Facebook広告の予算設計

facebook広告を出すためにはお金がかかるので、その分の予算について考える必要があります。お金をかければたくさん出せますが、それに見合った効果が出なければ無駄の多い結果になってしまうのです。そのため、どれだけのお金を使うのかしっかりと考えてプランを設計していきましょう。
目次
どんな目標に対して予算設計をしていくのか
facebook広告を出す場合は、最低限のレベルから考えていけば数百円単位でも配信可能です。もちろんそれだけの出費で効果を出すためには、効果的な内容で適切なターゲットへ届ける必要があるため、最初から実現するのは難しいです。
逆にたくさんのお金を使えば幅広く配信することも可能ですが、それだけ使ったお金に見合う結果にならなければ、損をするだけです。もちろん知名度が上がる効果もあるので、全くの無駄になるとは限りません。それでも納得できる効果を出すためには予算設計が必要になるのです。
最終的な目標は赤字にならず黒字を出すことですが、もう少し細かく見ていきましょう。売ることが最優先なのか、それとも知ってもらうことが目的なのでしょうか。また、どれだけのお金を使って、どれだけの売上が期待できるのかについても考える必要はあります。
これらを考えていく上で必要になるのが、それぞれの仕組みを知ることです。どういう条件で課金条件が満たされるのかを知らなければ、お金がどう動くのかは予想できません。そしてその条件に対して、どれだけのコンバージョンがあればペイできるのかなどを考えていけるようになります。
最大限の効果を得るためには知っておかなければならないことはたくさんあるので、まずはそのことから勉強していきましょう。
facebookの広告構造を知る
facebookの広告は3つの構造から成り立っています。そして、それぞれの概念に対して適切な設定をしてこそ、最大限の効果を発揮してくれるのです。それぞれのサービスについて知ってこそ、適切な結果を出すことに繋がります。
まずは基礎となる「キャンペーン」です。ここでは何を目的とするのかを設定し、それに対してどれだけのお金を使うのかを考えていきます。単純に商品を売ることが目的の場合もあれば、知名度を上げて「いいね」を獲得することが目的になる場合もあるため、しっかりとした土台を作るためにもよく考えるようにしましょう。
次にどのような掲載方法にするのかを決める「広告セット」です。ここもかなり重要な役割を持っています。いったいどのような層がターゲットなのか、そしてひとつのセットに対してどれだけの掲載期間とお金を使うのかを設定していくのです。キャンペーンが大枠なことに対して、こちらはより具体的なプランになっていきます。
最後にそれぞれ表示される「広告」です。先に決めたセットひとつに対して複数作ることができ、バリエーションを豊富にすることで効果を上げていけます。画像を使ったもの、動画を使ったもの、テキストベースやコールトゥアクションボタンがついたものなど素材は豊富です。どんなデザインにするのかで効果は大きく変わるので、しっかり考えるようにしましょう。
この3つの層からなる構造は、実際に使ってみれば段階的にプランを作っていけるので、とてもわかりやすいです。それぞれのパーツがどのように連携していくのかが分かれば、意図したものを表示してしっかりと効果を出せるようになります。さらにはどこにどれだけのお金を使っているのか、それは効果があるのかなども理解しやすくなるので、積極的に活用していきましょう。
何のために、どんな内容にして、どういうものを作るのかと分けられているのがポイントです。
facebook広告構造における粒度を意識する
3つの層から作られる構造の中でも重要なのが、広告セットです。より細かいターゲットを設定すれば、注目されるものを作れるかもしれません。しかしこのセット数が細分化すると、必要なコンバージョン数を満たせない可能性が出てきます。このコンバージョン数を満たせないと、どう最適化していいのかが見えにくくなるのです。
このコンバージョン数の達成はとても重要なもので、基準としては1週間に50件となります。これによって何が変わるのかという話になりますが、実はこのコンバージョン数は配信システムが学習するために必要なデータです。
facebookのシステム側で学習して最適なものだと判断すれば、適切な配信数が設定されます。しかし、逆にコンバージョン数が基準を満たしていない場合は、配信数が減らされてしまいます。これだけでもかなりの問題なのですが、配信数が減らされることでさらにコンバージョンを獲得できるチャンスが減ってしまい、負のスパイラルへ陥る可能性が出てきます。
セットを増やして複数のパターンを作ることは、それだけ費用が発生します。このコンバージョン数を満たせない事態は、お金の無駄遣いとも言える状態なので絶対に避けたいです。
粒度が細かい状態は、それぞれのターゲットに刺さりやすいかもしれません。しかしターゲットを絞り込みすぎると、逆効果になってしまうこともあるので注意してください。各セットのコンバージョン数を合算するのではなく、それぞれのセットでコンバージョン数をカウントしていることを知らないと見落としがちなミスです。
それでは逆にセットの粒度を大きくすれば良いのかという話になりますが、これもそう単純な話ではありません。ブログ記事などを書く時にも言えることですが、万人向けの内容は読み手に上手く刺さらず、流されてしまう可能性が高いです。
受け取る側から考えれば、自分のためにあるような内容の記事などが好まれます。しかしそこまで特化した内容にすると、配信側からすれば効率が悪くなるのです。このバランスを見極めながら各セットの粒度を設定することが、予算面にも影響してくることを覚えておきましょう。
予算として使える金額は上限が決められています。その中でどれだけ効率的に効果を上げられるのかがポイントです。小規模なうちはそこまで気にする必要もありませんが、配信数や展開規模によってこの粒度のバランスが大きな影響を与えてきます。
