2026年5月、Googleの年次イベント「Google Marketing Live 2026(GML2026)」が開催されました。今回の発表を一言で要約すると、「広告運用は、人がGUIで操作するものではなくなる」——これに尽きます。
検索はキーワード入力から「AIとの対話」へ。ショッピングはサイトを跨いだシームレスな購買体験へ。レポート分析はマーケターの仕事から、AIエージェントの仕事へ。すべてが「AIエージェントの時代」と「統合性」というキーワードに集約されていきます。
本記事では、GML2026で発表された主要トピックを整理しつつ、現場で広告運用を支援してきた立場から「日本企業がいま何に備えるべきか」を読み解きます。単なる新機能の紹介ではなく、経営判断にどう接続するかまで踏み込んで解説します。
この記事の3つのポイント
- AI Modeへの対応は、配信戦略の前提が変わるレベルの変化。手動運用への固執は機会損失どころか撤退戦になる
- ファーストパーティデータの統合は、マーケ部門だけの話ではなく、情シス・経営層を巻き込むDXテーマへと格上げされた
- マーケターの仕事は「運用」から「問いを立てる」へ。AI時代の組織設計を今日から始める必要がある
1. Search(検索)の進化:AI Modeが広告の「あり方」を根本から変える
現在のユーザーの検索行動は、単なる「キーワードの入力」から、「AIとの対話(AI Mode)」へと大きくシフトしています。GML2026の発表によれば、AI Modeを利用する消費者の75%が「より迅速に、そして確信を持って意思決定ができるようになった」と回答しています(出典:Google Marketing Live 2026・2026年5月)。ユーザーは、より長く複雑な文章で、具体的な条件を指定して検索を行うようになっているのです。
このような変化を受け、Googleは「広告もまた、ユーザーに対する最良の答え(Answer)でなければならない」とし、AI Modeに特化した新時代の広告フォーマットを次々と発表しました。
対話の中で自然に製品を提案する「会話型ディスカバリー広告(Conversational Discovery ads)」
ユーザーの特定の質問やニッチな悩みに対して、広告内で対話形式の回答を提供する新しいフォーマットです。たとえば、「自宅を高級スパや雨上がりの森のような香りにしたい。手入れが簡単で、部屋全体をいい香りにできる方法はある?」といった長くて複雑な検索に対し、Geminiがインサイトを活用して広告を生成します。スマートディフューザーの広告が表示され、ユーザーの質問にピンポイントで答える形で製品の機能やメリットがハイライトされます。

現場視点|日本市場で何が起きるか
このフォーマット、英語圏では数ヶ月先行して提供開始される見込みです。日本市場でのリリースまでに3〜6ヶ月のラグが発生するのが通例ですが、その「待ち時間」こそが準備期間です。具体的には、自社の商品・サービスについて「ユーザーが長く複雑な質問をした時に、AIがどう答えてほしいか」という想定問答集を、いま社内で整理しておく必要があります。これがそのまま、後述する「AI Brief」の元データになります。弊社の支援先では、商品担当・カスタマーサポート・営業の各部門から「お客様からよく受ける質問とその回答」を吸い上げる作業を先行して始めています。AI広告時代の競争優位は、こうした答えの蓄積から生まれます。
シームレスな選択肢の提示「ハイライトされた回答(Highlighted Answers)」
AI Modeにおける検索結果において、AIが生成した回答の中に、おすすめリストとして自然な形で組み込まれる新しい広告フォーマットです。オーガニックの回答と同等に有益な情報としてブランドが提示されるため、ユーザーの購買行動をスムーズに後押しします。「語学学習アプリ」を探しているユーザーには、下記のような形で表示されます。

