HubSpotのプランの内容を知っておこう

松葉駿平

インバウンド型のマーケティングソフトとしてサービスが提供されているHubSpotには、さまざまなツール、機能が豊富に取り揃えられており、マーケティングからカスタマーサービスまで幅広い用途で役立てることができます。このソフト/プラットフォームにはいくつかのプランが用意されており、利用の際にはどのプランを選ぶかによって利用できるサービスの内容に差が出てきます。しかもそのプランが少々わかりづらい面があるのです。

まず知っておく必要があるのは、HubSpotには複数のソフトが用意されている点です。「Marketing hub」「Sales hub」「Service hub」「CMS hub」の4種類です。そのどれを利用するかによって、利用できる機能の範囲はもちろん、料金にも差が出てくる場合があります。

さらに、利用できる機能やサービスの範囲によって3種類のプランも用意されています。もっとも基本的なプランとなる「Starter」を筆頭に、「Professional」「Enterprese」です。そして、「Professional」「Enterprise」に関しては、どのソフトを使用するかによって料金に違いが出てきます。

ですから、どのプランでどのソフトを使うか、事前によく検討した上でHubSpotの導入を図る必要が出てきます。

もう一つ、重要なポイントとして踏まえておきたいのが無料で利用できる「HubSpot CRM」というサービスもある点です。このサービスだけを利用するなら、費用をかけることなくこのソフトをマーケティングに利用できます。

このように内容がわかりづらい面があるだけに、それぞれの機能やメリット、どんな人に向いているのかといった点をよく踏まえた上で、比較検討していく必要が出てきます。

無料のHubSpot CRMをチェック!

やはり気になるのが、完全無料で利用できる「CRM」の機能です。有料サービスが基本のソフトにおける無料サービスですが、当然、利用できる機能は有料のそれと比べて制限されています。それでもかなり広い範囲での利用が可能です。

例えば、顧客情報の収集ができます。顧客に回答してほしい質問をサイト内に配置した上で、回答してもらった内容を顧客データベースに自動保存することができる「フォーム」、サンキューメッセージやコールアウトなどをサイト内の任意のページに表示設定をすることが可能です。サイトにアクセスした利用者が鬱陶しく感じないよう配慮した上で、さまざまな情報を提供・入手できる環境を作っていくことができます。

サイトへの訪問者への対応、コミュニケーションに役立つ「ウェブチャット」「チャットボット」の導入も可能です。しかも、専門的な知識がなくても作成・導入しやすい「ライブチャットツール」が搭載されています。チャットボットでは、あらかじめ用意された質問事項を利用者が答えていくことで、その人が見込み客になってくれるかどうかを見極めて、担当者に振り分ける機能も付いています。

それから、収集した顧客情報を管理する機能です。顧客がコンテンツをいつ利用・操作したのかを簡単にチェックすることができる「アクティビティフィード」、これはeメールの開封からミーティングの予約まで、さまざまな動向をすぐにチェックすることができます。メールの返信、ドキュメントの作成など、迅速な対応を行うことでスムーズな顧客対応に役立ちます。

さらに、顧客との綿密なコミュニケーションを可能にするさまざまな機能があります。GmailやOutlookとの連携が可能なほか、eメールトラッキング、eメールのテンプレートなどの機能も用意されています。eメールの開封や添付したドキュメントのダウンロードが行われると通知が届く機能も利用できるので、メルマガの開封率や添付ファイルがどれだけ実際に活用されているかを確認しつつ、より効果的な情報提供に役立てていくことができるでしょう。

SNSを活用したマーケティングに役立つプランも用意されています。FacebookとInstagramに、見込み客の獲得を目指すリード獲得広告を表示し、サイトだけでなく、SNSを通して見込み客の獲得や顧客情報の入手が可能になります。