予算設計をする上で知っておきたいこと
広告予算をどのようにしていくのかは、しっかりと計算して把握しておく必要があります。実際に結果が出てから調節するとしても、何らかの目安は必要です。どれだけの売上があれば費用はどれだけ使えるのか、そして予算はどこまで使えるのかをしっかりと考えていきましょう。
ここでポイントになるのは、CPC(Cost Per Click=1クリックあたり何円使うのか)とCVR(Conversion Rate=コンバージョン率)です。
表示されたものに対してどれだけの購入が見込めるのか、まずはここから考えていきます。まず1つの購入でどれだけ利益が出るのかを確認し、それを費用上限として考えていくのです。
広告費をCPCで割れば、クリック数の見込みとCVRが算出されます。検索連動型とも言われているリスティングタイプでのCVRは1%前後と言われているので、それを超える数字を実現させるために計算をしていく必要があるのです。
クリック単価を高く見積もると、CVRの値はどんどん高くなっていきます。しかし実際のCVRと比較して数字が高すぎるなら、使える費用が少なすぎるという結果になるのです。そのためあまりにも希望的観測が入った設定にしてしまうと、まるで役に立たない予算になってしまうので注意してください。
またこの方法は、売上金額の大きな商品やサービスに対して有効なものなので、提供している商品やサービスによっては適さないこともあるので注意しましょう。
もうひとつ知っておきたい考え方として、1人のユーザーに対してどれだけの予算を使うのかがあります。ここでポイントになるのはLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)という基準です。生涯と書くとおおげさに見えますが、そのユーザーが1ヶ月や1年でどれだけの利益をもたらしてくれるのかという基準で考えていきましょう。
この考え方は、ECサイトやサブスクリプションサービスなど普通の商品購入で考えにくいタイプで使っていきます。
まず平均売上単価と平均売上回数、平均経費と平均利益のデータを使います。1年という尺度で考えると、ユーザーはそのサービスに対して4回の買物をしてくれることが前提です。ただし複数回の買物をうながすことは1回の訪問だけでは難しいので、リピーターになってもらうための対策も必要になってきます。
1人のユーザーが年に何回の買物をしてくれるのかは、しっかりとデータを分析して算出していく必要があります。しっかりとデータを集めてこそ、適切な計算ができるようになるので、日頃からしっかり分析をするようにしてください。
ここで何度か出たCVRですが、扱うものによって平均値は変わってきます。1%くらいのものもあれば、5%くらいのものもあります。「これ」と言った正解がすぐに見つかるものではないので大変ですが、目標を設定してそれを実現できているのかどうかが分かれば計画も修正しやすくなるので頑張りましょう。
facebookの広告はどのように料金が発生するのか
facebookへ実際に広告を出す場合、ポイントになるのが課金方式です。予算だけ決めても、実際にどれだけの費用が発生するのかによって対策も変わってくるので注意しましょう。
ここでは2つの課金方式が出てきます。クリックされた時点で料金が発生するCPCと、表示された時点で発生するCPM(Cost Per Mille=インプレッション課金)です。
CPCの料金はオークション式となっており、1クリックあたりの料金は変動します。最初に入札価格を決定するのですが、それに対しての推定アクション率と広告品質によって変わってくるのです。ちなみにクリックされなければ料金は発生しないので、様子を見ながら運用していく場合に相性が良いです。
高額な単価を設定すれば表示率が上がるのではと考える人もいますが、実際にはそんな簡単な仕組みではありません。ユーザーにとって役立つものなのかどうかで評価が決まるので、いくらお金をかけても質が悪ければ表示回数自体が減っていくこともあるのです。
ライバルと比較して上回っていると評価されれば、単価が低くても表示回数は増えていきます。このあたりの分析はシステムが行うもので、それがコンバージョン数の基準を満たしているのかという条件と繋がっていきます。
お金さえ払えば何でも良いというわけではなく、その媒体とそれを利用するユーザーにとって良いものを提供することが成功の秘訣になるのです。これはfacebookに限った話ではないので、しっかりと意識するようにしましょう。
CPMは表示回数1,000回のたびに料金が発生します。この方式では予算配分がしやすいので、表示率の高いものに力を入れるなどの調整で使いやすいです。表示回数が基準なので、クリックされたのかどうかは問わない点に気をつけてください。
予算を修正するためには試行錯誤が必要
いきなり大きな予算で広告を表示させても、目標と実績との間に大きな差が出る場合がほとんどです。そのため最初のうちは、実際のデータを収集することを目的に運用していきましょう。その際に役立つのが、クリックごとに料金が発生するCPCです。
複数の広告を配信し、その中で効果的なものを絞り込んでいきます。あまりにも効果が低いなら見直しや配信停止も視野に入れていき、効果的なものなら予算を増額していく。このような運用をしていけば、無駄のない配信へ近づけるでしょう。
さらに言えばクリック率の高いものをCPMにすることで、表示されるだけでクリックされただけで料金が発生する料金形態にも対応していけます。その上で適切なラインを決められれば、コストパフォーマンスの良い状態を維持できるようになるのです。
分析や運用は、慣れないうちだと大変です。しかし、ある程度の経験を積めば、少しずつ見方も分かってきます。facebookだけではありませんが、広告は単純にたくさんお金を使えば良いという問題でもありませんし、上手くいかない時は無駄な出費が増えてしまいます。まずはその状態から脱することができるように、それぞれの仕組みについてより深く勉強していきましょう。