これまでの検索広告のように「広告枠」として分離されるのではなく、AIの推薦リストの一部として自然に埋め込まれる点が、従来の広告体験との大きな違いです。広告であることを明示しつつも、ユーザーの体験を阻害しない設計に進化しています。
理由まで説明してくれる「AI-powered ショッピング広告」
冷蔵庫やテレビ、あるいはエスプレッソマシンのようなこだわりの製品を探している時、ユーザーはどの製品が良いか迷いがちです。AI-Powered ショッピング広告では、ユーザーの複雑な検索ニーズに合わせてGeminiが最適な商品をピックアップし、「なぜこの商品があなたにおすすめなのか」を説明する解説文を自動で生成してくれる機能です。

POINT|商品データの整備が新たな勝負どころに
「なぜこの商品があなたにおすすめなのか」という解説文をAIが生成するためには、Merchant Centerに登録された商品データの精度・粒度が決定的に重要になります。商品名・スペック・特徴・利用シーンといった属性情報を、AIが解釈できる形で整理できているかどうか。これが今後のショッピング広告のパフォーマンスを左右します。「とりあえずGTINと商品名だけ入れている」状態では、もう戦えません。
「ダイレクトオファー」と、ブランドを制御する「AI Brief」
Chewy、Gap、L’Orealなどが先行して利用していた「ダイレクトオファー」が拡大され、AI Modeでの会話の中に「セット販売の割引」などのプロモーションを柔軟に組み込めるようになります。また、AIによる自動生成がブランドガイドラインから逸脱しないよう、マーケターが自然言語でAIに指示を出して出力のガードレールを設定できる「AI Brief(AIブリーフ)」機能も実装されます。

経営視点で読み解く|AI Briefは「ブランド言語化」のプロジェクト
「AI Brief」は技術的には自然言語によるガードレール設定機能ですが、本質的には「ブランドガイドラインを言語化する作業」です。今までデザイナーや広報が暗黙知として持っていた「うちのブランドはこういう言葉を使わない」「こういうトーンで話す」を、AIが理解できる形で明文化する必要が出てきます。これは経営層が主導すべき仕事です。代理店任せにすると、ブランドの輪郭がぼやけていきます。
広告内でリード獲得まで完結「ビジネスエージェント(Business Agent for Leads)」
広告内にAIエージェントを直接組み込み、ユーザーからの質問へその場で対話形式にて回答できる新機能です。たとえば、ビジネススクールを調べているユーザーが広告をクリックすると、従来のランディングページからフォームに入力させるのではなく、広告内のチャットで「AIはどう授業に活用されている?」といった質問ができます。エージェントはWebサイトのデータに基づいて即座に回答し、そのままシームレスにフォーム送信まで誘導できるため、ユーザーを質の高いリードへと転換させることが可能です。

