの場合はCPC方式で自社サイトなどに誘導した後、アプリのダウンロードはお客さんに任せることが多いですが、CPI方式はアプリのダウンロードそのものを目的としています。そのため、CPI方式は商品や企業の周知を目的とする場合や商品ならびにサービスの説明や購入を促す目的ではほとんど利用されません。逆に、「アプリのインストール」という限られた分野での目的であれば、この方法を選ぶことによって費用を大きく抑えることができるでしょう。

そもそも、インスタグラムとはスマホで撮影した画像や動画をその場でシェアできるSNSアプリのことです。そのため、インスタグラムのユーザーのほとんどがスマホを所有しており、スマホからインスタグラムを利用しています。そのようなスマホユーザーには、サイトへの誘導もスマホ上で行うことがほとんどになります。こうした性質を考えると、アプリのダウンロードに関しても、スマホ経由でスムーズに行ってもらうことが期待できます。「インスタグラムで広告を見ること」が、イコール「興味があればその場ですぐにアプリをダウンロードする」ということに簡単につながるため、CPI課金方式によってかなり良い費用対効果を期待できます。

CPIの予算はアプリの1インストールあたり100円~150円が目安になります。「とにかくアプリをダウンロードしてほしい」という場合はCPI方式を採用すると良いでしょう。

CPV

CPVとはCost Per Viewの略称です。Viewですので、動画の再生に応じて課金されるシステムのことです。CPVは「まずは動画を再生してもらうこと」を目的にしています。CPVは動画の宣伝であれば採用できるシステムですが、先に挙げたCPM方式を採用することもできます。そのため、動画での宣伝は目的に沿って自分で課金方法を選ぶことになります。CPMはブランディング用であるということに対して、CPVはコンバージョンへの誘導用に向いています。つまり、より多くの人に認知してもらいたい、リーチしてもらいたいという場合はCPM方式、興味を持つユーザーにしっかりと説明したい、リーチさせたいという場合はCPV方式といったように使い分けることができます。自社のマーケティング戦略に合わせて選択すると良いでしょう。

CPVでは動画の宣伝が合計10秒以上、もしくはほとんど再生された時に料金が発生します。1再生当たりの費用は4~7円が目安になります。

Instagram広告の適切な予算

Instagram広告はセルフサーブ方式を採用しているため、どの程度の予算をかけるのかも自分自身で決めなければなりません。たくさんの予算をかけることもできますが、適正な予算は一体どのくらいになるのでしょうか。

自社で運用を行う場合

基本的に、月10万円程度の予算が一般的とされています。というのも、少ない予算で運営することも可能ではありますが、それなりの効果を得ようと思うのであれば、10万円程度の予算が必要になるということです。最初から何のデータもなしに多くの効果を期待することはできません。そのため、インスタグラムでもいくつかの方式を同時に採用しつつ、配信結果をリサーチしながら、最適なものを見極めていくといった戦略が求められます。

もう少し具体的な形で説明すると、最低一日1,000円ほど宣伝のための費用を予算として立て、複数のものを配信しつつ、最もコストパフォーマンスが高いものを分析していくということです。例えば、一日1,000円を予算とする宣伝を3種類ほど準備します。そして、その3種類のものを比較検討しながら運営します。一日1,000円の30日、それを3つ用意するため、月におよそ90,000円の費用がかかる計算になります。自社でInstagram広告を運用する場合、このような方法が推奨されています。

代理店を利用する場合

自社で宣伝を作成したり運営したりすることが難しいと思う企業が多いのも事実です。ノウハウや時間が無いこともそうですが、やはり宣伝は専門の代理店に依頼した方がクオリティの高いものが期待できます。そのため、プロに依頼するのであれば多少の費用がかかることは構わないと考える企業や個人事業主も多いでしょう。代理店に依頼した場合は、基本的に、通常の費用に加えて20%程度の運営費が必要になります。

もちろん、自社で宣伝に関しても運営することが一番の節約にはなりますが、そもそも売り上げを伸ばすための宣伝なので、そのための費用が多少かかったとしても、それに見合う以上に売り上げがあれば問題はありません。また、最初からすべてを自社のみで行おうとすると、費用や時間も効率的かつ効果的に使うことはほとんどできないというのが現実でしょう。そのため、信頼できるプロの技術を得られること、そしてプロの技術から自分自身も学ぶ機会が得られると考えると、代理店に依頼することは決して高すぎる出費ではないと感じるのではないでしょうか。

代理店に依頼することを考えているならば、その代理店の実績やサポート面などにも注意を払うことが大切です。特に、Instagram広告における実績をきちんと確認して、料金体系を含めた話し合いをすることは、効果的な宣伝と配信、そして予算を立てていく上で重要です。

インフルエンサーに依頼する

Instagram広告の大きな特徴の一つに、インフルエンサーを利用できるということがあります。インフルエンサー、つまりインスタグラマーは、すでに多くのフォロワーを持っていることが企業にとっても大きな魅力になります。とりわけ、特定のインフルエンサーもフォロワーには、そのインフルエンサーと同じことに興味を持っている人やファッションやトレンドに敏感な同世代の人たちが多く含まれています。そのため、企業としてもターゲットを絞り、効果的に宣伝するのに、インフルエンサーの協力を仰ぐことはとても良い方法であると言えます。

インフルエンサーに依頼する場合は、そのインフルエンサーのフォロワー数に応じて料金が変わってきます。基本的な計算方法として、フォロワー1人当たり5円程度の費用がかかります。もちろん、この費用相場はインフルエンサーの知名度や掲載したいものの内容、また課金システムに応じて変わってきます。宣伝文句を掲載することで料金が発生することもあれば、「いいね」などのコメントに応じて料金が発生する方式もあるので、トラブルにならないよう、前もってしっかりと打ち合わせをすることは大切です。

特定の芸能人などであれば、テレビCMを依頼するのと同じように、それなりのギャランティや費用がかかります。また、代理店を通して特定のインフルエンサーに依頼する場合は、代理店への仲介手数料なども発生しますので、注意が必要です。

予算を立てるときに注意すること

インスタグラムに限ったことではありませんが、広告を出す場合には、それにかかる費用と効果のバランスをよく考える必要があります。宣伝を掲載する必要がどのくらいあるのか、あるとすればどのくらいの予算で、どのくらいの売り上げを目標とするのかをまず考えることが大切です。また、すでに自社での宣伝などの運用がなされており、それなりの効果が上がっている場合には、見直しがそもそも必要なのかといったことも考えるべきでしょう。

もしInstagram広告を運用することを決定したとしても、どのような層にターゲットを絞るのか、SNSという特性を利用して何をしたいのか、周知を徹底させたいのか、それとも商品購入を促したいのか、といった戦略もしっかりとプランニングしておくことが大切です。

自社に運用についてのノウハウがあるのか、これから新たに勉強してできるのか、それとも代理店に依頼するのかということでも、大きく費用が変わってくることも覚えておかなければなりません。

まとめ

たくさんの人が利用するInstagramは、企業にとってもマーケティング拡大の大きなチャンスの場です。賢く広告を掲載することによって、効率的に売り上げを伸ばすことができるでしょう。しかし、その特性をよく理解しておくことは非常に重要です。例えば、課金方式の違いをしっかりと理解した上で、目的に応じて、自社に合った課金方法を選ぶことが大切です。

また、運営方法に関しても、自社で行うのか、代理店に依頼するのかで、かかる費用も大きく異なってきます。上手に活用するなら、最高のコストパフォーマンスを期待することができるでしょう。

趣味は茶道と料理。

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