マーケティングや顧客のサポートにおいては、チーム全体でうまく機能させた上でのきめ細かなサービスの提供も重要になってきます。また、それはチームのスタッフ全員が同等のサービスを提供できる環境づくりとも関わってくるでしょう。あるスタッフはきめ細かなサポートができるのに、他のスタッフはレスポンスが遅い、細かい点に気が付かないといった問題を抱えているようでは、サイト・会社全体の満足度・ブランドイメージの向上は難しいものです。

CRMでは、そんなチーム全体で効率よく質の高いサポートを提供するための機能も用意されています。顧客からの問い合わせをチーム全体のeメールに接続したり、eメールだけでなくFacebookのメッセージなども利用して対応できたり、といったコミュニケーションの受信トレイ機能が搭載されています。後述しますが、これはプランの種類によって利用できる受信トレイの件数が異なるので、比較検討の際の重要なポイントにもなるでしょう。

それから、チケット機能の利用もできます。これは、顧客からの問い合わせに対してチーム全体で一括管理した上で対応できる機能です。問い合わせの内容に応じて優先順位をつけて整理し、適切な担当者に割り当てることができるのがポイントです。誰が、どのような形で対応すればよいのかをあらかじめ振り分けておくことで、時間と手間のロスを避け、最適な人材が最適な対応ができる環境づくりに役立つでしょう。

有料プランとの比較

こうして見ても、無料のCRMのプランだけでも実に多彩な機能が用意されていることがわかります。場合によっては「無料でも十分」というケースも出てくるかも知れません。一方で、有料プランからHubSpotのメリットが十分に発揮される面もあるだけに、やはりこちらもチェックしておく必要がありそうです。

有料の内容に関してはこれまで挙げてきた無料の機能に追加する形となっており、どれだけ追加されるかで「Starter」「Professional」「Enterprise」の違いが出てきます。どれだけプラスアルファがあり、それにより発生する料金の負担に対してメリットが大きいのかどうかをよくチェックした上で、判断することが求められるでしょう。

もっとも安価で利用できる「Starter」は名前の通り、初めてこのソフトを試してみる方に適した内容になっており、料金も手頃な範囲で導入できます。

無料の機能と比較して異なる点は、ランディングページの設定が可能になるほか、広告管理に役立つ機能も付きます。さらに、先述したウェブチャットやチャットボット、フォームの機能も便利になり、サイトを訪れた人に興味を持ってもらい、見込み客になってくれるためのマーケティングを行いやすくなります。

さらに見込み客の好みや動向をチェックし、よりピンポイントでのアプローチを可能にする機能もプラスされます。例えば、訪問者のWebサイトアクティビティの把握、eメールの健全性インサイト、リストのセグメント化などです。

その上で獲得した見込み客と信頼関係を築き、長期的な付き合いができるための機能も用意されています。eメールを活用したマーケティング機能の強化、リターゲティング広告、フォームフォローアップeメールなどです。メールを活用した見込み客や顧客とのコミュニケーションに関して、さらに一歩踏み込んだ上で行うことができるようになります。

この「Starter」に対して、さらに本格的なインバウンド型マーケティングに活用できる機能を充実させているのが「Professional」です。無料機能と「Starter」の機能に、さらにさまざまな機能が追加されています。

特に目立つのが、マーケティグの自動化を実現する機能です。スタッフの負担を減らしつつ、効率よくマーケティングを行うための機能が取り揃えられています。多言語コンテンツに魅力を感じる人は多いのではないでしょうか。海外進出を念頭に入れている企業やプロジェクトにとって多言語化は必須のものですが、対応できるスタッフを確保するのが難しい面もあります。そんな時に、この多言語コンテンツが役立つでしょう。さらにマーケティングオートメーション、スマートコンテンツとレポートなども自動化できるほか、会社と顧客のスコアリングも行ってくれるので、その時々のマーケティングの効果や状況、信頼関係のレベルなどを可視化した上で、よりよいマーケティングの構築に役立てることができます。