現場視点|BtoBリード獲得のゲームチェンジャー
これはBtoBマーケティングにとって特に大きなインパクトを持つ機能です。従来、リード獲得の鬼門は「ランディングページからフォーム入力までの離脱」でした。Business Agent for Leadsは、このプロセスを広告枠内で完結させてしまいます。一方で、エージェントが回答する元データ=自社サイトの情報設計の質が、そのままリード獲得の質を決める時代になります。FAQページ・サービス詳細ページ・料金ページの構造化が、これまで以上に重要な経営課題に格上げされます。
【広告運用ポイント】 AI MAX&P-MAXの活用
新たな検索枠(AI Modeなど)に広告を掲載し、上記のような魅力的な新フォーマットを活用するには、「AI Max for Search」「AI Max for Shopping campaigns」または「P-MAX(Performance Max)」の導入が必須条件となります。手動運用キャンペーンに固執していると、配信機会そのものが構造的に失われていくフェーズに入りました。
AI時代のSEOベストプラクティス
AIエージェントがユーザーに代わって情報を探し、購買を代行する時代において、WebサイトのSEO戦略もアップデートが必要です。Googleは以下の3点を推奨しています。
- Unique(独自性):どこにでもある情報ではなく、自社だからこそ語れる具体的なコンテンツを提供する。
- Helpful(有益性):ボットのためではなく、顧客にとって「最も役立つ」コンテンツに焦点を当てる。
- Agent-Ready(エージェント対応):構造化データを整備し、正確なデータフィードを維持することで、人間だけでなく「AIエージェント」にも理解しやすいサイトにする。
現場視点|これまでの支援で見てきた失敗パターン
「とりあえずブログ記事を量産すればAIに拾われるだろう」という発想は、2026年時点ですでに通用しません。AIエージェントは、文章量ではなく「構造化された一次情報の密度」を評価します。具体的には、自社独自の調査データ・統計、顧客の実名インタビュー(成功事例)、業界経験者の固有の見解。これらを構造化データ(Schema.org)で適切にマークアップすること。逆に「AI生成記事を大量投下」する戦略は、AIに見破られて評価が下がる可能性が高い。これは現場の実感としても、すでに兆候が出始めています。
2. Agentic Commerce(コマース):シームレスな購買体験の実現
コマース領域において今回のGML最大の目玉となったのが、「Universal Commerce Protocol(UCP)」の本格導入です。UCPとは、ユーザーがAIを通じて商品を発見してから決済を完了するまでの一連の購買行動を、プラットフォームの壁を越えて摩擦なく行えるようにするための新たな通信規格です。
どこからでもカートに追加「Universal Cart(ユニバーサルカート)」
ユーザーは、Google検索のAI Mode、Geminiアプリ、YouTube、さらにはGmailを見ながらでも、気になった商品を「ユニバーサルカート」に追加できます。このカートは価格変動や再入荷をトラッキングし、準備ができればユーザーはGoogle Payなどでわずか数タップで決済を完了できます。

広告から直接購入できる「ネイティブチェックアウト」
UCPを統合した小売業者は、Google 広告の「ダイレクトオファー」から、ユーザーが直接割引を適用して決済できるネイティブチェックアウト機能を利用できます。また、旅行(Booking.comやExpediaなど)や、地域のフードデリバリーといった新しい領域にもこのUCPが拡大され、検索結果からダイレクトに予約や注文が完了するようになります。
現場視点|日本企業への警鐘
UCPは、北米・欧州市場では2026年中に主要小売業者が対応を完了する見込みです。一方、日本ではEC事業者の対応が3〜5年遅れる可能性があります。理由は2つ。① 楽天・Yahoo!ショッピング・Amazon Japanという独自のプラットフォーム勢力が強い ② ファーストパーティデータの統合が物理的に進んでいない企業が圧倒的多数。この「遅れ」は、海外資本のD2CブランドやグローバルEC(Shopify Plus上の小売)が日本市場でシェアを奪うチャンスを意味します。逆に言えば、日本の自社EC事業者がUCP対応を先行すれば、価格競争から脱却し、検索体験そのものでブランドを差別化できる時期でもあります。
3. YouTube:フルファネルマーケティングの「最強」プラットフォーム
「ブランディングか、パフォーマンス(獲得)か」。これまでのマーケターを悩ませてきた二者択一は、YouTubeの「デマンドジェネレーション(Demand Gen)キャンペーン」の進化により過去のものになろうとしています。
独自のオーディエンスと圧倒的なアテンション
YouTubeは他ではリーチできない独自のユーザー層を抱えています。例えば、YouTube Shortsを日常的に見ているユーザーのうち、45%はTikTokを、65%はReelsを利用していないという、他プラットフォームとの明確なユーザー層の違いが示されています。
ユーザーは受動的にフィードをスクロールするだけでなく、目的を持って動画を視聴するため、広告への注目度が非常に高く、購買決定に強力な影響を与えます。
デマンドジェネレーションキャンペーンの拡張
Google マップへの配信:Google マップの広告枠にもデマンドジェネレーション広告が配信可能になり、店舗周辺を検索している購買意欲の高いユーザーにアプローチできます。

チェックアウトリンクとプロダクトフィードの拡大:YouTubeの動画広告に「Shop Now」ボタンがつき、動画から直接チェックアウト画面へ移行できる機能が拡大します。

