HubSpotの導入事例に見るマーケティング効果や可能性

松葉駿平

インターネットを活用することで幅広い層を対象にしたマーケティングが可能になった一方、うまくマーケティングを実践できているところとそうでないところで格差が生じている面も出てきています。「ネットを使えば効率よくマーケティングができる」段階を超えて、「ネットマーケティングがうまくできないとビジネスに勝てない」時代になっていると言っても過言ではないでしょう。

マットマーケティングを提供・サポートする企業、さらにはマーケティングソフト・ツールが数多く登場するようになっています。ネットマーケティングの手法が高度なものになったことで個人や中小企業レベルでは対応できない状況になってしまっているため、アウトソーシングの形でプロに依頼する、あるいは専門的な知識がそれほどなくても効率よくできるソフトやツールを活用する手段が求められているのです。

hubspotは、そんな現代のネットワークビジネス・マーケティングの情勢・ニーズに応える形で登場したマーケティングソフト・プラットフォームと言えるでしょう。すでに多くの企業や店舗が導入し、売上や知名度アップに役立てることに成功した事例が見られます。

予算と人材を投入できる大手企業のマーケティングに対して個人や中小規模クラスがどうやって対抗することができるか、hubspotとはそんな現代ビジネスにおける重要なテーマに対する一つの答えとも言えるでしょう。また、「どこに任せるか、またどんなツール・ソフトを使うか」というテーマに対する答えの一つでもあります。プロのマーケティングサービスやコンサルタントであろうと、プラットフォーム・ソフトであろうと、万能というわけではなく、それぞれの特徴や向き・不向きがあるため、あくまでも自分たちのマーケティングに合ったものを選ぶ必要があります。マーケティングをどうやるかと同じくらい、「どんな手段でネットマーケティングを行っていくか」の選択が重視される時代になっているのです。

となると、このhubspotにおいても、どのような特徴があり、どんなビジネスやサービスに向いているのかをよくチェックした上で、導入するかどうかを判断する必要が出てきます。これまでの導入事例は、その際に役立つデータとなるでしょう。

そもそもどんなビジネスやマーケティグに向いているのか?

基本として知っておきたいのは、hubspotとはアメリカ生まれのマーケティングプラットフォームであり、インバウンド型の手法を重視している点です。インバウンド型とは、顧客の積極的な行動をうまく売上やブランドイメージの構築に役立てる手法です。

従来のマーケティングと言えば、企業・店舗の側が積極的に広告展開を行い、多くの人の目に触れることでアクセスや売上を増やしていく「アウトバウンド型」が主流でした。言い方はよくありませんが、「ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる」面があり、広告を見た1000人のうち10人でも買ってくれれば成功といった「分母をできるだけ大きくする」ことを重視しています。大都市の駅やビルに広告を展開する手法などは、このアウトバウンド型の典型的な形と言えるでしょう。

しかし、このアウトバウンド型ではコストがかかる上に、費用対効果が未知数という問題点を抱えています。大規模なマーケティングができる、あるいは多くの人に関心を持ってもらえるようなブランドイメージがすでにある企業なら高い効果を挙げる可能性を秘めていますが、そうでない個人・中小規模のビジネスではなかなか成果を上げづらい面があるのです。多額のお金を費やしても広告が世間の目に触れない、あるいは売上やサイトのアクセス数が増えないといった例も少なくありません。

それに対して、hubspotではインバウンド型、つまり積極的に商品やサービスを求めて情報収集を求めている人にマーケティングを行うことでマッチングを目指し、知名度と売上アップを目指しています。情報を欲しがっている人に直接広告を届けることで関心を持ってもらい、効率よく成果を目指していくのです。アウトバウンド型は興味があろうとなかろうと関係なく多くの人に目に触れる広告展開を行うことを目的としているのに対して、こちらはピンポイントで見込み客を見つけ出す広告展開を目的としてるのです。

hubspotにはそんなインバウンド型のマーケティングを行うための機能が多数備わっています。実際にその機能を活用し、売上アップに成功した事例がすでに多く見られています。ですから、その事例をチェックすることで、どのような形で機能を活用できるのか、どんな分野においてこのマーケティングプラットフォームが役立つのかを知ることができます。

どんな事例があるのか?

あるWebマーケティングの支援事業を手掛けていた企業の事例ですが、その企業ではそれまで典型的なアウトバウンド型の営業を行ってきました。積極的に動き、顧客開拓に邁進する従来型の営業を続けてきたのですが、成果が頭打ちになっていた上に、従業員の負担増、精神的なプレッシャーの増加、さらには効率・能率の低下といった問題を抱えていたのです。

積極的になればなるほど社員への心身両面の負担が大きくなり、それが能率ダウンをもたらすことで成果が頭打ちになって、焦ってますます積極的なマーケティングを社員に強いる…そんな悪循環に陥りかけていたところで、路線転換を求めてこのマーケティングクプラットフォームと正規代理店の利用を決断、これまでのアウトバウンド型の営業からインバウンド型への大胆な転換を行いました。

その結果、顧客単価が2倍、さらに月間の見込み客顧客数が約50倍にまで増加するという大幅な成果アップに成功、しかも従業員の負担も軽減し、効率のアップも実現したと言います。

この事例ではWebサイトを刷新し、リードを顧客するための環境整備が行われました。特に、立ち上げたブログが大きな成功を収め、その後ダウンロードコンテンツの作成などを通して、リードの獲得を大幅に増やすことに成功したと言います。大胆な切り替えを行ってから成果を実感できるようになるまで約半年、これまでの悪循環を断って、見事な路線展開に成功しました。

