Instagram広告改善チェックシート

松葉駿平

Instagramのフォロワー数やリーチ

代理店に依頼しInstagram広告によるプロモーションを展開した場合、うまくいくケースもあれば思うような結果が出ないケースもあります。いずれのケースでも現状維持は悪手で、たとえ結果が出ていても将来的にどうなるかは不透明です。Instagramは若者を中心に人気ですが、だからこそ流行り廃りの流れも速く、仮に成功したとしても勢いがずっと続くとは限りません。だからこそ、ターゲットに対して広告を届けられるよう投稿について改善を続けることが重要です。

Instagram広告のレポートでまずチェックしたいのはフォロワー数に関してで、代理店による投稿が始まってからのフォロワー数の増加度合いは成果につながる要素です。サービスや商品に興味を持っていないのに企業をフォローするケースは少ないため、広告から成果につなげるためにはフォロワーの獲得が欠かせません。企業の投稿で注意したいのが宣伝の過剰さで、一般ユーザーは宣伝に対してあまりよい印象を持っていません。インターネットで広告ブロックの機能やツールを利用しているユーザーが一定数いるように、近年は宣伝そのものに対して逆風が吹いています。商品やサービスを宣伝することは重要ですが、宣伝目的と判断されるような投稿を繰り返すと認知度アップどころか、逆効果になりかねません。宣伝の頻度は重要ポイントですが、投稿を宣伝のように感じさせない工夫も同じくらい重要です。売りたい商品があるとして、その商品しか写っていない画像を掲載するのはよくありません。たとえ頻度に問題がなかったとしても、商品だけを映すと宣伝っぽさが強まる恐れがあります。Instagramでは世界観が重要なので、投稿の1つ1つにしっかりと意味合いを持たせないと大きくフォロワー数を伸ばすことはできません。画像ではなく作品を投稿する、普段からそのように意識することがファンを獲得するために重要です。

フォロワー数と同じくらいにレポートで重要なのがリーチで、これは投稿を見た人の数を示しています。他のSNSでも使われることがあるフレーズなので知っている担当者の方も多いはずですが、非常に重要なポイントです。リーチの増加イコール成果というわけではないものの、投稿を見た人が多ければ認知度のアップが期待できます。すでに圧倒的な知名度を獲得している企業、ブランドの場合はともかく、これから企業やブランドを大きくしていきたいのであれば、リーチの数は真っ先に確認したいところです。

レポートではインプレッション、PVという指標が出てくるかもしれませんが、これらはリーチと似ているものの別物なので注意が必要です。インプレッションは投稿が表示された回数なので、投稿を何回も見た人がいれば表示のたびに回数がカウントされます。一方、リーチはその投稿を見た人の数を表しているので、その人が投稿を見た回数が1回でも10回でも1しかカウントされません。仕組みの違いからインプレッションの方が数字は大きくなりやすいのですが、基本的には何人に投稿が届いたかを確認できるリーチが重視されます。PVもリーチ、インプレッションと似ていますが、PVは投稿を含めたページ自体の表示回数のことです。インプレッションと同じく、1人が複数回そのページを見た場合にもカウントが増えていきます。リーチも、異なるデバイスや異なるブラウザからのアクセスだと同一人物が複数回カウントされるのですが、表示状況に関する指標の中では最も頼りになるので見逃さないようにしてください。

クリック数やクリック率以前にリーチが想定より少ない場合、ターゲットに届けるための工夫が足りていないのがまず想定される問題点です。タグ映えという言葉がありますが、ハッシュタグで検索した時に画面に表示されるようになれば、それだけ投稿のリーチ数は増えていきます。逆に言えば、ハッシュタグで検索した時にパッと表示されていない投稿は、リーチが足りず苦戦しやすいわけです。どうすればタグ映えのする投稿になるのか、これは運営側のプログラムのさじ加減にかかってきますので、一概には言えません。運営以外の人間はプログラムの詳細を知れないために、こうすればハッシュタグで有利に立てるという確実な方法はありませんが、現在のところはコメント、保存などのエンゲージメント数で人気を集めることが重要とされています。じわじわと人気が広まるケースもあるのですが、タグ映えのためには短期間でのリアクションの大きさが重要とされているため、初速を意識することが欠かせません。

ハッシュタグによって投稿件数は異なり、激戦区だと相応に人気を集めるのは難しくなりますが、逆に投稿件数が少ないハッシュタグだとあまり注目を集められない恐れもあるため、ハッシュタグの選定は非常に重要です。また、かつては無関係なハッシュタグを付けていても人気は集まりましたが、現在は無関係なハッシュタグは避けるのが基本とされています。投稿を伸ばすためには様々なハッシュタグを付けたくなるものですが、無関係なハッシュタグがあると逆に伸びない恐れがあるので注意が必要です。

ハッシュタグに問題がありそうな場合、ターゲットについてブレがないか見直してみるのも手です。マーケティングではペルソナという言葉が使われますが、投稿を届ける側は必ずターゲットを想定します。28歳女性で結婚はしておらず一人暮らし、アパレル業界に身を置いているがストレスが多く日々の癒やしを求めている、このような感じです。これはだいぶ簡略化した例で、名前に出身地や血液型、誕生日、ライフスタイルなど細かいところまで設定します。ターゲットをくわしく設定し、そのターゲットにどうすれば投稿が届くのかを逆算して考えるのが基本なのですが、設定が曖昧だと投稿もブレやすいので注意したいところです。曖昧なところがあるからこそ、このようなハッシュタグも加えた方がよいのではないかと無関係なハッシュタグが加わりやすいので、ハッシュタグの見直しを進めるのであれば、ターゲットについて代理店と改めて話し合うことも重要です。