クリエイター動画のブースト:キャンペーン設定画面から、自社ブランドを起用したクリエイターの動画を簡単に見つけ、広告としてブーストできるようになり、さらなるコンバージョン向上を狙えます。
経営層を納得させる、新たな「測定」のアプローチ
YouTube広告の真の価値は、短期的な「クリック」だけでは測れません。デマンドジェネレーションキャンペーンから発生するコンバージョンのうち、最初の30日間で発生するのは全体の40%にすぎず、その後も長期的に価値を生み出し続けることが分かっています。Googleは、5秒以上の動画視聴を起点とした「エンゲージビュー・コンバージョン」や、複数チャネルの貢献度を可視化する「キャンペーンタイプ・アトリビューション」を提供することで、マーケターがCFOに対して「広告費はコストではなく、長期的な成長への投資である」と証明できるよう後押ししています。
経営視点で読み解く|「経営層への説明問題」を構造的に解決する指標群
「広告費はコストではなく投資である」と経営層を説得するのが、日本のマーケ部長の最大の悩みです。エンゲージビュー・コンバージョンやキャンペーンタイプ・アトリビューションの登場は、この「経営層への説明問題」を構造的に解決してくれる可能性があります。ただし注意点が1つ。これらの指標は「Google Adsの中だけ」で完結します。他媒体(Meta・LINE・TikTok)と統合的に見る場合は、依然としてMMM(マーケティングミックスモデリング)が必要です。弊社では、Looker StudioでGoogle Ads × Metaなど他広告を統合したダッシュボードを構築し、経営陣に報告できる形にしています。ここまでやって初めて、AI時代の「投資判断」が可能になります。
4. Creative(クリエイティブ):Asset Studioがクリエイティブ制作のハブへ
AIが広告運用を強力にバックアップするインフラ機能も劇的に進化しています。その中心となるのが、Google 広告のクリエイティブ制作の拠点となる「Asset Studio」です。

Asset Studioには、最新のマルチモーダルモデルである「Gemini Omni」が統合され、自然言語によるプロンプト入力だけで、ブランドのトーンに合った魅力的な画像や動画を瞬時に生成できます。さらに、AdobeやCanvaといった外部ツールともシームレスに連携でき、それらのツールで制作したアセットをワンクリックでAsset Studioのライブラリに取り込むことが可能になりました。
作成したアセットは、ワンクリックで「A/Bテスト(AB Asset Experiments)」にかけることができます。これにより、「なんとなくクリック率が低い」といった表面的なデータだけでなく、「どのアセットが真にコンバージョンの純増(インクリメンタル効果)をもたらしているのか」を正確に検証し、継続的な改善を回すことができます。
現場視点|陥りがちな誤解
「AIで動画も画像もタダ同然で量産できる時代になった」——これは半分正解で、半分誤解です。確かに制作コストは下がります。ただし「素材として使えるレベルのアウトプット」を得るためには、プロンプト設計とブランドガイドラインの言語化が前提です。加えて、生成AIの素材だけで構成された広告は、すでに視聴者から「AIっぽい広告」として識別され始めており、クリック率の低下が起きるケースも出てきています。クリエイティブの真の競争領域は、「AIに何を作らせるか」を決めるクリエイティブディレクター能力です。現場では、デザイナーの仕事がAIプロンプト設計者へとシフトしている兆候があります。
5. Data and Measurement(データと計測):基盤統合とAsk Advisor
AIのパフォーマンスを最大化するための唯一の「燃料」、それは「Data Strength(データの強さ)」です。
Data Manager APIによるデータ統合と新たな指標
ユーザーのプライバシー保護が強化され、サードパーティークッキーが廃止へと向かう中、分断されたデータを一つにまとめることが不可欠です。Googleの「Data Manager API」は、業界標準であるIAB Tech Labの「ECAPI」仕様に準拠しており、ファーストパーティデータを安全かつシームレスにGoogle 広告へと統合できます。実際に自社のファーストパーティデータをP-MAXに連携したDr. Martens(ドクターマーチン)の事例では、収益が16%増加した実績が報告されています。
さらに、広告効果を測る新たな重要指標が2つ追加されました。
- Attributed Brand Searches (ABS):ユーザーが広告を見た後、ブランド名や製品名で検索したという「直接的な意図の喚起」を短期的に測定する指標です。
- Qualified Future Conversions (QFC):動画の視聴やサイト訪問といったシグナルから、最大6カ月先までの長期的なコンバージョン価値を予測する画期的な指標です。

