HubSpotにはFacebook広告、Google広告、LinkedIn広告の効果を測定できる便利なツールがあります。顧客関係管理(CRM)のデータを活用し、より精度の高いターゲティングと、顧客に合わせたキャンペーンの作成や展開も可能です。また、コンバージョン率、リード獲得率が高い広告がどれかを特定することで、広告運用の最適化につなげることができます。

HubSpotと各広告アカウントとの接続でできること

HubSpotを各広告アカウントを接続する

HubSpotのナレッジベースには以下のような記述があります。

Facebook広告、Google広告、およびLinkedIn広告アカウントをHubSpotに接続すると、広告パフォーマンスデータ(インプレッション数とクリック数など)が直ちにHubSpotと同期されます。広告ダッシュボードでは、接続した各広告アカウントのデータを分析し、各広告キャンペーンのパフォーマンスを掘り下げて調べることができます。

Facebook広告、Google広告、LinkedIn広告の成果を比較するだけならGoogleアナリティクスでも可能ですが、HubSpotでは、ライフサイクルステージすなわち、サブスクライバー、リード、MQL、SQL、取引、リード、商談あたりの広告費用を比較することができます。

参考:HubSpotナレッジベース|ライフサイクルステージを使用する

HubSpot上では、単なる広告管理画面上のコンバージョンだけでなく、広告が実際のビジネスの成果につながっているのかを確認できるということです。これにより、正確なROIに関するレポートが確認できます。

最も有望なオーディエンスに的を絞る

HubSpotのナレッジベースには以下のような記述があります。

広告最適化イベント、キャンペーン管理、類似オーディエンスといった機能を使用すると、オーディエンスを細かくセグメント化して、それぞれに合わせた広告を打つことができます。

それぞれの機能については後述しますが、HubSpot上で、それぞれの広告媒体の管理画面と同じようにキャンペーン、広告グループ、広告成果の確認ができます。

アトリビューションレポートの活用

また、アトリビューションレポートを使えば、顧客との最初の関わりから、購入・申し込みまでのどの段階において、広告が効果を発揮しているのかを把握できるようになります。メールやSNSなど、マーケティング活動の要素も組み合わせてアトリビューションレポートを確認できます。

見込み顧客に対して確実にアピール

HubSpotには、リードの同期、埋め込みワークフロー、オーディエンス動的リストなどの機能があります。

それぞれの機能については割愛しますが、広告経由で獲得したリードを自動でリスト化したり、営業担当者に割り振ったりすることが可能です。

HubSpotを使った広告キャンペーンの分析方法

HubSpotと、Google広告、Facebook広告、LinkedIn広告の広告アカウントを接続することで、インプレッション数やクリック数などのパフォーマンスデータをすぐに同期できます。

さらに、各広告の管理画面上からは確認不可能な、広告経由の顧客創出の状況を確認できます。例えば、Google広告から商談に至った顧客は何人いるのか、Google広告経由で総額いくらの契約や購買を発生させているのかを確認することができます。

HubSpotと広告アカウントの接続

Google広告

HubSpotとGoogle広告を接続するには、[設定]>[ツール]>[マーケティング]>[広告]を選択します。

HubSpotの広告設定

[アカウントを接続]より、Google広告を選択し、案内に沿って接続するアカウントを選択します。

HubSpot広告アカウントの接続

HubSpotで接続する広告ネットワークを選択

HubSpotで接続する広告アカウントを選択

Facebook広告

HubSpotとFacebook広告を接続するには、[設定]>[ツール]>[マーケティング]>[広告]を選択します。

HubSpotの広告設定

[アカウントを接続]より、Facebook広告を選択し、案内に沿って接続するアカウントを選択します。

HubSpot広告アカウントの接続

HubSpotで接続する広告アカウントを選択

これでアカウントの接続は完了です。

HubSpotでの広告キャンペーンのデータ表示方法

広告キャンペーンの成果は、[マーケティング]>[広告]から確認が可能です。

HubSpotのホーム画面

次に、左上にあるドロップダウンメニューから、希望するデータを抽出します。[アカウント]では、連携している広告アカウントを選択できます。[日付範囲]ではデータ表示する期間、[ステータス]では、表示したいキャンペーンの状態を選択可能です。