ハッシュタグと同様にリーチと大きく関係してくるのが投稿のタイミングで、極端な話をすると深夜3時に投稿をしても見てもらえる可能性は高くはありません。夜勤の人や働く時間が決まっていない人もいますが、夕方以降に自由な時間が生まれるのが一般的なため、夜の9時くらいからが狙い目です。どのようなターゲットを設定しているかによって最適なタイミングは変わってくるものの、タイミング1つで反響の大きさはかなり変化します。いつ投稿すれば話題を集められるか、フォロワーに届きやすいかを考えた上でタイミングを見計らうことが重要です。

Instagramのクリック率を改善するには

投稿は表示されるだけでは不十分で、実際にタップ、クリックされて初めて成果につながります。クリック数は投稿がタップ、クリックされた数のことで、外部リンクへのジャンプやアプリのダウンロードなどのアクションが行われた回数を含めた数字です。CTRはクリック数をインプレッションで割ったもので、投稿に対するアクションの割合が表されます。判明するのは投稿に対するアクション率であって、サービスの成約などの具体的な成果があったかどうかはCTRでは分かりません。誤クリック、誤タップも含まれているものの、広告に興味を持つ人がどれくらいいるかを概算で知れます。リーチの数は十分なのにクリック数やCTRが芳しくない場合ですが、こちらは必ずしも問題があるとは限りません。そもそも、不特定多数に向けた広告のクリック率は1%未満の数字に落ち着くのが普通で、パソコンやスマートフォンを問わずインターネットでよく見かけるディスプレイ広告のクリック率は0.05%ほどしかありません。Instagram広告に限って見ていくと、2020年のフィード広告のクリック率は0.22%、ストーリーズ広告のクリック率は0.33%です。2019年と比べるとクリック率はだいぶ落ちていますが、2019年もクリック率は1%に届いていないため、そもそも高い数字を記録することはありません。美容関連の品など買い換えるものを宣伝する場合は比較的クリック率は高まりやすいものの、逆に長期的に使うものはInstagramでは不利な傾向があります。それを考慮に入れてもなおクリック数やCTRが芳しくないと感じられる場合、やはりターゲットの見直しはしておきたいところです。

ターゲットが何かしらの不満を持っている、あるいは食事などの欲求を抱えている場合に、それを解消できる何かを提供するのがマーケティングの基本です。十分にターゲットを絞っても、肝心の悩みにズレがあるとクリック率はなかなか改善しません。同時に、投稿がターゲットの不満や不安に寄り添えるものになっているかも、代理店とよく話し合っておきたいポイントです。クリック率は基本的に低めに推移しますが、先に書いたように広告に対して不信感を持つ人は珍しくはありません。

そのため、クリックしてもらうためにはターゲットの不満や不安の改善が期待できる点に加えて、より強い説得力も必要です。商品、サービスによって適切な説得力は異なってきますが、できれば客観的かつ具体的な数字を盛り込みたいところです。数字はマーケティングで欠かせない要素ですが、ユーザーのメリットになるような数字を具体的に盛り込むことがクリックにつながります。健康食品のCMなどでは初回50%オフのような言葉がよく使われますが、50%オフという言葉は具体的で魅力も大です。他にもすぐに発送できるのであれば最短即日発送というフレーズを使ったり、その商品やサービスに歴史があるのであれば運営年数の長さをアピールするのも手です。イメージをよくするため切りが良い数字にしてしまうのは定番の失敗で、具体例を挙げると本当の売れ行きは42万なのに切り上げで50万にしてしまうなどです。50万の方が切りはよいですが、一般のユーザーに響くわけではなく、むしろ切りがよいと嘘っぽく見える恐れがあります。42万の方がより具体的で説得力があるので、よく見せようとするための切り上げには注意が必要です。割引率、価格、売上などと比べるとやや客観性には乏しいものの、寄せられた好意的な体験談の数を使うやり方もあります。口コミはユーザーの興味を惹くポイントなので、好意的な体験談を多く掲載することでアピールにつながるわけです。

Instagram広告は費用が発生するタイミングで4種類に分けられ、CPMはインプレッションが1,000毎に、CPCはクリックのたびに、CPVは投稿の動画が10秒以上か最後まで再生された場合、CPIはアプリがインストールされるたびに支払いが発生する仕組みです。それぞれ異なる特徴を持っていますが、いずれを選ぶにしても費用面はクライアントが気を揉みがちなポイントです。なるべく費用対効果を高めたいと考えるのは当然ですが、基本的にInstagramは他のメディアと比べて費用対効果の面で優れていると評価されています。その理由はターゲットに対して的確にアプローチができるからで、興味がなさそうな人に対して広告を出さなければ当然ながら無駄な費用は発生しません。また、それに加えて投稿内に自然な形でリンクを挿入できるのもポイントで、興味を持っている人に対しての訴求力は優れています。そのため、Instagramで宣伝しているのに無駄に費用がかかっている場合、うまくターゲットに届いていない可能性が高まります。何をアピールするかにもよりますが、無駄な広告の表示をできる限り減らすのが基本です。たとえば、愛知県名古屋市の飲食店に来てもらいたいので宣伝する場合、大雑把に愛知県内に住んでいる人をターゲットにするのではなく、名古屋市に加えて近隣の春日井市や清須市、あま市などに住んでいる人だけをターゲットとするのも手です。

様々な改善例を紹介してきましたが、まずはしっかりと現状について把握して問題点を洗い出さないといけません。最初の方向性を間違えるとプロジェクトの先行きに大きな悪影響を及ぼすため、アカウントの様々な数字について代理店とクライアントで情報を共有するのが先決です。情報共有のために使われるのがレポートで、数字などの現状について分かりやすくまとめることがプロジェクトの改善につながります。(2021年現在)

趣味は茶道と料理。

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