経営課題としてのデータ統合
「ファーストパーティデータの統合が重要」——この言葉、過去5年で何度聞きましたか。GML2026を機に、これがついに「やるかやらないかの選択肢」ではなく、「やらないと広告配信のパフォーマンスが構造的に劣化する」というレベルに切り替わったと考えてください。具体的に必要な動きは、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の導入または再設計、CRM(HubSpotなど)とMerchant Center・Google Adsの統合、オフライン売上データのアップロードフロー整備、プライバシー対応(同意管理・データ保持ポリシー)。これらは「代理店に丸投げ」で進む話ではありません。情シス・法務・経営層を含むDXプロジェクトとして組成する必要があります。
プラットフォームを横断する相棒「Ask Advisor」
そして、これらすべての運用を圧倒的に効率化するのが、対話型AIアシスタントの「Ask Advisor」です。Google 広告、Google アナリティクス、Merchant Centerなどの境界を越えて機能し、マーケターが「次の四半期の予算配分はどうすべき?」「新規顧客向けのキャンペーンを作って」と自然言語で指示するだけで、データに基づくインサイトの抽出から、実際のキャンペーン構築、さらにはアプリのディープリンク設定まで、面倒な実務作業を一手に引き受けてくれます。

Ask Advisor時代に代理店の存在意義はあるのか
正直に言えば、Ask Advisorのような対話型AIアシスタントが進化すれば、「日々の運用調整」だけを行う代理店の存在意義は希薄になります。しかし、代理店の本当の価値は別のところにあります。「次の四半期、何にいくら投資すべきか」という経営判断への併走、自社では出せないベンチマーク(業界横並びデータ)の提供、失敗を構造化して資産化する組織知の蓄積、経営層・マーケ部長・現場の3層を同時に支援する翻訳力。私たちデジマールは、「(運用型の)広告代理店」から「マーケティングパートナー」へと役割を進化させていく必要があると再認識しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. GML2026の発表で、日本企業がまず最初に何に着手すべきですか?
最優先で取り組むべきは「自社サイトの情報設計の整備」と「ファーストパーティデータの統合」です。AI Mode・Business Agent for Leads・Ask Advisorといった新機能は、いずれも『AIが参照する元データの質』に大きく依存します。サイト内のFAQページ・サービス詳細ページ・料金ページを構造的に整え、CRM・MA・Web解析のデータを統合する基盤づくりが、AI時代の競争優位の出発点になります。
Q2. AI Modeに対応するために、既存のSEO施策は無駄になりますか?
無駄にはなりません。Google公式は「生成AI機能の根幹は従来の検索ランキング・品質システムに根ざしている」と明言しており、E-E-A-T・独自性のあるコンテンツ・適切な構造化データといったSEOの基本はAI Mode時代でも引き続き有効です。むしろ、AIが引用元として参照するのは「良質なコンテンツ」であるため、SEO投資の戦略的価値はこれまで以上に高まります。
Q3. AI MAXやP-MAXに完全に任せると、運用ノウハウが社内に蓄積されなくなりませんか?
現場の懸念として非常に重要な論点です。AIに運用を委ねるほど、人間に求められる役割は『AIに何を学習させるか』『AIの判断をどう評価するか』『どこに介入すべきか』を設計する力にシフトします。これらはむしろ高度なノウハウであり、社内に蓄積されるべき新しい知見です。日々の入札調整スキルは陳腐化しますが、AIの設計力・評価力・介入力は新しい競争領域として残ります。