SEO対策とも関連した検索順位の向上を目指す機能も用意されています。SEOに関するアドバイスを利用できるほか、ソーシャルメディアを活用したマーケティング機能の強化やブログの活用などで、サイトがより多くの人の目に触れる環境づくりが可能です。

そして、実際の売上アップの実現に欠かせないのはコンバージョン率の向上・最適化を目指した機能です。無駄のない広告展開を行うための広告最適化イベント、動画のホスティング&管理、さらにABMツールやA/Bテストなどの機能も盛り込まれています。

もう一つ見逃せないのがカスタムレポートに関連した機能です。カスタムレポートに加えて、キャンペーンレポート、計算プロパティ、Webサイトのトラフィック分析などが利用できます。

このように非常に充実した機能を備えた「Professional」ですが、さらに上を行く機能を取り揃えているのが「Enterprise」です。このプランではスタッフ全員が使いやすく、情報を共有した上でのマーケティングを可能にするための機能が充実しています。

チーム&ブランドの設定管理のためのパーティション化、チームの階層化、eメール送信フリークエンシーキャップといった機能に加えて、シングルサインオン、ユーザーロール、フィールドレベル権限なども付与することで、安全かつ効率の良い作業の実現をサポートしてくれます。

より高度なレポートの作成を実現する機能も用意されています。例えば、予測リードスコアリング、行動イベントトリガーとレポート、マルチタッチ収益アトリビューションなどです。これらの機能を通して、高度なレポートを出力し、状況分析や改善に役立てていくことができるでしょう。

ほかにも、基本的なHubSpotとの機能を拡張するための適応型テスト、プログラミングが可能なチャットボット、カスタムオブジェクトなどの機能もあります。これらを使いこなすにはある程度専門的な知識・スキルが必要になる部分もありますが、有効に活用することでワンランク上のWebマーケティングを目指せるようになるでしょう。

それぞれ利用できる機能の容量にも違いがあります。例えばeメールマーケティング機能には制限が設けられ、無料版では1ヶ月のメール送信件数が2000件まで、「Starter」では顧客数の5倍までです。「Professional」では顧客数の10倍まで、その他にも追加機能が利用できます。「Enterprise」では顧客数の20倍までで、こちらも追加機能が利用できます。

チャットボットやランディングページに関しては、CRMと「Starter」では制限付きでの機能が利用できるのに対して、「Professional」「Enterprise」では制限がなく、追加機能が利用できます。顧客とのコミュニケーション受信トレイに関しては、CRMと「Starter」では1件の受信トレイが利用できるのみなのに対して、「Professional」と「Enterprise」では100件の受信トレイが利用できるなど、非常に大きな差が設けられています。これらの違いは実際に使ってみないとわからない面がありますが、利用していく過程で利便性や業務効率に大きな差となって現れることもあるので、できるだけ把握した上で判断したいところです。

最後に、各ソフトの内容・特徴についても見ておきましょう。「Starter」ではどのソフトも料金は同じですが、ほかの2つでは料金が異なるので、必要かどうかの見極めも大事だからです。

「Marketing hub」は、その名前の通りマーケティング、とりわけ新規顧客を獲得するために役立つソフト・ツールとなっているのが特徴です。マーケティング部門を強化したい企業に向いているでしょう。HubSpotそのものがマーケティングをメインにしたプラットフォームなので、これがもっとも基本的なソフトとも言えそうです。

それから、「Sales hub」はマーケティング業の効率化を図るのに役立つソフトです。「Service hub」は見込み客とのコミュニケーション・コンタクトをスムーズに行い、顧客満足度のアップや信頼関係の構築に役立ちます。

パッと見は少々わかりづらい面もあるHubSpotのプランですが、まず有料/無料があること、有料には3つのプランが用意されていることを踏まえ、それぞれの内容をチェックしましょう。「どこまで目指すか」によって選ぶポイントが異なってきます。安い方がよい、あるいは高い方が充実しているとは必ずしも言えない面もあるので、よく比較検討した上で判断したいところです。

趣味は茶道と料理。

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