創業50年以上の老舗企業の事例もあります。現在では大手企業向けのクラウドビジネスのサポートなどを手掛けていますが、hubspotを導入するまではアウトバウンド型のマーケティングをメインに手掛けていました。セミナーの開催やブログなどを通して集客を行ってきたのですが、それでは成長・拡大するサービスに対応することが難しくなり、より効率よくマーケティングを行っていける環境づくりが急がれていたところでhubspotの導入に踏み切ったのです。

この会社ではインバウンド型のマーケティングもすでに行っていたのですが、効率がよい環境とはとても言えず、セミナーの管理やプログの運営、メールマガジンの配信などをそれぞれ異なるツールで行うなど、非効率的な点が問題となっていました。

しかし、hubspotを導入したことでこれらを一元で管理することが可能になった上に、作業工数を大幅に削減することに成功、従業員の負担を減らしつつ効率を大幅に高めることができたことで、コンバージョン数が導入からわずか数ヶ月で300~400件にまで増加し、大幅な売上アップを実現しています。

この会社の事例はインバウンド型を導入すれば必ずうまくいくというわけではなく、あくまで効率よくマーケティングを行っていける環境づくりが重要であることを教えてくれます。一元管理を行っていなかった頃にはスタッフ間のスキル・経験の差や連携の問題があり、セミナー担当者がオンラインマーケティングをうまくできない、メールマガジンを書くことはできてもネットでの配信がうまくできないといった、チグハグな面が見られていたと言います。しかし、ハブスポットで一元管理を行うようになったことで効率よく作業が進められるようになり、一人のスタッフが一括して作業を行うことができるだけでなく、スタッフ同士の連携もスムーズに行うことができるようになりました。これはインバウンド型のマーケティングを推進していく上でのよい手本にもなるでしょう。

大規模建造物の構造設計を手掛けている、創業60年以上の事例も見られます。建築物の構造設計を手掛ける企業とネットマーケティングはあまり結びつかない印象もありますが、それだけにインバウンド型のマーケティングが幅広い分野で役立つことを証明する貴重な事例とも言えるでしょう。

この会社ではそれまで大規模な事業を想定したビジネスをメインに手掛けていたのですが、一方でハードウェア事業も手掛けており、その中で2016年に低価格路線を打ち出た商品の販売に踏み切りました。これまで数千万円クラスのビジネスを手掛けてきた同社にとっては未知の分野でのビジネス、まったく異なる顧客層にアピールする必要があるため、マーケティング環境の刷新を目指しているところにhubspotの存在を知り、導入に踏み切ったそうです。

この選択は吉と出て、導入後には月数百件の問い合わせや資料請求を獲得しており、新規の顧客層の開拓・獲得に成果を挙げています。

この事例は、新規事業の立ち上げや新たな分野への進出の際に、人手やコストをできるだけかけずにいかにうまくマーケティングを行っていくかを知る上での貴重なケースとなるでしょう。このようなケースでは顧客データを獲得する段階から始めなければならないケースも多く、従来型のアウトバウンド型では膨大なコストと人手がかかってしまいかねません。しかし、hubspotでインバウンド型のマーケティングを導入することで、最小限のコストで効率よく顧客獲得を進めていくことに成功しています。企業そのものの拡大とコスト増を最小限に抑えつつ事業を拡大していくことができる、今後のビジネスシーンにおける一つのお手本にもなるでしょう。

もう一つ、サービス内容の認知度の上昇に成功した事例です。この会社では複数の業務用のsnsアカウントを管理するためのツール開発などを手掛けていますが、従来型のテレアポやイベント参加などによる新規顧客開拓に限界を感じて、hubspotの導入に踏み切ったと言います。

その結果、オンラインにおけるリード獲得が月に100件以上に増加しただけでなく、メールマガジンの開封率が3~4割にまで上昇しました。

これはネットワークを活用したマーケティングにおける一つの重要な可能性を示していると言えるでしょう。通常、メールマガジンの開封率は1割程度、つまり「情報を提供しているのに相手に届いていない」という大きな問題を抱えています。これもアウトバウンド型マーケティングの問題点の一つですが、hubspotを導入することで3~4割と平均的な水準から考えるとはるかに高い数字を達成できたのは、企業・サービス内容の認知度が向上し、「この会社からのメルマガなら読んでみよう」と思った人が増えたことを意味しています。インバウンド型のマーケティングを軌道に乗せれば、アウトバウンド型のマーケティングの成果も高めることができるわけです。

成功事例をヒントにhubspotを有効利用してみては?

こうした例を見ても、hubspotがさまざまな業種、さまざまな目的のマーケティングにおいて実際に役立ち、業績アップをもたらしている様子がうかがえます。もちろん「導入すれば必ず利益を上げられる」といった魔法のようなプラットフォームではありません。しかし、使い方一つで成果をアップさせるだけでなく、これまでのマーケティング環境を刷新し、マーケティング全体の効率を高めることも可能になります。

ほかにも、Webサイトの訪問者数が2倍以上に増えた、導入から一年半ほどで見込み客数が1.5倍になったといった成功例も見られます。それだけこのマーケティングプラットフォームには多彩な機能が備わっており、マーケティング環境を一括管理した上で業務を行っていく環境づくりに適していることを示していると言えるでしょう。アウトバウンド型のマーケティングに限界を感じている企業、または新規サービス・事業への進出を機会にコストをできるだけかけずに新規顧客の開拓を行いたいと思っている企業は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

趣味は茶道と料理。

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