Q4. ファーストパーティデータの統合は、マーケ部門だけで進められますか?
難しいケースが多いです。CRM・基幹システム・Web解析・広告データを統合するには、情シス・営業・経営層を巻き込んだ全社横断のプロジェクトになります。Data Manager APIやCDPの導入は技術的には可能でも、社内の組織横断の合意形成が最大のボトルネックになります。マーケ部門が単独で進めるのではなく、経営層を巻き込んだDXプロジェクトとして位置づけることが成功の鍵です。
Q5. Ask Advisorが進化したら、広告代理店は不要になりますか?
日々の運用調整だけに価値の重心を置いている代理店の存在意義は希薄になっていきます。一方で、経営判断への併走、業界ベンチマークの提供、失敗事例の構造化と組織知の蓄積、経営層・マーケ部長・現場の3層を翻訳する役割は、むしろAIの進化とともに価値が高まります。代理店との関係を『運用代行』ではなく『マーケティングパートナー』として再定義することが、これからの企業にとって重要な選択になります。
Q6. GML2026で発表された機能の日本での提供開始時期はいつ頃ですか?
機能ごとに異なりますが、英語圏で先行提供され、日本市場への展開には3〜6ヶ月のラグが発生するのが通例です。AI Mode関連機能は2026年下半期から段階的に、Business Agent for LeadsやAsk Advisorの本格展開はさらにその先になる見込みです。ラグの期間は『準備期間』と捉え、想定問答集の整理・サイト情報設計の見直し・データ統合の基盤づくりを進めておくことで、ローンチ時にスムーズに対応できます。
まとめ:「マーケターという職種」が再定義される
GML2026のアップデートを一通り見終えて、私たちが最も強く感じたこと——それは、「マーケターという職種そのものが再定義される」ということです。
これまでマーケターの業務の中には、入札調整、レポート作成、クリエイティブ制作の指示出し、ターゲティング設定といった広告運用の実務領域が大きな比重を占めていました。しかし、これらはすべてAIエージェントが代行できる時代になります。マーケターの仕事はもっと広く、戦略・ブランド・経営との接続まで含む役割へと再定義されていきます。
では、人間のマーケターに残される仕事は何か。私たちは3つあると考えています。
1. 「問いを設計する力」
AIに何を聞くかで、出てくる答えは天と地ほど変わります。「CPAを下げて」と聞く人と、「来期のLTV最大化のために、今月どこに投資配分すべきか」と聞く人。出てくる戦略の質はまったく違います。
2. 「ブランドを言語化する力」
AI Briefの登場が象徴するように、ブランドガイドラインを自然言語で表現できる人材が組織の競争優位を作ります。これはコピーライター的素養とも違う、新しいスキルです。
3. 「経営側とAIの間で翻訳をする力」
AIが提案する戦略を、経営層が理解できる言葉で説明し、投資判断を引き出す力。逆に、経営の意思をAIが実行できる形に落とし込む力。この双方向の翻訳力こそ、AI時代に人間のマーケターが磨き続けるべき中核スキルです。
私たちデジマールは、これまでの運用支援を通じて、「広告運用代行会社」から「企業のマーケティング機能を拡張するパートナー」へと事業を進化させてきました。GML2026のアップデートは、私たちにとっても挑戦です。そして、お客様にとっても、組織のあり方を問い直す機会です。
「うちはAI Modeへの対応、本当に大丈夫なのか」「ファーストパーティデータの統合、何から手を付ければいいかわからない」「経営層にAI時代の広告投資をどう説明すればいいか」。そんなお悩みがあれば、ぜひ一度お話しさせてください。御社のマーケティング機能の拡張を、ともに前進させるパートナーとして、全力で伴走します。
参考1:Google Marketing Live 2026
参考2:Accelerate with Google