HubSpotの広告ダッシュボード

[アトリビューションレポート]では、HubSpotのアトリビューションモデルに基づき、どのような広告に関するデータを表示するかを選択することができます。

デフォルトでは、顧客をはじめてWebサイトに誘導した広告の成果を表示する、「最初のウェブセッション」が選択されています。

参考:HubSpotナレッジベース|HubSpotの広告アトリビューション

広告ダッシュボードのトップページでは、キャンペーン単位の様々なデータを表示可能です。[列を管理]をクリックすると、表示できる項目を7つまで選択可能です。また、広告キャンペーン全体のROIも表示されます。

HubSpotの広告ダッシュボードで確認できる指標

広告ダッシュボードで使用できる測定指標

広告ダッシュボードでは、多くの測定指標を使用可能です。どのような指標があるのか、順に確認していきます。

アカウント名

文字通り広告アカウントで使用するアカウント名です。

支出額

選択した日付範囲内における支出額の合計です。

キャンペーンタイプ

キャンペーンの作成中に選んだキャンペーンのタイプや目標を意味します。

クリックスルー率

「CTR」とも言って、広告を見た人のうちクリックしてくれた人がどの程度の割合なのかを示します。インプレッション数でクリック数を割った数字です。

クリック数

文字通りクリックされた合計回数です。選択した期間に応じて計算されます。

合計コンタクト数

選択した範囲の期間での各広告のコンタクト数の合計です。

コンタクト当たりのコスト

コンタクト数に対してどのぐらいコストがかかったかを示します。合計コンタクト数のところに表示されているコンタクト数で、プロモーション費とした使った金額を割った数値です。

ライフサイクルステージ当たりのコスト

ライフサイクルのステージごとにプロモーション費として使った金額をコンタクト数で割った数値です。

「MQL当たりのコスト」とは、ライフサイクルステージのうち、マーケティングに有望なリードと分類されるコンタクト数で算出されたコストです。また、「SQL当たりのコスト」というのは、セールスに有望なリードで算出したコストを意味します。

そのほか、「取引当たりのコスト」「リード当たりのコスト」「商談当たりのコスト」というのも、その名の通り、それぞれのライフサイクルステージが当該の段階にあるコンタクト数を、費やしたプロモーション費で割った数値のことです。これらはすべてhubspotが自動で計算します。

セッション当たりのコスト

これは、広告をクリックしてからサイトを訪問した人の数によってプロモーション費を割った数値です。

取引数

合計コンタクトの数列にある帰属コンタクトとして関連付けられている取引のうち、クローズ済みのものだけを示した数です。選ぶアトリビューションレポートにより、合計コンタクトの数は異なります。なお、この測定指標で取引をカウントできるようにするには、顧客のライフサイクルステージを、少なくとも1件以上のコンタクトに関連付けて設定しなければなりません。

エンゲージメント

指定した期間の範囲内におけるエンゲージメントの合計数です。どのようなアクションがエンゲージメントとして数えられるかはネットワークによっても違うのですが、「いいね!」やコメントなどのリアクション、シェアなどは、エンゲージメントにカウントされるでしょう。

インプレッション数

指定した範囲の期間内における広告の閲覧回数です。

ライフサイクルステージ

現時点のライフサイクルステージごとに区分されたコンタクトの合計数です。

「リード」とは、ライフサイクルの現ステージが「リード」という状態のコンタクトの数で、以降、同様に「マーケティング有望なリード」「セールス有望なリード」「商談」「カスタマー」も、ライフサイクルのステージが現在その状態にあるコンタクトの数を意味します。これらはすべて、hubspotによって自動的に算出される数値です。

いいね!

