ビジネスの世界では、「AI」「機械学習」といった言葉が頻繫に聞かれます。デジタルマーケティングにもいろいろな形で、これらは入ってきています。アクセス解析の定番ツール、Googleアナリティクスでも「インサイト」という機能が稼働を始めています。この記事では、このインサイト機能について紹介していきます。
1 インサイトとは
「インサイト」は、Googleアナリティクスの管理画面にアクセスした際に表示されるダッシュボード(複数のレポートが一覧になった画面)の、右上に表示されています。
かなり小さなボタンなので、見落としてしまいそうですね。これをクリックすると、解析をしているWebサイトやアプリに関して注目すべき情報が出てきます。
上の方に「Analytics Intelligence」という記載がありますが、インサイトはこのAnalytics Intelligenceの一機能です。Analytics IntelligenceはGoogleの機械学習により、データ分析をより深掘り、簡略化できる機能です。
Webサイトのインサイトは今のところ、気になる情報がピックアップされるまでです。ただしGoogleアナリティクスのスマホアプリでは、利用者から質問を投げ、その答えが返ってくるという対話型の機能も付いています(英語のみ)。
2 どれくらい役に立つ?
さてこうした機能は、「どれぐらいの精度なのか」が気になるところですね。
実際にインサイトに表示された内容の一部を、ピックアップしてみましょう。
・成果は前週に比べて上がっています。
・画面サイズ〇〇での成果は、平均より低いです。
・今月のユーザー数は過去最高でした。
実際に出てくる表現は英語からの直訳のようになっているため、すぐにピンとこなかったり、どうしてこんな指摘があがってきているのか首を傾げるものもあります。
ただこれらのコメントをクリックすると、詳細や関係するデータが表示されるので、中身を見て「なるほど」と感じるものもあります。
先ほど例としてあげたものは比較的単純な内容でしたが、自分で各レポートをきちんと見ていくといった手間がショートカットできるので、時間の短縮になります。あるいはそもそもアクセス解析で何を見ればいいかわからないといった方には、こうしたコメントが自動で出るだけでもかなり役に立つはずです。
表示されたコメントは保存もできますので、あとからきちんとデータを見直すのにも便利です。
3 データ分析と機械学習
昨今のデータ分析はアクセス解析単体ではなく、自社が持つさまざまなデータを統合する方向に進んでいます。その際に利用するのは主にBIツールですが、このBIツールにも機械学習の波がやって来ています。
従来のBIツールはアナリストとセットでした。BIツールを用いての分析、発見、仮説検証といったところはアナリストが担うからです。そのため実際の施策をおこなう現場のマーケターと、うまく連携できないという課題がありました。
しかし機械学習で課題の発見、さらには解決方法の提示までしてくれるBIツールが台頭してきています。ですからBIツールをマーケター自らが使い、データに自由にアクセスし、素早く問題の発見や改善ポイントを押さえることが可能になってきています。
4 まとめ
最後に機械学習機能が付いたBIツールを紹介しましたが、Googleアナリティクスのインサイトも方向性はこれと同じです。BIツールはコスト的なこともあり、小規模な事業ですぐに導入するというわけにはなかなかいきません。
また機械学習付きのBIツールが現状どれくらい使えるものなのかも、検証が必要です。データ統合の前にアクセス解析のデータを十分に使えるようにしたい、というニーズも多いでしょう。
当面は身近なGoogleアナリティクスのインサイトを使い、アクセス解析で素早く改善ポイントをつかんでいく、というふうにするのもいいでしょう。
なお文中では便宜上「精度」と記載しましたが、機械学習はデータ量と密接な関係があります。自社のアクセス数やコンバージョン数を伸ばすことで、より精度が高いインサイトが得られるという好循環が生まれてくるはずです。