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オンラインの施策によって、オフラインのアクティビティにどう影響があったのか。これを把握する環境が整ってきています。いわゆるO2O(オーツーオー)、Online to Offlineと呼ばれる取り組みです。Google広告でも、広告を出稿したことによって、どれだけリアル店舗への集客に繋がったか、計測することが可能です。本稿では、Google広告の「来店コンバージョン」について詳しく見ていきます。

1 来店コンバージョンの目的

オンラインの行動履歴をもとに、ウェブ広告の費用対効果を把握することは勿論可能です。

1クリック100円のバナーをクリックしたユーザーが、そのあとウェブサイトで1,000円の商品を購入すれば、ROAS(Return On Advertising Spend)は1,000%になります。

ただそれが、オフラインの行動の場合はどうでしょうか。

1クリック100円のバナーをクリックして、その後ウェブサイトを見て実際に店舗へ行って1,000円の商品を購入した場合はどうでしょう。

これは計測が出来ていなかったからと、広告費が無駄だったという判断に繋がりかねません。

そこでこの「来店コンバージョン」を設定することになります。来店コンバージョンは、Googleが保有しているユーザーの行動データをもとに、広告が来客へ貢献したかをカウントできる機能です。来店を目的とする小売店やホテル、飲食店などで活用できます。これをもって、広告予算をどれだけ掛ければどれだけの来客を生み出せるのか、またどのようなキーワードやキャンペーンで誘導を図れば良いかを判断できることになります。

2 来店コンバージョンの仕組み

ただ来店コンバージョンは、実際には「推定値」となります。完全に来店者数と一致させることは出来ません。またその推定を算出する仕組みは、非公開となっています。以下、Google広告ヘルプからの抜粋です。

来店データは、匿名で集計された統計情報に基づくものです。Google 広告では、広告をクリックまたは表示した後に来店したユーザーの現在と過去の人数データを使用して、推定値が生成されます。
来店データを個々の広告クリック、視認範囲のインプレッションやユーザーに関連付けることはできません。個人ユーザーのプライバシーは、業界の最良事例に則って保護されます。

来店コンバージョンについて|Google広告ヘルプ

3 来店コンバージョンの計測方法

では、その推定値はどのように計測されているのでしょうか。Googleは「ロケーション履歴」という機能をもって収集しています。Googleマップのアプリで「タイムライン」というメニューをご覧になったことはありますでしょうか。デバイスで「現在値送信機能」を有効にしていれば、過去に辿ってきた地点を追って確認することができるはずです。この機能を利用して「来店した」等の情報を収集しているわけです。
広告効果はクリックだけでなく、視認範囲のインプレッション、いわゆるビュースルーコンバージョンも計測することが可能です(視認範囲のインプレッションは、画面内に50%が1秒以上表示されたことをもって1カウントされる仕様です)。実際にクリックされなくても、広告を見たことによって来店を促した効果を見ることが出来るわけです。

4 来店コンバージョンの条件

来店コンバージョンの計測を開始するには、いくつかの諸条件があります。Google広告の担当者へ連絡(申請)をすることと、以下条件をクリアすることが必須です。

・ご利用可能な国に複数の実店舗がある。広告主様の国で来店コンバージョンが利用できるかどうかについては、アカウント担当者にお問い合わせください。
・広告のクリックや視認範囲のインプレッションが数千回程度ある。
・Google マイビジネス アカウントを Google 広告アカウントにリンクしている。
・Google マイビジネス アカウントに各店舗のビジネス情報を作成している。
・リンクされたビジネス情報の 90% 以上について Google マイビジネスでオーナー確認が済んでいる。
・アカウントで住所表示オプションが有効である。
・広告のクリックや視認範囲のインプレッションに結び付けれらた来店データとして、ユーザープライバシーの基準を満たすだけの十分なデータがバックエンドにある。

来店コンバージョンについて|Google広告ヘルプ

また、ヘルスケア・アダルト・宗教などの広告アカウントでは利用できません。

5 来店コンバージョンの確認方法

来店コンバージョンを計測できるようになると、管理画面の表示項目に、以下のように「実店舗への来店」「来店値」「来店値/来店数」「ビュースルーの来店」も追加されています。必要なものを選択し、ご確認ください。

また、分割メニューで「コンバージョンの発生元」を選択すると「来店」というセグメントに分類して数値を確認することが可能です。

6 来店コンバージョンによる最適化

来店コンバージョンを計測することによって、各キャンペーンの広告効果を把握することが出来るようになります。キャンペーンや広告グループの単位で商品やイベント等を分けて、来店コンバージョンに貢献している広告掲載を特定し、広告にかける予算の配分を最適化することが可能です。また、地域別の成績に差異があれば、入札単価調整比率で配信に強弱を付けていきます。来店を促すという特性から、エリアによって入札にメリハリを付けることは有効です。また住所表示オプションを付けていれば、レポートに「住所表示オプションからの距離」という項目を選択することで、実店舗からの距離ごとに実績を確認することも可能です。距離が短いほどに良くなる効率の度合いを確認しながら、入札単価調整比率を設定して対応しましょう。

最後に、ローソンが導入した来店コンバージョンの事例がありましたのでご紹介します。こちらです。

著者情報

松葉 駿平
Shunpei Matsuba

松葉 駿平

【執行役員】

デジマール株式会社に新卒入社。リスティング広告、SNS広告、各種DSP、EC広告(Amazon・楽天)と、BtoC・BtoBともに幅広い広告媒体の運用経験あり。LINE公式アカウント、HubspotといったCRMの構築・運営にも携わり、集客からロイヤル顧客化まで一気通貫で対応可能。趣味は茶道と料理。