指定した範囲の期間内において「いいね!」された合計数のことです。

ROI

ROIとは、先ほども述べたように、投資した金額に対してどれだけリターンがあったかという収益率を意味します。なお、ここのROIを出すのにどんな計算が使われるかは、設定するオプションによって異なります。

取引からの収益

広告に関連付けられたhubspotでの取引の合計金額です。

ドリルダウンして広告単位の成果を確認する

広告ダッシュボードのトップページでは、キャンペーン単位の成果を確認できますが、特定のキャンペーンを選択することで、広告グループ(Facebookでは広告セット)単位の成果を確認可能です。

さらに広告グループからドリルダウンして、広告単位の成果も確認可能です。

キャンペーンを選択する

HubSpotのキャンペーン選択

広告グループの成果が表示される。広告グループを選択すると、広告ごとの指標が確認できる。

HubSpotの広告グループ選択

HubSpotの広告選択

広告最適化イベント

HubSpotで広告キャンペーンを管理するメリットは、正確なROIを算出できることだけではありません。コンバージョン地点をHubSpot上のライフサイクルステージに適応させることができます。単なるWebサイト上のフォーム入力数やページ遷移数ではなく、リード数や、商談数を最大化するように広告運用を最適化することができるということです。

Google広告の場合、HubSpot上から、コンバージョンアクションを追加し、そのコンバージョンをコンバージョン列に含めることでコンバージョンの計測が可能になります。

Facebook広告の場合、HubSpot上から、広告ネットワークでFacebookを選択しイベントを作成することで、ライフサイクルステージの変化をコンバージョンとして測定可能になります。

HubSpotでコンバージョンアクション

参考:HubSpotナレッジベース|Google広告アカウントまたはFacebook広告アカウントを使用して広告最適化イベントを作成し、同期する

類似オーディエンス

類似オーディエンスは、Facebook広告、LinkedIn広告で利用できるオーディエンスタイプの一つです。Webサイト訪問者、コンバージョンしている顧客、商談に進んでいる顧客などをオーディエンスとして作成します。

そして、そのオーディエンスと類似した性質を持つFacebook、LinkedInユーザーに対して広告配信ができるのが類似オーディエンスです。

HubSpotはこんな企業におすすめ

HubSpotの広告効果測定ツールについて、その概要と詳細を説明してきましたが、どのような企業なら、導入することによって大きなメリットを享受することができるのでしょうか。

あらゆる規模の企業にとってHubSpotは有用ですが、特に推奨されるのは、マーケティングオートメーション(MA)ツール自体の導入が初めてという企業でしょう。今では数多くのMAツールが市場を賑わせていますが、導入からシステムの連携まで、ある程度の知識とスキルが求められるものもあります。その点、HubSpotでは特別な知識は必要ない上、導入支援の手厚いサービスも提供されているのでおすすめです。

また、HubSpotには有料プランがありますが、使用したい機能の種類に応じてプランが選べるのもお得な点です。「MAツールがどんなものか試したい」という企業なら、とりあえず無料版を使ってみて、使い勝手を確かめてみましょう。それから、予算とニーズに合わせて、有料プランのなかから最適なプランを選ぶのがよいのではないでしょうか。費用をかけることなく導入できて、しかも、手厚いサポートがあるということを考えると、HubSpotは中小企業でも導入しやすいMAツールと言えます。

人手が不足している企業にも、HubSpotはおすすめです。さまざまなシステムと簡単に連携できるため、少ない人数で膨大な情報を管理できるようになります。しかも、それらの情報は一元管理により一目で把握できる仕組みですから、人的リソースが乏しい企業ほど恩恵を蒙ることができるでしょう。スピーディーなアクションが可能になるため、一人一人にかかる負担を軽減できるだけでなく、ターゲットに向けた的確なプロモーションを打ち出すことができ、結果的に顧客満足度の向上にもつながるはずです。